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第15話

 何とか固まっていた2人を元に戻し、明日からの計画を立ててから各自自由に過ごすことにした。

 紅音は疲れたから風呂に入って休む、と部屋に引っ込んでしまった。

 オレとウィリディスはリビングで世間話と言う名の情報交換をしつつ、武器や防具の話で盛り上がっていた。

「そうだ。イサオ君、皇帝コボルトの杖を破壊したあの凄い音の武器って何なの?」

「ああ。あれはオレ達の世界で、拳銃と呼ばれてる武器だ。その中でも、一般で買える最大威力の物らしいぞ」

 オレはリボルバーを《無限収納》から取り出して、ウィリディスに渡す。

 オレ以外には使えないようになっているから、暴発はしないはずだ。

 ウィリディスは色々な角度からリボルバーを眺め、目を輝かせている。

「これ、すごく精密に出来ててかっこいいね〜。改造とかしてあるの?」

「もちろん。オレ達の世界には魔力とか魔法がないから、魔力を込めて打てるように改造した。後はさらに威力を上げるために、発射口の辺りにブーストの魔方陣を刻んである」

 リボルバーに始まりサブマシンガン・アサルトライフル・スナイパーライフルと、銃の話でかなり盛り上がってしまった。

 機会があれば、色々と使って見せようと思う。

 ウィリディスの武器も見せてもらったが、ランクの高い冒険者の武器らしくかなり特殊な弓だった。

 (めい)を『大精霊の弓』と言い、最上位の精霊である大精霊の祝福を受けた弓で、矢に精霊の力を乗せる事も矢の代わりに魔力を打ち出す事も可能な超一級品の弓らしい。

 見た目は、細かく繊細な彫刻を施されたシンプルな弓だ。美術品としても、価値がありそうだな。

 サブで持っているのは、この世界の最高硬度を誇る金属『スクリロルト』を使った剣だそうだ。

 特殊な効果はないがよく切れるので、そこそこの冒険者なら持っている者は多いみたいだ。売ってるらしいし。

 王都のどこの武器屋が良いとか、防具屋・道具屋・その他の店の情報ももらった。

 今度、買い物で1日使おうと思う。紅音も喜ぶだろう。

「結構、話し込んじゃったねぇ。この辺にして、もう寝よっか」

「そうだな。悪いな、遅くまで付き合せちまって。この隠し部屋が入った場所より下層につながってる事が分かったから、明日にはボスまで行けそうだし。オレと紅音の偽造ステータスだけ作ってから寝るわ」

「了〜解。僕は先に休ませてもらうよ」

「おう。おやすみ〜」

 部屋に戻るウィリディスを見送って、オレは偽造ステータスの作成作業に取り掛かった。

 早く終わらせて、ゆっくり寝よう。




 次の日の朝、準備を済ませたオレ達はテントの外に出て周りを確認していた。

 オレは装備もスキル使用制限も、ダンジョンに入った時と同じに戻してある。

「兄さん、特に魔物の気配とか扉が開いた形跡とかはないみたい。リポップは、わたし達が部屋から出ないと起こらないみたいね」

「そうか。じゃああっち、玉座の後ろ側の扉から出るか」

 出口と思われる扉を開くと、普通のダンジョンの道に出た。

 全員出てから扉を閉めると、初めから何もなかったかのように扉そのものが消えてしまった。

『扉、消えちゃったね』

「いや〜、本当に隠し部屋だったんだね。最初は終わったと思ったけど、良いアイテムも手に入ったし見つけてよかったかな」

 アスワドは扉が消えた壁を、不思議そうに前足でたしたし叩いている。

 ここはダンジョンのどの辺りか、ウィリディスがスキルと地図を使用して特定してくれている。

 感覚的に、最下層付近な気がする。

「ここがどこか分かったよ〜。地下14階、階段から一番遠い場所みたいだね」

 最下層が地下15階だから、1つ上の階だな。

 普通にこのまま進んで、終わらせよう。オレがそう提案すると2人とも同意見で、最初と同じように紅音とアスワドに戦闘を任せて先に進む事になった。

 途中でアスワドがはしゃぎ過ぎて、罠を発動させまくったのには冷や汗が出た。

 だが初心者用ダンジョンの罠は所詮初心者用で、レベルの高いアスワドの脅威にはなりえなかったが。

 アスワドは今、ウィリディスにこっ(ぴど)く叱られてしょげている。

 反省はしているようだから、次は慎重に行動してくれるだろう。

 アスワドが後ろに下げられ、戦闘は基本紅音だけになり、ウィリディスがサポートについている。

『弓のお兄チャンに、いっぱい怒られた』

「そうだな。でも、どうして怒られたか分かってるんだろ?」

 耳をペタンと伏せて、尻尾も下がってうなだれているアスワド。

 オレは慰めるように、頭を撫でてやる。

『うん。アスワド、罠があるって分かってたのに、教えてもらってたのに、止まらずにそのまま行っちゃった』

「ああ、あれは見てて怖かった。ここの罠は、アスワドにとってそんなに怖い物じゃなかったからよかったけど、物によっては即死する場合もある。本当に気を付けてくれよ」

『ごめんなさい、お兄チャン』

「お前に何かあったらオレ達、特に紅音がすごく悲しむ。これからは、それを考えて行動してくれ」

『うん、分かったよ!頑張って考えるね。姫を悲しませるのは、絶対に嫌だもん』

 少し気持ちが浮上したのか耳がピンと立ち、尻尾もゆらゆらと動き出した。

 やっぱり賢いな。オレはもう一度アスワドを撫でて、周囲の警戒範囲を少しだけ広げた。

 少し遠くで戦闘の気配がするがオレ以外は気づいていないようなので、とりあえず無視をする事にした。

 アスワドの暴走はあったものの、その後は何事も無く地下15階に到着した。

 階段を降りた所が少し開けていて、道は1本しかない。ウィリディスによれば、この先がボス部屋なのだそうだ。

 先に進むと、ボス部屋の扉が現れた。無駄に豪華で重そうだ。

「あらら、先客がいたか〜」

 扉を見てウィリディスが言う。先客?…ああ、中で戦ってる気配がするな。

「ウィリディスさん、中に誰かいるかどうやったら分かるんですか?」

「それはね〜、扉についている宝玉の色で分かるんだよ。赤なら誰かが挑戦中かクールタイム中で、青ならボスがリポップ済みで挑戦できるって印なんだよ。赤の時は、扉は開かない仕様です☆」

「そうなんだ。じゃあ、終わるまで入れないんですね」

 扉が開くようになるまではひたすら待つしかないので、一旦休憩する事にした。

 《無限収納》から床に敷く布と小さなテーブル、簡易のお茶セットを取り出して準備する。

 最下層は、ボス部屋以外に魔物が出る事はないそうなので、安心してお茶が出来るな。

「ん〜、やっぱり兄さんの入れてくれる紅茶は美味しいなぁ。甘い物食べたくなっちゃう」

「ケーキならあるけど、食べるか?」

「食べる!!」

「僕も食べたい!」

 オレの《無限収納》は時間停止の効果もあるから、食材系の物はそのまま保存できる。

 確か以前作ったケーキがいくつか保存してあったはずだから、適当に選んで2人に出してやる。

 しかし、ウィリディスも甘い物が好きなのか…らしいというか何というか。

「うはぁ。何これ、すっごく美味しいんだけど。城で作ってもらったの?」

「いや、オレが作った。昔働いてた所で良く作ってたから、たまに作るんだよ」

「そっか、時間停止型の《無限収納》持ちだったっけ。君の作ったケーキを振る舞うだけで妖精族は皆、君に好意的になるよ」

 妖精族は甘い物が好きな一族らしく、依頼の報酬でスイーツを要求する事もある程らしい。

 2人とも、幸せそうに食ってんなぁ。

 お茶の入れ方とケーキの作り方は、昔バイトしてた執事喫茶で教えてもらったんだよな。

 あのバイトも結構楽しかったんだよな。

 アスワドにビーフジャーキーをあげながらのんびりしていると、紅音が扉の変化に気づいた。

「あ、宝玉が青くなったよ」

「よし、行くか」

 お茶セット等をしまって準備が出来たのを確認して、()()()扉を開いた。

 中は城の大広間より広く、奥には宝箱が置いてある。

 隠し部屋の時と同じく、魔力が集まって魔物を形作っていく。

 しばらくして姿を現したのは、初心者用ダンジョンのボスには相応しくない魔物だった。

「な、何で…」

「無理。あたしには絶対無理ー!」

『姫!アスワドの後ろに居て。絶対に守るからね!』

「…ひょっとして、あの扉を開けた人物のレベルなり魔力の質なりを読み取ってボスって決まるのか?」

 その魔物を見てウィリディスは絶句し、紅音は無理だと叫び、アスワドが必死に紅音を守ろうとしている。

 オレは冷静に仮説を立てて、無意識に装備の変更と色々な制限の解除をしていた。

『ギュアアアアアアアアアアアア!!』

 威嚇の雄たけびをあげてそこにいたのは、真っ黒な鱗を持つブラックドラゴンだった。

 初心者用のダンジョンに出るはずのない、超大物。

 上級者用ダンジョンでも最難関と呼ばれるダンジョンに、稀に出現が報告される程のレアな魔物だ。

「お前らは動くな。手も出すんじゃないぞ」

 そう言って入って来た場所から動けない2人と1匹の周りに、3重に防御結界を張ってヴィミラニエを手に走り出す。

 一応、鑑定しとくか。


【ブラックドラゴン】

Lv.420 ランク SS


体力:SS

魔法力:S

攻撃力:SS

防御力:S

魔法防御力:A

素早さ:A

魔力:S

器用さ:A

魅力:A


 流石ドラゴン、体力と攻撃力が高い。

 でもこの個体、魔法防御が他より低いから魔法剣で何とかなりそうだ。

 黒いブレスを吐いて来たので飛び上がって躱し、そのまま飛行魔法を使って空中を駆ける。

 ちょろちょろ駆け回るのが鬱陶しいのか、ドラゴンがその長い尾で叩き落とそうとしてくるのをギリギリで躱す。

 躱した所に踏み潰そうと前足を振り下ろして来るが、ヴィミラニエに光の魔力を込め逆に切り上げる。

『ギュアア!』

 小指(?)の辺りを斬り落とされ、ドラゴンが痛みに叫ぶ。

 この叫び声にはスタンと麻痺の効果があるようだが(耳が潰れそうな叫び声だし)、生憎オレには効かない。

 『状態異常無効』のスキルは、こういう相手には特に有効だな。

 落ち着いて、確実に仕留められる隙が出来るのを待つ。その間、ドラゴンの攻撃を捌きつつもヴィミラニエに光の魔力をゆっくり込め続ける。

 剣の元々の性質上、光の魔力と相性が悪いのでゆっくり馴染ませながら込めるしかないのだ。

 その間にも、黒い尾が鞭の様にオレを潰そうと叩きつけられる。

 いい加減避けるのも面倒になって来たので、横薙ぎに振られた尾に飛び乗ると根本まで走って剣を振るう。


―― ズゥゥン ――


 斬られた尾が、地面に大きな音をたてて落ちた。

 うわっ、まだビチビチ動いてる。気持ち悪っ。

『ギュオオオオオオオオオオオオン!』

 ドラゴンも、まさか尾が斬り落とされると思っていなかったのだろう。あまりの痛みに暴れまわっている。

 そろそろ仕上げといきますか。

「招かれざるお客様には、とっととお引き取り願いましょうかね」

 光の魔力で最大まで強化され薄っすら発光しているヴィミラニエを握りなおし、下段に構え暴れまわっているドラゴンの方へ走る。

《魔法剣 光の奥義:裁きの斬撃》

 ドラゴンの首を狙って、右下から左上に抜ける様に光の最上級魔法剣を放つ。

 この魔法剣は、光の魔力を剣に付与するのではなく込める事で威力を跳ね上げ、斬れないものがほぼない斬撃を光の速さで放つ奥義だ。

 通常の魔物なら4・50匹は一度に斬れる威力があったりするので、乱戦時によく使用したスキルだったりする。

 ただ、ヴィミラニエ並みの剣でなければ、1度の使用で砕け散ってしまうので使い勝手は悪い。

 ブラックドラゴンの黒い鱗もこの威力には耐えられなかった様で、断末魔の叫びをあげる前に首と胴がさようならしていた。


―― ズドォォォォン ――


 ゆっくりと胴から離れた首が地面に落ちると、青い粒子になって奥の宝箱に吸い込まれていく。

 ドラゴンが全て粒子になって宝箱に吸い込まれると、宝箱が光りだしてシンプルだった見た目がかなりゴージャスな物に変わった。

 それを見届けると、紅音達の所へ戻って結界を解除する。

「うぇぇん、兄さ〜ん」

 解除した途端に、紅音が泣きながら抱き着いてきた。

 ウィリディスは呆然とオレを見ているし、アスワドは後ろから脇の下に頭を突っ込んで甘えて来る。

 何だ?皆どうしたんだ?

「イサオ君。君のレベルが高いのは知ってるけどさ、1人でブラックドラゴンに突っ込んで行くのはやめてよね。心臓に悪すぎるって」

 ああ、皆に心配かけてたのか。

 オレの悪い癖だな。レベルが高いからって過信して突っ込んで、皆に心配かけてしまう。

「すまない。皆ビビってたし、オレはドラゴンに有効な称号を持ってるから、何とかしないとって1人で突っ込んじまった」

「ぐすっ、本当に心配したんだからね!」

 怒る紅音を何とか宥め、ウィリディスとアスワドに謝り倒して許してもらった。

 オレもアスワドの事言えないな。もうちょっと考えて動こう、今は1人じゃないんだから。

 皆が落ち着いたら、宝箱を開けに行く。かなりゴージャスに変化したから、中身にかなりの期待が出来るな。

「とりあえず、罠とかはないみたいだね。イサオ君、開けちゃってちょ〜だい」

「了解」

 宝箱を開けると結構中身が詰まっていたので、順番に取り出す。

 まずは、ブラックドラゴンの皮だな。かなりの大きさの物が3枚入っている。

 次は鱗。逆鱗と呼ばれる一番硬い鱗が1枚入っていた。

 魔石も入っていた。大きさはこぶし大位のものだが、闇属性の上質の物が1つと小さいが珍しい空間属性の物が3つあった。

 後は、牙と角がそれぞれ1対と紙に包まれたドラゴンの肉、ドラゴン特効の矢が50本と箱の大きさからは考えられない量が出てくる。

 最後に出て来たのは、赤い宝石の下に小さな白いタッセルが付いたピアスだった。

 鑑定してみると『運命の乙女のピアス』と言う、女性専用装備だった。なかなか優秀な効果が付いているので、迷わず紅音に渡す。

「可愛いピアスだね。わたしにくれるの?」

「女性専用装備だし、絶対紅音に似合うから!それに、それなら城の奴らに怪しまれないだろうしな」

 紅音は嬉しそうにピアスを付け替えて、皆に見せている。

 やっぱり似合うわ。ドラゴン倒して良かった。

 中身を全て出してしまうと、宝箱は消えてしまった。あれは持ち帰れないらしい。

 次はテラリオルのお願いだな。

 オレは自分の魔力結晶を取り出すと、結晶の魔力を活性化して砕く。

 結晶を砕かれて溢れた魔力が、宝箱の後ろの壁に集まり扉を形作った。これで普通なら行けない部屋に入る事が出来る。

 2人と1匹はオレのした事に気づくと、扉の前に集まる。

「これでミュリールームに入る事が出来るはずだ。行くぞ」

「『はーい』」

「了〜解」

 テラリオル曰く、ミュリールームとはダンジョンの心臓部の部屋の事だそうだ。

 扉をくぐると、中央の台座に不思議な色をした宝玉が置かれていた。

 これが【神流(しんりゅう)】からテラリオルの力を吸い上げて、ダンジョンを維持しているダンジョンコアと呼ばれる物のようだ。

 コアには、所々小さなヒビが入っている。

「紅音、頼む」

「うん」

 紅音はコアに触れると、ゆっくりと魔力を流し込む。紅音の力を受けて、コアのヒビが少しづつ治っていく。

 順調だな。

 テラリオルのお願いは、この世界の全てのダンジョンのコアに紅音の魔力を流して、神力の流れの修正と補充する事だ。

 これはテラリオルの神力と相性の良い紅音の魔力でないと効率が悪く、最悪コアが砕けてしまうらしい。

 紅音がこの世界に必要とされている理由の1つが、これだ。

「幻想的な光景だね。しっかし全てのダンジョンとか、気が遠くなるし危険すぎるよ」

「分かってる。だから、オレ達にレベルの上限が無いのさ」

 そう、オレ達()()()()()を持つ者はレベルの上限が無い。

 神々の無茶な要求にも答えられるように、極限まで鍛えられるように。

 職業勇者は上限が適用されるので、召喚される時に神の干渉は無い。

「はあ、僕、ついて行けるのかな…」

「祝福があるし、大丈夫だろ」

「も〜、軽く答えないでよ〜。妖精族のレベル上限は、人族よりは高いけど500なんだよ。大丈夫かな〜、心配だよ、本当」

 ウィリディスが不安になっている間に、紅音の作業が終わったようだ。

 コアが綺麗に修復され、先程より輝きが増している。

「これ、結構疲れるよ。早く帰って休みたい」

「はいはい」

 オレは自分の魔力結晶をもう1つ取り出すと、入る扉を作った時と同じ様に活性化して砕いた。

 すると先程とは違い、台座の前で渦を巻くように魔力が留まった。この中に入れば、外に出られるらしい。

 一応、渦の先の気配を探ってみる。これは……

「一応この渦から帰れるんだが…紅音、アスワドを子猫サイズにしとけ。嫌な予感がする」

「分かった」

 紅音はオレを疑うことなく、アスワドを小さくした。

「ウィリディス。もしもオレ達に何かあったら、連絡するまで待機していてくれ」

「どういう事?」

「ろくでもない事に巻き込まれそうな、そんな予感がする」

 不思議がるウィリディスにとにかく頼むと念押しし、外に出るための装備やステータスの確認をして渦に入った。

 お馴染みの浮遊感に包まれ、それが治まると洞窟の入り口に戻って来ていた。

 時間帯は夜だったらしく、周りの冒険者の数は少ない。

 冒険者の数は少ないが、王宮騎士の姿が多く見られる。騎士は、ダンジョンに用なんてないはずだ。

 不思議に思っていると一人の騎士がこちらに気づき、他の騎士を引き連れてオレ達の周りを囲んでしまった。

「イサオ・クロキリとアカネ・クロキリだな?」

「あんた誰だよ」

 名乗りもしないとか、礼儀がなってない。

 しかも、初対面でいきなり呼び捨てで高圧的とか。ケンカ売ってんのか。

「オレは、国王陛下の直属部隊【ラパス】のギュスター・アトカース。お前達には、犯罪に加担した疑惑が浮上している。一緒に城まで来てもらおう」

「…断ったら?」

「反逆者として捕えるまでだ」

「彼は?」

 オレはウィリディスを指して、どうするのか聞いてみる。

「ギルドで雇われたお目付け役か。おい、お前の仕事は終わりだ。さっさと報酬を受け取って、消えろ」

 ウィリディスは言い返そうとしていたが、視線を送ってやめさせる。

「分かりましたよ」

 ウィリディスが離れるとオレ達は拘束され、魔力封じの首輪を付けられ城に連行された。

 入り口が一つだけの窓のない部屋に監禁される事になったが、牢よりはましだろう。

 どうしてこうなったのか、早い所それを調べてハメた奴を潰さないとな。

評価やブックマーク、ありがとうございます。

活動報告でも書きましたが、この話が今年最後の更新になります。

また来年も、よろしくお願いします。

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