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セイン、奴隷を買う。

pv、ブクマありがとございます。

第8話です。


ダイアンの話では王国からの招待は一週間後との事だった。

正直行きたくも無いが、立場を考えるとそうもいか無いので、俺はダイアンに了承をし、ギルドを後にした。




次の日時間もあるしA級へ昇格もしたので、早速A級の仕事を受けようとギルドに行くと、俺の周りに人だかりが出来ていた。


「きゃー!セイン様よ!かっこいいわ」


「サインください!」


「A級のパーティに俺を入れてくれよ!」


「1人でゴーレムを倒したって本当何ですか!?」


「ヘブンちゃん俺と付き合ってー!」




などと有象無象たちが次々に質問、賛美、交渉してきて、かなり鬱陶しかった。


(俺は聖徳太子じゃねーんだよ!)


怒鳴りたくなる気持ちを俺は必死で抑え、嫌々ながらも爽やかな笑顔で返した。


「すまないが質問はまた今度時間がある時にしてもらっていいか?今はちょっと急いでてな」


「はぁ!お急ぎの所すみませんでした!」


すると他の冒険者達は快く道を開けてくれた。どんだけ英雄しされてんだよ俺…


この様子じゃ街全体に広まるのも時間の問題だな。そんな事を考えながら俺はサーシャの受付へ向かう。


「なぁサーシャこいつらどうにかなんねぇのか?」


「なにを言ってるんですか!特例でA級まで昇格するなんて異例の中の異例なんですよ!しかも王国から招待ですよ!この騒ぎになるのは当然ですよ。」


サーシャは自身も興奮した様子だった。

何でこいつ自分の事でもないのに、こんな喜んでんだ?


「わかってるって!そんな事よりサーシャ、早速だけどA級の仕事を受けたいんだけど。」


「そんな事って…!まぁいいです。セイン様申し訳ありませんが今このギルドにはA級の仕事は無いんですよ。」


サーシャが申し訳無さそうに言う。


「ん?どういう事?」


「はい。今この国は他の国に比べ、周辺のモンスターも弱く難度の高いダンションもあまり無いんですよ。ですから最高でもC級の仕事となりますがよろしいですか?」


俺は少し考えるが快く了解した。


「あぁ、C級の仕事でいい!その代わり一番難しく金がいい奴を頼む。」


そして仕事の内容を聞き、俺はギルドを出た。内容は遺跡周辺のC級モンスターを討伐するという俺からすれば簡単な仕事だった。



そして難なく仕事を終え、依頼金と討伐報酬を貰い、また次の日仕事をするという生活を

3日ぐらい続けていると、金がかなりの額溜まったのでユリの店に行く事にした。


「あ!来たわね。ヒーロー君」


店に入ると早速ユリが、からかってくる。


「その呼び方やめろ!寒気がするから。」


「それよりユリ、頼んでた物は?」


俺が聞くとユリはニコーッと笑った。


「出来てるわよ!こっちよ。」


ユリが、そう言い。俺達は店の奥へ行くとユリはゴーレムの素材で作った装備を見せてくれた。


「これよ!すごいでしょ!?」


「セイン様にピッタリな装備ですねこれ。」


ヘブンが珍しく褒めていたので顔を見ると、ニヤニヤしてかやがった。皮肉かよ…


そこにあったのは、ゴーレムの素材を使った鎧だった。全体は黒を基調とし金色の装飾が所々付いていた。


その鎧はデスライズで斬っても、防ぎそうなくらい硬く素晴らしい強度を誇っていた。


それともう一つ俺はユリに頼んでいた、靴だ。今使ってるのは初期装備の物であり、かなり滑るので早いとこ、新しいのが欲しかったのだ。


ゴーレムの素材を使って作った靴は、裏に滑り止めのような物が付いており、それに驚くほど軽く強度も申し分無いほどだった。


「予想以上の出来だな、ありがとう。じゃあこれいくらだ?」


俺がお礼を言い、金を出そうとするとユリが俺の手を止めた。


「お金はタダでいいよ!今日で魔刀あげてから8日目だし、呪いに耐えたご褒美っ。」


「それは流石の俺でも悪いと思うぞ!いや払うって!」


それでも払おうとする俺をユリがまた遮る。


「いいのいいの!お金の代わりじゃ無いけど、あたしをセインの専属鍛治職人にしてほしいの!?ダメ…?」


ユリは上目遣いで俺を見つめながら聞いてくる。


(可愛すぎんだろ!もう一人の俺が出てきそうだ。だがタダになるならまぁいいか…)


「わかった!その条件飲むな。これからよろしくなユリ」


「ありがとぉー!よかったぁ断られるかと思ったから、それとデートの事も忘れ無いでね♪」


ユリは俺の返事を聞くと満面の笑みだった。

ヘブンは微妙な表情だった。


デートの約束を交わし、俺達は店を出る。

俺は今日稼いだ金が結構飛ぶなと思っていたが、タダになったので何かいい物がないかと街をブラブラしていた。





ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


あたしの名前はユリア、仲の親しい人にはユリと呼んでもらっいる。


あたしが彼に惹かれたのは、あたしのが彼に魔刀の呪いの話をした時に彼は驚く事をせず、笑顔を浮かべてた時だ。


そんな彼にその時のあたしが感じたのは恐怖と期待だった。


それから彼は何度か店に顔を出してくれていて、そしてついに魔刀の呪いを破ったのが分かった時に、あたしは彼に惚れていた。




あの魔刀はそれだけあたしとって大事な代物だった。


あたしの父、伝説の鍛治師と呼ばれたタンゴが最期に作った刀だったからだ。


あたしはこの刀を一生売るつもりは無かったのだけど、気づいた時にはセインにあげていた。


そんな父の最高傑作の刀を持つ彼だからこそ気持ちが動いたのかもしれない。






「…デートかぁ。んふふ♪」


ユリはセインと交わした約束を思い出し、頬を赤らめていたのだった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


俺が街を歩いていると少し行った所に気になる店があった。


「奴隷屋」と書かれた看板が奴隷屋と思われる店の前に立て掛けてあった。


「本当にあるんだなこういう店。ゲームには無かったしな」


ゲームにはこんな店など無かったから俺は少し驚いていた。


厳密に言えばゲームとこの世界は全然違うかった。こんな店は勿論ないし、全然知らない場所もあるし、同じなのは最初に見た平原とヘブンに見せて貰ったステータス画面くらいだ。


「この世界はセイン様の知ってるゲームとは違いますからね。セイン様に転生した事を信じてもらうために、あの平原だけは同じにしたのです。」


ヘブンはまるで自分がそうしたかのような言い方だ。どうせ神だろ?


「なるほどな、まぁ入ってみるか!」


「えぇ!入るんですか!?」


俺が入っていくとヘブンが嫌そうについてきた。


中には牢屋の部屋が幾つもあり、思っていたより意外と綺麗だった。


すると奥からこの店の店主だろう男が、俺を見定めながら聞いてくる。


「今日はどの様な用件でしょうか?」


「いい奴がいれば買おうと思ってな。」


あれがそう言うと奴隷は俺の格好を下から舐める様に観察し訪ねてくる。

ちなみに今はまだローブを着ていた。


「ですが、奴隷は結構な値がするものでして…」


「金ならある。心配いらないから。」


それを聞き店主は安心した様だ。



「では、どの様な奴隷を、お探しなのでしょうか?男ですか女ですか?」


「うーん…そーだなぁ、とりあえず性別は何でもいいからこの店の奴隷で一番強い奴がいいな。」


すると店主は奥へと案内してくれる。


「こちらがこの店で一番強い奴隷ですね。ここだけの話ですが、そこらの冒険者より断然強いと思われますよ」


商売になると思ったのか店主はどこか嬉しそうだ。欲望が丸見えなんだよ。

そして俺は言われた奴隷を見る。


その奴隷は獣人の少女だった。


(まぢでいるんだなぁ獣人、ってことはエルフとかも…)


(何考えているんですかセイン様!)



ヘブンが心に語ってくるが、俺は目でヘブンを睨むと獣人の奴隷に目を戻す。


獣人の女は可愛い耳をピクピクさせながら、俺の事を金色の獣の瞳で睨んでいる。


恐らくこれまで酷い扱いを受けてきたんだろうと思うが、特に俺は同情もしないし買う気も今の所はなかった。


「お前名前は?」


俺が聞くと奴隷は睨みながら答えた。


「ナ…ナリス。僕は僕より弱い奴に買われる気はない。」


店主が慌てるが俺は手で大丈夫だと伝える。


「ほぉう、ナリスか。お前は自分より俺が弱いと思ってるのか?」


「正直わからない。お前が来てから僕の感覚が危険と言っている。でも戦ってみたい。」


ナリスがそう言うのを聞くと、俺は店主に話を通しナリスを牢から出し手錠を外してもらい、店の中にある練習場に連れてきた。


この練習場は奴隷の能力を見るためにあるらしいので暴れても平気だそうだ。


俺は練習場に着くとナリスに優しく、だが

やる気を煽る様に条件を出してやる。


「ナリス、お前がもし俺に一発でも攻撃を当てれたら店に金を払いお前を奴隷から解放してやる。」


この世界の奴隷には首輪がしてあり、首輪には特殊な魔法がかかっていて逆らうと命を奪うという効果だ。


俺の条件を聞きやる気が出たのか戦闘モードに入ったナリスに俺は続ける。


「だがもし俺に一発も当てられずお前が戦闘不能になったら、死ぬまで一生使ってやるから覚悟しとけよ!」


俺が言い終わるのと同時にナリスは、地面を思いっきり蹴り俺に突進してきた。


が、俺は余裕を持って交わしナリスの次の行動を見る。ナリスは避けられるとわかっていたのか、既にこちらに向かって走ってきていた。


(これが獣人の超感覚か。ヘブンからさっき聞いたが中々の早さだな)


獣人は超感覚という特殊スキルを持っている、それはいわゆる第六感と呼ばれるものだ。

普通の人間には感じ取れない気配や自身への危険などを一瞬で感じ取るのが超感覚だ。


セインはしばらくナリスの動きを見て避けるだけだったが飽きたのか、わざとナリスに背後を取らせた。


ナリスはセインの背後を取ると勝ちを確信した様に笑い、渾身の蹴りをセインに蹴りおろす。


だかナリスの蹴りは何故か止まっていた。

ナリスは何が起きたのかと確認すると、蹴り下ろしたはずの自分の足がセインの片手一本で止められていた。


ナリスは足を抜こうとするが、セインに握られている足は微動だにしない。


するとセインは手を上にあげナリスを宙ぶらりんの状態にし悪魔の様な笑みを浮かべると、ナリスをそのまま地面を叩きつけたのだった。





俺はもちろん手加減したが、ナリスは胸を打ったのか気持ち悪そうにして倒れ込んでいたが俺の事を見つめている。そんなナリスに向かって俺は言い放つ。




「約束通り今日からお前は俺の奴隷だが、お前は弱い!俺はこの世界で最強になる男だ。俺は弱い奴はいらないが、良いものを見せてもらったお礼に、お前に決めさせてやる!どうするんだ?」



ナリスは即答する。


「僕はこんな強い人に会った事がない。ご主人様がよろしいのであれば、弱い僕ですがご主人様の奴隷にしてください。」





その日、セインは奴隷を買った。























































































お読みいただきありがとうございます。

次も読んでくださると嬉しいです。

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