有名人セイン
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第7話です!
「こいつ本当にB級モンスターかよ!?」
さっき戦ったゴーレムがやったと思われる、地面にあいたクレーターを見ながら俺はヘブンに確認する。
「詳しい事は分かりませんが、これはレア種のゴーレムですね。」
「レア種?」
「はい。強さ的にはB+級ってとこでしょうがレア種は特殊なスキルや、普通のモンスターとは違う外見をしています。」
ヘブンは付け加える。
「それにレア種の素材は高値で取引されていたり、強力な武器や装備の素材になります。」
「つまりこの金色ゴーレムは金になるって事か。くくく…」
(危ない笑い声が出るとこだったな)
「はぁ…セイン様出てますよ。」
笑い声を聞かれてた事に少し恥ずかしくなるが、俺はそれでも笑わずにはいられなかった。
なぜなら今の俺には金がないからだ。
この森の雑魚モンスターを何体討伐しようが、たかだか知れた金だ。そんなタイミングでのレア種のモンスター、しかもB級以上のだ。
俺には金がいる。
小金持ちなどではなく、手に有り余るほどの膨大な金が欲しかった。この世界に来てから決めた俺の目標のために…
「帰るか。」
「そうですね。そろそろ日も暮れますし、それにお腹が空きました。」
ヘブンがお腹を押さえながら言う。
「そうだな。」
俺は帰ろうと回れ右をして歩き出すが、ある事を思い出し先程の場所に戻る。
ある事を試すのを忘れていた俺は、黒魔法作成のスキルで開発した黒魔法を素材を取った後のゴーレムに向けて唱える。
「黒影人形!」
するとゴーレムの死体を包む様に影が広がり、地面から体長4メートルの黒いゴーレムが現れた。
そのゴーレムにはさっきの金色の輝きは無く、命令を待つように突っ立っていた。まるで人形のように。
「俺に忠誠を誓え!」
セインがそう命令すると、ゴーレムはセインの目の前で膝をついていた。
「よし、成功だな。」
セインは満足気に安堵する。
黒影人形はその名の通り、倒したモンスターや自分より圧倒的に弱いモンスターを自分の操り人形にする魔法だ。
そしてこの魔法にはストックがある。
人形にしたモンスターを三体まで、暗黒異空間に収納しておく事が出来る。
「戻れ!」
俺が早速命令するとゴーレムの体がグニャグニャと液体の様になり俺の中に消えていった。
それを確認すると俺達は森を抜け来た道を戻っていった…。
後ゴーレム倒したお陰でかなりレベル上がってた。
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セイン・ブラッド
年齢25 職業 黒魔導師・魔刀使い
レベル68 称号 影を使う者
HP 828
MP 906
筋力 672《A》
防御 563《B》
魔力 790《A》
俊敏 703《A》
知力 854《AA》
運 580《B》
装備
黒のローブE《C》
魔刀デスライズE 《A》
ショートブーツE《E》
スキル
剣武《A》
黒魔法《AA》
青魔法《B》
赤魔法 《B》
隠密《A》
成長《AA》
気配察知 《A》
観察眼 《A》
特殊スキル
黒魔法作成
武器改造
神の呪い
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「こ…これは!?レア種のゴーレム!」
俺達はギルドに戻り言われた数通りの薬草と討伐したモンスターの証を提出すると、サーシャが口をあんぐりと開け硬直していた。
やっと落ち着いたのかサーシャは素から仕事モードに戻り、
「セイン様、これをどこで?」
「どこって勿論森の中だけど?」
サーシャは何かを覚悟した様にセインに語りかける。
「セイン様、あの森でこのランクのモンスターが出るという事は、かなりの大問題なんです。」
サーシャは続いて説明する。
「それだけでも大問題で会議を開く所なんですが、それをたった一人で、しかも討伐したのがB級以上のモンスターとなると…」
俺は息を飲む。
「なると…?」
「ギルド長次第ですが、特例でのランクアップは勿論。もしかすると、森から危険なゴーレムを出さずに民を救ったとして王国から表彰されるかもしれません。」
「それだけB級以上のモンスターは危険な存在なんです。セイン様はこの国の英雄なるかもですね!」
サーシャは自分の事の様に喜んで話していたが、セインは絶句していた。
(国から表彰!?英雄だと!?最悪だ。このままだと…)
「うふふ、セイン様は勇者になってこの国を救うのですね♪」
後ろからヘブンが満面の笑みで小声で囁いてきた。
そう。それこそ俺が恐れていた事だった。
この、神の呪いの理由なく人を傷つけられないに関しては、ある程度自由がきくと判明しているが、
もう一つの呪い、人の助けを無視できない。は絶対の強制力を持つため、助けを求められた場合断る事が出来ないのだ。
もし英雄なんかになったら、国から魔王を倒してくれ!など頼まれるかもしれない。
まぁ魔王という存在がこの世界いるかは不明だが、
そんな事を考えているとサーシャが俺とヘブンを交互に見ながら、申し訳無さそうに聞いてきた。
「セ!…セイン様!ひとつお尋ねしてもよろしいでしょうか!?」
「ん?なに?」
「あの…その…、セイン様とヘブン様は仲間と言っていましたが、付き合っていたりするんですか!?」
サーシャは何度も噛みながら、俺としてはあり得ない事を聞いてきた。
俺にとってはこの世界に俺を更生の為とか言って転生させた神の部下と恋人になるなんて、俺のプライド的にあり得ない事だった。
まぁ顔は超タイプだけど…
「ねぇよ!こいつはただの…俺の部下だな」
「部下って何ですか!この間は仲間って言ってくれたじゃないですか!」
少し顔を赤くしながらヘブンが起こっていたが変に突っかかると、面倒くさそうなので無視する。
「うっしゃあ!」
見た目に合わない幼い声が聞こえたので、目線をサーシャに戻すと…サーシャが全力ガッツポーズしてた。
割と鈍感な俺でもわかった。
こいつ俺に気があるな。
我を忘れてたサーシャは、ふっと元に戻り、ゴミを見る様な目でこっちを見ていたセインに気づくと顔を真っ赤にし、俯いていた。
恥ずかしい半分嬉しい半分だ。
そしてサーシャは顔をあげると、セインの後ろで頬を膨らましているヘブンに向かって宣戦布告をした。
「ヘブンさん私、負けませんから!」
「ふんっ!私は関係ありませんから。」
その後ゴーレムの素材を売りますか?と聞かれたが取り敢えず持ってる分の半分だけ売る事にした。だかそれだけでもかなりの金になった、しばらく働かなくてもいいくらいだった。
それからランクアップの件などは今ギルド長が不在の為、後日ギルドから呼び出しをするとサーシャから聞き了承し俺とまだ怒っているヘブンはギルドを後にした。
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その日俺達は宿に帰り、それぞれの部屋についた。
俺は疲れていたのかベッドに着くなりすぐに寝てしまっていた。
次の日ぐっすり眠れた俺は一階の食堂に行くと、既にヘブンが待っていた。
「おはようございますセイン様。今日はどちらへ?」
いつも通り笑顔で聞いてくる。どうやら機嫌は直ったみたいだつた。
「今日はゴーレムの素材でいい装備が作れないかと思ってな、ユリの店に行こうと思う」
「ちっ…また女かよ…」
声が小さくて聞こえなかったが、ヘブンの顔を見る限り悪口を言われてんだろう。
朝食を食べ終えた俺達は宿を出て、ユリの店に向かっていた。
だか何故か通り過ぎる人々や冒険者らしき者達が、俺の事をチラチラ見てきていた。
正直イライラしていたが、理由はどうせG級冒険者がB級モンスターを討伐したからだろうとわかっていた。
(噂はすぐ広まるのは日本もここもかわんねーな)
そう内心思っているとユリの店に着いたので、中に入るとユリがダッシュして抱きついてきた。
「聞いたよセイン!B級モンスターを一人で討伐したんだって!さすがあたしが期待しただけはあったよ!」
柔らかい感触が当たって正直動揺していたが、俺は何事も無いように返す。
「まぁな、貰った刀も使いやすくて最高だ。ありがとなユリ」
俺からお礼を言われたのが嬉しかったのか、ユリは頬を紅くしていた。
「その様子じゃ呪いは効かないみたいねぇ。ま、デートしてもらえるしいっか♪」
「デートなぁ…それよりユリこれを見てくれ!」
俺は懐を探る仕草をしながら、暗黒異空間からゴーレムの素材をユリに見せる。
するとユリは宝の山を見たかのように飛び跳ねた。
「これがレア種のゴーレムの素材…すごい、すごいわセイン!!」
(ユリめっちゃ嬉しそう)
「あぁ。これで良い装備は作れそうか?」
ユリは俺の質問を聞くと、自信満々の笑顔で首を大きく縦に振った。
ちなみにヘブンは1人で街で買い物するといい、さっさと行ってしまったのでここにはいない。
監視役だったんじゃねーのかよ!
「もちろんよ!今ならどんな物でも作れる気がするわ!」
「じゃあオーダーメイドを頼んでもいいか?」
「基本的にはしないんだけど、セインの頼みだしね、特別よ。」
それから作って欲しい物をユリに伝え、店出た俺はヘブンと合流し街をブラブラした後、何事なく宿に帰り眠りについた。
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次の日サーシャにギルドに顔を出すように言われてたので俺はヘブンを連れ時間通りにギルドに着いた。
中に入ると、ざわざわと周りが言っている。
どうせまたあのゴーレムを倒したって話だろう。
「お待ちしておりました。セイン様こちらです。」
話しかけてきたのはサーシャではなく、おそらく受付のリーダーらしき女性だった。
「わかった。今行く」
そして二階に案内され、着いたのは高級感のある応接室のような部屋だった。
中には1人の男が奥の椅子にどっしりと座っていた。
「やぁ、君がセイン君だね。僕の名前はダイアン・ダーツ、このギルドのギルド長をやってる。よろしくね。」
「あぁ、俺はセイン・ブラッド。よろしく頼む。」
ダイアンに座るように言われ、俺も椅子に座るとすぐに話を始めた。
「早速ですまないが、君には特例でA級冒険者のランクを与えるよ。君にはそれだけの実力があると判断した。質問は?」
「いや、ねぇな」
俺がそう答えると、ダイアンは爆弾を投下した。
「ありがとう。それでねもう一つ、ミラージュ王国から表彰招待が来ていたよ。なんでも国を脅威から守ってくれたヒーローとして迎えるらしな」
「なん…だと!…」
ヘブンは嬉しそうだった。
お読みいただきありがとうございます。
次回も読んでください。