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第四章 悪夢の中の、その先へ

  第四章 悪夢の中の、その先へ



 ――ここはどこ?

 庚は周囲を見回した。

 一面、白い霧がかかっている。

 今の自分の状態を確かめた。

 白い着物と袴。

 夢渡りを始めた際の衣装だ。

 自分は相手の夢の中に入っているようだが、夢には取り込まれず、自己を確立しているようだ。

 一安心といったところか。

 さて、自分は、夢のそのまた先を見なければならない。

 相手がわからなければ、対処ができないからだ。

 そうしていると……。

「きゃああああ」

 悲鳴が聞こえた。

 それと共に、自分の中にビジョンが飛び込んでくる。

 これは……。

 自分が小柄の女の上に跨ぎ、首を絞め……。

 小刀を勢いよく振りかざした。

 ――ザシュッ

 頸動脈が切り裂かれ、大量の血が宙を舞った。

 この場面には見覚えがある。

 昨日の夢だ。

 これじゃない。

 私の見たい場面はこれじゃない。

 その場面から離れようとする。

 だが、その時間軸から外れず、場面は進んでゆく。

 両手で小刀を構えると、自分の下の女の心臓めがけて、一刺しし……。

 思い出すだけで吐き気がしそうなシーンが再度目の前で繰り広げられていた。

 やめてくれ! 

 もうたくさんだ!

 いい加減にしてくれ!

 その強い思いに怯んだのか、その場の空気の流れが一瞬止まった。

 庚は見せられた映像から、逆に相手の過去を、夢を手繰って調べようとしていた。

 ――あなたは何?

 ――いったい何を抱えているの?

 ――私に伝えたい本当のことは何?

 黒い影の帯は、スーッと遠くまで伸びていた。

 庚はそれを途切れることなくたどってゆく。

 この帯の先まで。

 その先に答えがあるはず。

 庚は宙を舞い、先へ、先へと進んでいった。


 その先では……。

 ふぎゃあ、ふぎゃあ。

 赤ちゃんの泣き声が小さく聞こえていた。




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