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第4話

今回、少し短いです。

 騎士たちの訓練場に連れて来られたオレ達は、練習用の武器でその扱い方を、座学でこの世界の色々な知識を学ぶ事になった。

 男の方の騎士はオレ、女の方の騎士は紅音に付くようだ。

 ちなみに、王子はいない。権力は無いが、雑用は押し付けられているようだ。

「改めて、オレはディナト・アレルタ。クァッド王子の親衛隊の副隊長を務めています。お兄さんの指導をさせていただきます」

「あたいはグラーサ・オリークト。ディナトと同じ親衛隊の隊員で、親衛隊唯一のテイマーだから妹さんにテイマーに何ができるのか、指導させてもらうよ」

 へぇ、親衛隊に職業は関係ないのか。

 この2人はどの位強いんだろう?後でそれとなく聞いてみよう。

「オレは、クロキリ・イサオ。イサオって呼んでくれ」

「わたしは、クロキリ・アカネ。アカネって呼んでください。ちなみに、クロキリがファミリーネームですよ」

 知ってはいるだろうが、こちらも一応名乗っておく。

 名乗られたからには、名乗り返すのが礼儀だしな。

「ではイサオ様はこちらへ。アカネ様はグラーサと先に座学をお願いします」

「あー。ディナトさん、グラーサさん、こっちは教えてもらう立場だし、呼び捨てでいいよ」

「あ、わたしもディナトさん・グラーサさんって呼んでいいですか?」

 様付で呼ばれるのは何だか居心地が悪いから、呼び捨てで呼ぶように頼むと、2人とも快く了承してくれた。

 ここからは使用できる場所の関係でオレが訓練している間は紅音が座学を、紅音が訓練をしている時はオレが座学という事になった。

 離れるのに不安はあるが、緊急時のアイテムを渡してあるから大丈夫だと思い込もう。

「じゃあ、アカネはこっちについてきて。イサオはお昼にまた、食堂で会おう」

 グラーサさんはそういうと、紅音の手を引いて行ってしまった。




 紅音達と別れたオレは、ディナトさんに連れられて訓練場の隅に移動し、練習用の刃をつぶした剣を手渡される。

 変に疑われないように先に言っとくか。

「ディナトさん。実はオレ、剣術の基礎は『向こう』の世界で教わってるんだけど、見てもらっていいかな?」

 こう言っとけば、少しくらいいい動きをしても怪しまれないだろ。

 身体能力自体は魔道具で最低値まで抑えてるし、スキルとかも封印しているから大丈夫だと思う。

「そうなのですか。では、軽く打ち込んできてください」

 ディナトさんはそういうと、すっと剣を構えた。

 流石に隙がないな。

 オレは出来るだけ、高校の授業でやった剣道の動きを思い出しながら正眼に構えて打ち込む。

 面を打ち込んで躱され、胴を打ち込んではじかれる。

 基礎だけ学んだ素人の動き…、出来てるのだろうか。

「良い動きです。洗練された綺麗な型の基礎を学ばれたのですね」

 オレの剣を受け流しながら、ディナトさんはそう言って笑った。

 よかった、ちゃんと誤魔化せているみたいだ。

 彼の教え方はとても丁寧で分かりやすい。

 基礎を押さえつつ、経験に基づいた応用を教えてくれる。

 ある程度打ち込んだら、今度は防御の仕方や躱し方、効果的な反撃の仕方を教えられる。

 型だけに囚われない動き方や、敵に斬り込まれた時の力のいらない受け流し方など、実戦で役に立つ動きと絶対にやってはいけない事などを教えてくれた。

 正直、前の世界ではほぼ独学だったから、人に教えてもらうのは新鮮だ。

 いかに自分がステータス任せの力技で動いていたか、よくわかる。

「よし、ここまでにしましょう。なかなか筋がいいですよ」

 オレの息が上がってきたのを見て、ストップがかかった。

 身体能力を最低まで落とすと、簡単に息が上がって辛い。

 でも、レベル1ってこんなもんだった気がする。

「はぁ、はぁ。あれだけ動いても息が上がらないとか…流石だなぁ。そう言えば、レベルっていくつ?」

 息を整えながら休憩用のベンチに移動し、どさくさに紛れて彼のレベルを聞いてみる。

「オレのレベルですか?82ですよ。ちなみに人のレベル限界は300らしいので、オレはまだまだです」

 え、マジか。300が上限なの?オレ、素のステータスのレベル732なんだけど。

 しかも、上限ないって聞いてるし。

 おおぅ、絶対に素のステータス教えられん。

「82って十分すごいと思いますけど。ちなみに、一番レベルの高い人っていくつ位なんだろう?」

「レベルだけが全てではないと思いますが、最高ランクの冒険者のレベルは200を超えていると聞いています」

 やっぱり、ランクの高い冒険者は強いんだなぁ。

 でも、やっぱり話聞いてるだけじゃ平均レベルとか分からんわ。

 冒険者ギルドとかに出入り出来るようになれば、自然と平均も分かるようになるだろ。

「レベル200とか、想像も出来ないなぁ。どれだけ戦わなきゃダメなんだか」

 感心したふりをして、適当な事を言ってみる。

 ディナトさんは真面目な性格なのだろう、ドラゴンを…とか何とかぶつぶつ言っている。

 おかしくて、少し笑ってしまった。

「?」

「何でもない。それより、この国について聞きたいな」

「この国は、人族の治める中で最大の国で、国教は主神テラリオル様を祀る『創世神教』です」

 ここ以外にも、人が治める国ってあるのか。

 最大の国なのは、侵略を繰り返してきたからか?そのあたりは、座学の時にでも聞こう。

「人族って事は、それ以外の種族もいるって事?」

「ええ、いますよ。魔族・妖精族・竜族・エルフ・ドワーフ辺りが普通の種族ですね。珍しい種族には、竜人族とか天使族がいますよ。まぁ、めったに会えない種族なので、幻の種族と言われていますがね」

 結構いろんな種族がいるんだな。幻の種族とか、探してでも会ってみたいと思ってしまう。

 この国を出られたら、探してみるのも面白そうだ。

 やる事やってからだけど。

「イサオ、そろそろお昼の時間です。午後からはこの世界の常識や、魔物についてしっかり学んでもらいます」

「了解」

「さ、グラーサ達に合流しましょう」

 お昼は紅音達と合流して、騎士達の利用する食堂で食べるんだったな。

 …晩餐の料理より不味かったらどうしよう。

 おいしいご飯が食べたいです。

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