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Chaos_Mythology_Online  作者: 天笠恭介
第一章 バウンティハント
4/50

3.逸脱領域 再会の仲間(一)

――――――――――――――――――――――――――――――――――――


 投稿者名:HAO‐MIKOTO 【公式】イベント開催【告知】


      この度はCMOをプレイしてくださり真にありがとうございます。

      早速ではありますが、長期夏季休暇へ向けて新規のイベントを開催

      いたします。


      イベント名は『バウンティハント』です。


      イベント期間中は世界各地で『賞金首(イエローネーム)』が出現します。

      あの手この手でこれらの討伐を目指してください。


      『賞金首』の判別方法は頭上のネーム郡です。『賞金首』は頭上のこれらが

      白でも青でもなく『黄色』になっていますので、一目で分かるかと思います。


      これらのキャラはかつてCMOをプレイして頂き、現在はいわゆる引退

      という形でログインしていないかつてのプレイヤーたちのキャラクター

      を雛形に、人工知能が操作しているキャラクターになります。

      (元のプレイヤー様にはご連絡の上、了解を頂いております)


      そのため、ただのノンプレイヤーキャラとは異なり、様々な対応を

      取って来ます。


      例えば、複数で協力して皆様を撃退しようとしたり、出会ってすぐに

      逃げようとしたり。

      もしかしたら見逃してくれるように頼んでくるかもしれません。

      それらに対する皆様の行動は自由ですが、対応の仕方によっては何か

      特別なイベントが発生する事があるかもしれません。

      もしかしたら、誰も知らないフィールドやダンジョンに行ける……かも。



      また、賞金首には『ウォンテッドネーム』という二つ名が付いている

      キャラクターも存在します。

      基本的には以下で説明する賞金首ランクの上位者に付けられるもの

      ですが、稀に下位ランクのキャラにも設定されている場合があります。

      『ウォンテッドネーム』付きの賞金首は一筋縄では行かない賞金首たち

      ばかりですので、見かけた際は注意しましょう。

      『ウォンテッドネーム』付きを討伐いたしますと、ある特典が用意されて

      おります。腕に自信のある方は頑張って挑戦して下さい。


      それでは次レスで賞金首ランクと賞金額、及びウォンテッドネーム付き

      を含む賞金首たちの名称をご紹介していきます。

      第一弾は二十五名の賞金首が現れます。

      次の週には第二弾としてさらに二十五名。

      最終的に第四弾で同数追加し、総勢百名の賞金首が出現いたします。

      皆様奮ってご参加下さい。




    投稿者名:HAO‐MIKOTO ランクS 賞金 一千万 ゴールド


           『賢人(けんじん)』 フェルド

           『鉄拳(てっけん)』 竜虎



    投稿者名:HAO‐MIKOTO ランクA 賞金 五百万 ゴールド


           『巨星(きょせい)』 アルタイル

           『五色(ごしき)』 エルシュリー

                 ねるふど



    投稿者名:HAO‐MIKOTO ランクB 賞金 三百万 ゴールド


                 夜露死九

                 旅烏

                 マリアピン

                 ウシャプノス



    投稿者名:HAO‐MIKOTO ランクC 賞金 二百万 ゴールド


                 HELLO

                 ナヌーケイレス

                 じーニあす

                 kk

                 明日真



    投稿者名:HAO‐MIKOTO ランクD 賞金 百万 ゴールド


                 てすタメント

                 栗尾根

                 クヴァケコ

                 Jadge

                 オシリル



    投稿者名:HAO‐MIKOTO ランクE 賞金 五十万 ゴールド


――――――――――――――――――――――――――――――――――――


――――――――――――――――――――――――――――――――――――



 投稿者名:HAO‐MIKOTO 【公式】イベント続報【告知】


      この度はCMOをプレイして下さり真にありがとうございます。

      皆様におかれましては長期夏季休暇いかがお過ごしでしょうか。

      早速ですが、イベントの続編の連絡をさせて頂きます。


      バウンティハントイベント第二弾!

      新たな賞金首たちが追加されました。


      下記のランク別に『New』の文字が付いているのが新しい

      賞金首たちです。


      すでに討たれた賞金首には『討伐完了』と明記されています。


      討伐状況は随時更新していきますので、ご確認下さい。



    投稿者名:HAO‐MIKOTO ランクS 賞金 一千万 ゴールド


           『賢人(けんじん)』 フェルド

           『鉄拳(てっけん)』 竜虎

        New『銀狼(ぎんろう)』 鳳牙

        New『迅雷(じんらい)』 ハヤブサ



    投稿者名:HAO‐MIKOTO ランクA 賞金 五百万 ゴールド


           『巨星(きょせい)』 アルタイル

           『五色(ごしき)』 エルシュリー

                 ねるふど

        New『鉄壁(てっぺき)』 小燕

        New『無音(むおん)』 DAMCUST

        New      ヴぁーん



    投稿者名:HAO‐MIKOTO ランクB 賞金 三百万 ゴールド


                 夜露死九   ※討伐完了

                 旅烏

                 マリアピン

                 ウシャプノス

――――――――――――――――――――――――――――――――――――





 鳳牙がバウンティハントイベントに巻き込まれてから、瞬く間に二日が過ぎた。

 それでも状況の急激な変化に慣れるためにはまだ少し足りないくらいだ。


 実際今までのゲームとの最大の相違点は、ゲームキャラクターのままで生理現象が発生してしまうという事だった。

 空腹をおぼえて物を食べれば満たされ、喉の渇きは飲料アイテムで潤せる。汗もかけば排泄行為も見事に催してしまうため、風呂やトイレという物が今のところ見当たらない状況でかなりの苦痛を強いられていた。

 またそういった排泄行為が出来るという事で、少なくとも『異端者の最果て』においては禁止行為が存在しない可能性があった。現実世界で犯罪になる行為は本来システム側で強制的にブロックする仕様になっているのだが、この場所ではそれが機能していない。


 そのため、鳳牙は小燕が妙な事に巻き込まれないように特に気を配った。他の女性プレイヤーたちも出来る限り複数名で行動するように心がけているようで、なんとなく男女間でギスギスした空気が漂っている。

 今はまだ何も起こってはいないようだが、最終的には百名ものプレイヤーが終結する事になると考えると、いつ何が起きても不思議では無かった。


 そんな状況にあって唯一幸いと言えるかもしれない事は、火之迦具土神の討伐メンバーが全員が巻き込まれてしまっているという事だ。

 掲示板で残りの仲間二人の名前を確認した鳳牙はすぐさま【ささやき】で連絡を取り、すでに『異端者の最果て』にいた二人とその日の内に合流する事が出来た。


    ◇


「フェルドさん!」

「フェル兄!」

「鳳牙! 小燕も!」


 小燕と一緒に劇場のトランスポーターを利用した鳳牙は、移動先で待っていた青年――フェルドと抱き合って無事を確認しあった。


 清潔感のある程度に短くまとめられた新緑を思わせる緑の髪に、優しさの中に鋭さを潜ませる黄玉の瞳。金の刺繍が入った純白のローブを着込む彼は、仲間内でヒーラーを担う『司祭(ビショップ)』である。

 茶縁のアンダーリムの眼鏡を外し、彼はわずかに滲んでいた涙をぬぐっていた。


「巻き込まれていないで欲しいとは思ってたけど、やっぱり二人と一緒だとちょっと安心するよ」

「フェル兄~」


 小燕が再び軽くではあるが涙ぐみつつ、フェルドのローブに顔を埋める。プレートメイルを着込んだ小燕の抱き付きは結構な衝撃があるのだが、年長者の意地だろうか、苦しさをおくびにも出さず彼はそんな彼女の頭を鳳牙と同じように優しく撫でていた。


「……あ、そういえばアルタイルさんもいるんですよね?」

「え? あ、うん。けど、今ちょうど北の方へ探索に行っているんだ。さっき連絡したら『超特急で戻るで御座る』って言ってたから、そう時間もかからずに戻ってくると思うよ。まあ、立ち話もなんだから酒場にでも行こうか」


 促されるまま、鳳牙はフェルドの後を付いて酒場へ向かう。


 仲間内でフェルドはまとめ役のポジションにいた。間延びしがちなネットゲームにおいて臆せずてきぱきと仕切ってくれる人は貴重である。

 また、鳳牙が現実世界で通う高校のOBという事もあって、鳳牙にとっては頼れる先輩の一人でもあった。


「よし、ここだ」


 連れて行かれた『異端者の最果て』の酒場は、通常のタウンエリアにあるものと大差のない建物だった。規模にして五人卓が十個にカウンター七席程度。カウンターの向こうには一人のメイドがいて、どうやら彼女に話しかける事で買い物やら銀行の機能を使用する事が出来るらしい。

 酒場には他に数名のプレイヤーがたむろしているのみで、全体的にがらんとした感じである。


「今はまだ五十人だからね。入り浸る人も少ないし、まあ結構快適だよ」


 フェルドはカウンターで四人分の飲み物を注文すると、手近な卓の席に腰を下ろして鳳牙たちにも席に着くように促してきた。

 鳳牙と小燕が促されるままに席に付くと、フェルドはそれぞれに飲み物を配り、一度姿勢を正してからすっと眼鏡の位置を調節してキラリと輝かせた。


「二人ともまず最初に聞いておきたいんだけど、自分の事をどこまで覚えてる?」

「え?」


 鳳牙はフェルドの質問の意味を理解し損ねた。そのために首を傾げたのだが、相手の真剣な表情にただならぬ気配を感じ、


「それ、どういう意味ですか?」


 鳳牙も姿勢を正して問い返した。


「ああ、ごめん。言い方が悪かった。えっと、鳳牙は現実世界での自分の名前とか住所とか、そういったものを何か覚えているかい?」

「名前と、住所ですか?」


 それは実におかしな質問だった。普通ネットゲーム内で話題にするものではないし、意識する事も無いものだからだ。

 しかし相変わらず神妙な顔つきのままのフェルドを見て、鳳牙はとりあえず言われた事を頭に思い浮かべようとして――


 ――あれ?


 まったく思い浮かばない自分自身に驚く事になった。それが顔に出たのだろう。


「やっぱり君たちもか」


 フェルドが大きくため息を吐き出した。

 隣を見れば、小燕も不思議そうに首を傾げている。おそらく彼女も思い出せないのだろう。


「えっと、ですけど家族の事とか自分の事とか、高校の事とかだって覚えてますよ?」

「うん。それは分かっている。僕も自分の名前と住所に関する事以外は全部覚えてるんだ。自分がどこのアクセスポイント喫茶からログインしてたかって事もね」


 テーブルにひじを突き、フェルドががしがしと頭をかいている。


「分かった。一先ずこの話は後にしよう。ところで二人とも、劇場で妙なメイドから説明は受けているよね?」

「え? あ、はい。賞金首イベントについてと、解放条件らしきものについては」


 鳳牙が答えると、その隣で小燕も同意するようにコクコクと頷いている。彼女は小難しい話が苦手なので、言葉による相槌役を全面的に鳳牙に任せるつもりのようだ。


「うん。それじゃあ、僕から話す事はこの一週間の事ぐらいか」

「ああ。そういえばフェルドさんは俺たちより一週間早くからここにいるんですよね?」

「うん。僕らが最初の二十五人だからね。いや、本当にわけが分からないよ」


 ふうとため息を吐き出してから、フェルドは鳳牙の知らない直近の一週間について話し始めた。


 まず、全ての賞金首たちがいまだにこの状況を打破出来ていない点について。

 普通であればこのような理不尽な状況を外部に知らせて騒ぎにしてしまうのがもっとも手っ取り早い話ではあるのだが、それを出来ない理由があるという。


「さっき確認した自分たちの事もだけど、今フレンドリストって真っ白になってるでしょ?」


 フェルドの問いに鳳牙は無言で頷く。それはどことも知れない荒野ですでに確認済みだ。

 加えて、外部と連絡の取れそうなチャット機能は一般プレイヤーに対して機能しなくなっている。出来るとすれば通常チャットで直接会って話す事くらいだろう。


「それに、ギルドを脱退させられているらしくてね。ギルドチャットも使えないんだ」


 つんつんとフェルドが自分の頭上を指差した。


「あ……」


 そこでようやく、鳳牙はフェルドの頭上にキャラクターネームしか存在していない事に気が付いた。元々未所属だった鳳牙や小燕は別として、ギルドに所属していたフェルドにはキャラクターネームの上の段に所属ギルドのネームタグが表示されているはずである。

 それが無いという事は、今現在のフェルドはギルドに未所属という事になる。


「アルタイルも『煌星忍軍(きらぼしにんぐん)』のタグが無くなってたから、恐らくは賞金首全員がギルドに未所属の状態なんだろうね。ギルドは新しくここで作れってことなんじゃないかな」


 そう言えば、と鳳牙は先ほどのミコトがギルドの新設に関してもなにやら話をしていた事を思い出す。

 こんな状況になるまではこれといって深く意識をした事のなかった鳳牙だったが、今となっては気の置ける仲間の存在というものは非常に重要かつ貴重だろう。

 ギルドに関してはいずれ考える必要のある事柄といえた。


「でも、このギルドってのが結構厄介でね。まあ、割と面倒だから今は省こうか。それよりも――」


 一度そこで言葉を切り、フェルドは飲み物でわずかに喉を潤すと、


「最大の問題は僕らと言うよりも一般プレイヤーたちだね」


 何故か突然苦虫を噛み潰したような顔なった。両肘をテーブルに突いて指を絡め、黄色い瞳が眼鏡のレンズの向こうで睨む様な鋭いものへと変わる。


「一般プレイヤーって、一般プレイヤーですか?」


 鳳牙はフェルドの言葉のどこにもそんな表情をさせる要素が見当たらなかったため、再確認の意味を込めて尋ね返す。


「うん。最初に言ったけど、僕ら初めの二十五人……今は二十一人になってるけど、別に手をこまねいていたわけじゃないんだ」


 突然放り込まれた理不尽な状況下で、当然ながら強い反発的な空気が場を支配したという。

 加えて、その時は多少の感覚の違いはあれどもは誰もがあくまでゲームの延長線上に過ぎないという考えを持っていた。

 掲示板の内容も一笑に付し、運営の性質の悪い冗談を即刻辞めさせるべきだという意見が多数を占めたのだ。


「それで、ここに来てすぐだったかな。元々ギルドに所属していた四人が名乗りを上げて、それぞれの知り合いに状況を伝えるために外へ行ったんだ。……けど、一人も帰ってこなかった」


 そっと、フェルドが目を伏せる。


 鳳牙は吐き出された彼の言葉の重さに驚き、そしてその意味を知って息を呑んだ。

 異端者の最果てを出た賞金首が戻って来ない。それの意味するところは――


「全員がその日の内に討たれてたって知ったのは二日後だったよ。掲示板に賞金首討伐報告ってスレが立ってさ。外に行った四人の名前が載ってた」


 眼を伏せたままのフェルドが重々しく息を吐き出した。

 鳳牙は何も言葉が浮かばない。隣の小燕も両手を口に当てて大きく眼を見開いていた。


「その後も何人か外へ行ったけど、死ななかっただけで結果は同じ。どういう理由か分からないんだけど、一般のプレイヤーは誰もこのイベントを疑ってないんだ。僕らは人工知能が操るイベントモブ扱いで、まともに話を聞いてくれないんだよ」


 フェルドの口から語られる事実は、賞金首たちが持っていたであろう予測を打ち砕くものであった。あの場では誰も言及しなかった事だが、知り合いの誰かと連絡を取れればどうとでもなるという考えは鳳牙にもあった。

 だが現実は違う。知り合いに会いに行ったという賞金首は総じて一般プレイヤーに襲われ、すでに四人が討たれているという。


「しかも、僕らには七月六日に意識を失ってから意識を取り戻すまで三週間から一ヶ月もの空白期間がある。となれば、その間生身の僕らは一体どうなっていたのかという疑問と、バーチャルリアリティ機器による長期間の意識不明者に関する報道が掲示板でまったく話題になっていないのは何故かという疑問が出る」


 フェルドの示す疑問点は、鳳牙も今日が八月三日であるという事を知らされてからずっと抱いていたものだ。


 意識を失った日、現実世界の鳳牙は行き付けのアクセスポイント喫茶からバーチャルリアリティ機器を使ってCMOへログインしていた。

 その状態で意識を失い、一ヵ月後にゲームの中で目を覚ましたという事は、その間鳳牙の本当の肉体はずっとアクセスポイント喫茶のバーチャルリアリティ機器とリンクし続けているという事になる。

 よしんば誰かに異常を察知されて病院なり何なりに搬送されているのだとして、それによって強制ログアウトが行われない事や意識不明に関して一切話題になっていないのはあまりにもおかしな話だ。


 他人の口に戸は立てられない。匿名掲示板も数多くある世の中にあって、公にされた物が秘匿される事はありえないのだ。

 つまり考えられる事としては、意識不明者に関する報道が一切なされていないという事になるのだろう。


「情報が無いから明確な事は僕にも分からないよ。けれど報道云々は別にして、少なくとも今こうして僕らの意識が正常に顕在化しているという事は、生身の肉体が生きてはいるって事なんだろうね。さすがに死んでたら目覚めないだろうし、死ねば消えるだろうから」


 今ここでこうしている事が確かに生きている証であるという考えには鳳牙も賛成だった。

 ただ、今は鳳牙自身が鳳牙というキャラクターそのものになってしまっているような感覚のため、なんとも不思議な気分だった。


「その辺りも含めて外の事情が知りたいんだけど、残念ながらさっき言った通り外部に協力を求める事は難しい。それにゲーム内だと外部の掲示板は見れないから、ゲーム内掲示板しか情報源が無いんだよね」


 言いながら、フェルドの視線が宙に向けられる。


 台詞を文章で表示させる吹き出しチャットウィンドウ以外のウィンドウは本人にしか見えないため、鳳牙はフェルドが掲示板を開いているのだろうと判断した。


「一応僕らでもスレッドを立てたりレスをしたりする事は出来るみたいなんだけど、人の名前に繋がりそうな書き込みが出来ないんだよね。他にも僕らに近い事柄、例えば僕の場合だと通ってる大学の名前とかだね。こういったものの書き込みも受け付けてくれないんだ」


 やれやれといった感じで首を振って、掲示板を閉じたのかフェルドが再び鳳牙たちに視線を合わせてきた。


「人に伝えようにも死にかねなくて、掲示板で騒ごうとしても規制がかかる。今のところ八方塞ってわけさ。とまあこんな感じで、僕らはいまだにゲームの中にいるってわけ」


 話を終え、椅子に座ったままでフェルドが肩をすくめて見せる。それは彼の持つ癖であり、そんないつも通りの姿を見た事で鳳牙は今までの緊張状態をやや和らげる事が出来た。

 そうして力を抜いた直後、


「うぬ。話は終わりに御座るか?」


 突然天井から黒装束を着込んだ人物がにょっきりと生えてきて、


「うおあっ!」


 鳳牙は椅子を蹴倒して後方へ逃げた。



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― 新着の感想 ―
[一言] 名前や住所を覚えてないってのは、 自分が人間だと思い込むよう記憶を作られた存在を連想させるね あるいは作者のしかけたミスリードか
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