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Chaos_Mythology_Online  作者: 天笠恭介
第二章 ボーダー
10/50

1.新設旗揚 真理の探究者

――――――――――――――――――――――――――――――――――――



投稿者名:HAO‐MIKOTO 【公式】イベント続報【告知】


  この度はCMOをプレイしてくださり真にありがとうございます。

  社会人の皆様にとってはもう終わってしまったかと思いますが、

  長い長い夏季休暇も残すところあと一週間ほどでしょうか?

  大型イベントも本日が一区切りになります。


  ところで、もう一つ更新情報関係のスレッドを立てましたので、

  以下のスレッド


  『バウンティハントイベントに新システムが実装されました』


  こちらの方もご確認くださいね♪



  それでは早速以下より賞金首情報をお届けいたします。


  バウンティハントイベント第四弾! 新たな賞金首たちが追加さ

  れました。


  下記のランク別に『New』の文字が付いているのが新しい

  賞金首たちです。


  すでに討たれた賞金首には『討伐完了』と明記されています。


  討伐状況は随時更新していきますので、ご確認下さい。



 投稿者名:HAO‐MIKOTO ランクS 賞金 一千万 ゴールド


      『賢人(けんじん)』 フェルド

      『鉄拳(てっけん)』 竜虎

      『銀狼(ぎんろう)』 鳳牙

      『迅雷(じんらい)』 ハヤブサ

      『天崩(あまくずし)』 どんどら

      『遠見(とおみ)』 Senri

   New『極砲(きょくほう)』 ディード

   New『神威(かむい)』 きよたま



 投稿者名:HAO‐MIKOTO ランクA 賞金 五百万 ゴールド


      『巨星(きょせい)』 アルタイル

      『五色(ごしき)』 エルシュリー

            ねるふど

      『鉄壁(てっぺき)』 小燕

      『無音(むおん)』 DAMCUST

            ヴぁーん   ※討伐完了

      『聖帝(せいてい)』 ガンガルチア

      『冥王(めいおう)』 ぱにっしゃー

            リクオウ

   New『戦狂(せんきょう)』 獅子王

   New『無双(むそう)』 ステラ

            AMS




 投稿者名:HAO‐MIKOTO ランクB 賞金 三百万 ゴールド


             夜露死九   ※討伐完了

             旅烏

             マリアピン  ※討伐完了

             ウシャプノス

――――――――――――――――――――――――――――――――――――


――――――――――――――――――――――――――――――――――――



投稿者名:HAO‐MIKOTO イベントに新システムが実装されました


  本日で全ての賞金首、総勢百名が実装となりました。

  そのため、本日より新システムが実装されることになります。


  まず、各タウンエリアに配置される『イベント実行委員』というネーム

  の付いたNPCに話しかけてください。

  すると、持ち物ボックスに『賞金首交戦記録』というアイテムが追加さ

  れます。


  こちらのアイテムを所持した状態で賞金首と交戦を行うと、自動的にポ

  イントが加算されて行き、加算ポイントが一定値を超えるごとに特別な

  アイテムを手に入れる事が出来ます。


  ちなみに、交戦とは賞金首に何らかの形でダメージを与える事を指しま

  す。一方的にやられた場合はポイントが加算されませんので、なんとか

  一矢報いるようにして下さいね。


  交戦ポイントは賞金首ランクに関係なく一定ですが、一体の賞金首に対

  して一日一回のみのポイント加算になりますので、その日のうちに同じ

  賞金首と数回交戦しても、ポイントは一回分しか入りません。

  様々な賞金首たちと幅広く戦闘を行って下さい。

  もちろん、討伐成功時にはランクに応じた特別ポイントが加算されます

  ので、賞金と合わせて狙ってみてくださいね。




――――――――――――――――――――――――――――――――――――


――――――――――――――――――――――――――――――――――――


投稿者名:三郎 【総勢】賞金首目撃情報交換スレッドその2【百名】


  前のスレッドが多くなって見辛くなったので、新しく作りました。

  第四弾で賞金首の追加は終了のようですが、まだまだ新要素の実装

  はありそうな感じですね。


  それではまた賞金首の情報を交換し合いましょう。

  スクショは外部の掲示板


  『賞金首の指名手配書保管庫』


  に掲載してますので、誰が誰なのかはそちらで確認してください。

  今のところ五十名ほどの指名手配書が完成しております。


  第三弾の発表であったように、賞金首たちがギルドを結成している

  ようです。

  ギルマスタグを付けている賞金首を倒せば所属賞金首たちの全賞金

  を一度に手に入れる事が出来るという事なので、タグ付きは最優先

  で撃破を狙いましょう。


  また、賞金首が結成したギルドに参加することで限定エリアや限定

  ダンジョンに挑戦出来るかもしれないという発表もありましたが、

  現在こちらに関する情報を渇望しております。


  心当たりのある方は是非書き込んでください。



  以下テンプレ


  賞金首に関しての目撃情報など


  遭遇場所:

  賞金首名:

  交戦:した/しない

  自戦力:

  戦績:勝ち/負け

  ↓ 使用スキル他 賞金首のスペック等 ↓





  討伐済み賞金首数 十一人


  内訳

  ランクS 〇/八

  ランクA 一/十二

  ランクB 三/十六

  ランクC 一/二十

  ランクD 〇/二十

  ランクE 六/二十四



  残り賞金首数 八十九人



 投稿者名:てりぶー Re:【総勢】賞金首目撃情報交換スレッドその2【百名】


   >>三郎

   スレ立ておつかれー。

   一応テンプレに入ってなかったんで、前スレで確認出来る限りの

   賞金首たちのギルド名も書いておきますね。


   所属人数が五名以上|(複数パーティー可)と思われるギルド


   『秘密の花園(シークレットガーデン)

   『()だまりの(ねこ)

   『聖帝十字軍(セントクルセイダーズ)

   『(パーティー)』 


         

   所属人数が五名|(単一パーティー)のみと思われるギルド


   『蒼穹旅団(そうきゅうりょだん)



   ギルマス単独行動のみ|(一人ギルド?)が確認されてるギルド


   『山麓の庵《ハーミテイジフィート》』



 投稿者名:あくせる Re:【総勢】賞金首目撃情報交換スレッドその2【百名】


   >>三郎

   おつおつ。


   ってかこうしてみるとまだ一割しか討伐できてないんだな。

   そろそろ一月経つんだけどなぁ。



 投稿者名:クルクル Re:【総勢】賞金首目撃情報交換スレッドその2【百名】


   >>あくせる

   今はそうでもないけど、最初の二週間は全然賞金首が

   見当たらない状態だったからな。

   三週間目に入るかどうかの時から急激に目撃回数が増えて、

   戦闘の報告もバンバン入るようになった。

   最初に確認された賞金首ギルドって確か『秘密の花園』だけど、

   ほぼ同時期に『宴』が見つかって、他のもそう時間差なく

   確認されてるよな。



 投稿者名:Foo Re:【総勢】賞金首目撃情報交換スレッドその2【百名】


   まだ発見されてないのも多そうだよな。

   『山麓の庵』みたいな単独ギルドもあるんなら特に。

   判明してるのを概算で足していっても五十人いかないんじゃね?



 投稿者名:ともちん Re:【総勢】賞金首目撃情報交換スレッドその2【百名】


   >>Foo

   せやなー。けど、一人ギルドって何か意味あるん?

   パーティー組まへんねやったら、ギルド作る意味ないと

   思んやけど。



 投稿者名:ひまわり Re:【総勢】賞金首目撃情報交換スレッドその2【百名】


   >>ともちん

   常識で考えればそうなんだけどねー。


   あ、もしかしたらその賞金首のギルドになら所属出来るかも?

   他に一杯いるところだとメンバー募集なんてしてないだろうし。



 投稿者名:ともちん Re:【総勢】賞金首目撃情報交換スレッドその2【百名】


   >>ひまわり

   あ、そん発想は無かったわー。

   そないなふうやったら、確かに一人ギルドってのも頷けるわ。

   よっしゃ、ちょいと賞金首のギルマスさがしてくるわ。



 投稿者名:てりぶー Re:【総勢】賞金首目撃情報交換スレッドその2【百名】


   >>ともちん

   殺すなよ! いいか、絶対殺すなよ! 間違えたとか無しだぞ!


   でも大抵のやつは金に目がくらんで襲っちゃうと思うんだよな。



 投稿者名:Stolo Re:【総勢】賞金首目撃情報交換スレッドその2【百名】


   女賞金首が単独ギルド張ってたら是非仲間に入れて欲しいものだ。



 投稿者名:火事場猫 Re:【総勢】賞金首目撃情報交換スレッドその2【百名】


   >>Stolo

   俺の○○たんは死んでも守る! ってか?


   そういや指名手配書リストで結構美人キャラいるよな。

   『秘密の花園』のハヤブサってSランク賞金首はめっさ美人だぞ。

   しかも胸がでかい。あれはいいものだ。



 投稿者名:Stolo Re:【総勢】賞金首目撃情報交換スレッドその2【百名】


   >>火事場猫

   それには同意せざるを得ないが、いいから落ち着け。

   ここは公共の場だし匿名じゃないんだ。

   お前のCMO人生が終わりかねんぞ。



 投稿者名:火事場猫 Re:【総勢】賞金首目撃情報交換スレッドその2【百名】


   >>Stolo

   ふっ。同士よ。忠告感謝する。

   だが、俺はあえて言おう。


   「お っ ぱ い は 正 義 で あ る」と。


   さて、俺はこれからおっぱい会議があるので失礼する。

   最近『ひんぬー同盟』との小競り合いがひどくてな。

   休む暇も無いんだ。



 投稿者名:TAO Re:【総勢】賞金首目撃情報交換スレッドその2【百名】


   >>火事場猫

   『ひんぬー同盟』ワロタ。

   そして試しにギルド検索したら実在ギルドでさらにフイタ(笑)

   敵対ギルドにしっかりと『きょぬー主義』って明記されたんだが、

   おまいのギルドはこれなのか?

         


 投稿者名:火事場猫 Re:【総勢】賞金首目撃情報交換スレッドその2【百名】


   >>TAO

   イエス。アイ・アム・きょぬー主義!

   随時メンバー募集中なので、挟まれる位が好きってやつはどんどん

   来い。

   あとぶっちゃけうちのギルマスもひんぬーのギルマスもリアル女性

   だから、女性蔑視とかそういうんじゃないので石を投げないでね♪



 投稿者名:Fake Re:【総勢】賞金首目撃情報交換スレッドその2【百名】


   >>火事場猫

   すまん、今すぐひんぬーに参加したいんだが、誰に連絡を取れば

   いいんだ?



 投稿者名:火事場猫 Re:【総勢】賞金首目撃情報交換スレッドその2【百名】


   >>Fake

   ひんぬー派かよ!(笑)

   公式のギルド検索でギルマス名分かるからそれで連絡するといい。



 投稿者名:エッジ Re:【総勢】賞金首目撃情報交換スレッドその2【百名】


   ……なあ、ここって賞金首の情報交換する場所だよな?

   何この流れ?









   いいぞ、もっとやれ。



 投稿者名:桂冠 Re:【総勢】賞金首目撃情報交換スレッドその2【百名】


   >>エッジ

   煽るな(笑)


   それはそれとして、俺から一個報告な。


   さっき『銀狼』と『巨星』に襲われた。

   んで、この二名もギルドネーム付いてたんだ。


   『真理の探究者シーカーズアフタートゥルース


   って名前らしいな。ちなみに両方ともギルマスじゃなかった。

   前スレのレポートから類推すれば、『賢人』がギルマスで『鉄壁』

   も参加してるんじゃないかな。

   そんな感じ。



 投稿者名:老師ちゃん Re:【総勢】賞金首目撃情報交換スレッドその2【百名】


   >>桂冠

   ウォンテッドネーム持ちだけで構成されるギルドとか何それ怖い。



――――――――――――――――――――――――――――――――――――





「フェル兄ー。次運ぶのどれー?」


 時は午前の八時前。手元の紙になにやら書き込みつつ別の書類にペケ印をつけていたフェルドは、元気の良い小燕の声に反応して手元に集中していた視線を上げた。


 場所は新築のギルドホームの玄関ホール。玄関から入ってすぐのホールは左右にも奥行き的にも広々としており、簡素だがややくすんだ赤色の絨毯まで敷いてある。

 そのホールを取り囲むのは、壁から張り出した二階の廊下と、行き来のための左右対称の階段。緩やかなカーブを描く階段とそれに繋がる廊下は、まるで巨人が広げた両手を差し伸べているか、今まさに抱き締めようとしているかのような印象を覚える。

 壁面は淡く色の付いた白色に塗られ、ところどころに明り取りのランプが取り付けられていた。


 そんな貴族の邸宅を思わせるようなギルドホームの広々とした玄関ホールは、その広さを存分に生かして様々なもので溢れかえっていた。

 大きいものだけでも机や椅子をはじめベッドにタンスに狸の置物などなど、まるで引越しの最中かなにかのようである。


 いや、事実引越しの真っ最中なのだ。


 御影をギルドマスターに据え、新ギルド『真理の探究者』を立ち上げた面々は、かねてより要望の高かったギルドホームを建設する事にしたのである。

 立ち上げメンバーが五人だったため、本拠地は最小規模の十人用だった。ギルドマスターである御影の要望で、人気の高い露店やホームポイント付近を避けてなるべく静かなところに建設されている。


 また、『異端者の最果て』で作るギルドホームには、ホーム管理者としてメイドを一名雇う事が出来る。


 フェルドは例の如くメイドコールに応じて出現したHAR‐七に確認をとり、全員で話し合って彼女をそのまま雇う事にした。

 今更他のメイドというのもしっくりこなかったというのが大部分だが、きっかけは一緒に説明を聞いていた鳳牙から『彼女でもいいんじゃないですか?』という提案が出たせいだ。

 後から聞いた話によれば、説明をしている間のHAR‐七から『自分を雇え』といった無言の圧力をひしひしと感じたせいだという。

 フェルドは全く気がつかなかったので、獣人の鋭敏な感覚のせいだろうと特に気にはしなかった。


 そんなこんなでフェルドたちのホームは無事完了し、今は買い付けたり御影が作成したりした家具を各自の部屋に持ち込んでいる最中というわけだ。


「フェル兄どうしたの?」 

「ん? ああ、ごめんごめん」


 くいくいとローブを引っ張られて、フェルドは上げた顔を再び下へ、今度は手元ではなく傍らに立つ小燕へと向ける。


 今の彼女はいつもの鎧姿ではなく、動きやすそうな灰色と白を基調とした布製品を見につけていた。上着は半袖で丈がやや短いせいか、ちらちらと可愛らしいお腹とおへそが見え隠れしている。下はぷくっと細長い風船のように膨らんだズボンスタイルで、カーゴパンツのように小さなポケットが縫い付けられていた。


「荷物だったよね? えっと……これは管理人室に入れるベッドか。小燕、悪いんだけどこれ管理人室に運んで」


 フェルドは目の前のシンプルな一人用ベッドを持っているペンで指さし、小燕に指示を与えた。


 指示を受けた小燕は、


「ういさっさ。それじゃあ運んできますよん」


 ぐるぐる腕を回してベッドに近づいたかと思うと、さながらウェイトリフティングのように軽々と頭の上にベッドを持ち上げてしまった。


「小燕様。私が自分で運びます」


 ちょうどそこへ、闇色髪に同色の瞳をもつセミロングのメイドがやってくる。頭上に表示されるのは青色文字の『ハルナ』というネームだ。


 ホームの管理者として雇う際、一度消えたと思ったら、次に出てきたときには名前が変更されていたのである。ホーム管理者として雇うメイドは名前が変更出来るという事だったが、ハルナは自分で自分の名前を変えたらしい。

 普通に考えれば勝手な行動なのだが、もとよりその名前で呼んでいた手前、誰も文句は言わなかった。


「いいよいいよ。ハル姉はフェル兄を手伝ってて。まだまだ一杯届くから」

「lib。それではお願いいたします」

「ういさっさ」


 どたどたと重い足音を立てながら、小燕がベッドを持ち上げて階段を上っていく。その姿が一番手前の部屋に消えたのを見送って、フェルドはふとある事に気が付いた。


「あれ? そういえば御影さん何処いったか知らない?」


 きょろきょろと周囲を見回しながらフェルドが尋ねると、


「lib。ギルドマスターは先ほど『考えてみりゃあ俺一番偉えんだから、雑用は手前らでやっとけ』と仰ってキセルを片手に出て行かれました」


 淡々とハルナがそんな回答をよこして来る。

 無表情のまま特に声音も変えずに乱暴な物言いを真似るハルナは、どこか新鮮だった。


 ――って、今はそんな事考えてる場合じゃない。


 ちょっと和みかけた頭をぶんぶん振って正常に戻し、


「でも僕、さっきからずっとここにいたから、誰か出て行けばすぐ気がついたと思うんだけど?」


 フェルドは玄関口に陣取る自分の状況を指をさして伝える。ホーム内の各部屋には窓もあるが、そこからの出入りは出来ないようになっている。

 つまり、ギルドホームから外に出るにはどうしてもフェルドがいた玄関ホールを経由しなくてはならないのだ。


 ハルナもフェルドの言いたい事に見当が付いたのか、一度深々と頭を下げると、


「lib。私の伝え方に間違いがありました。申し訳ありません。訂正いたします。ギルドマスターは『異端者の最果て』から外へお出かけになりました」

「ああ、なるほど。転送か」


 フェルドの呟きに、ハルナがliberate(リベレイト)と応じる。


 自室からハルナによって外へ転送されたのなら、フェルドが気が付かなったのは当然だ。


 小さく溜息を吐きながらフェルドはすっと眼鏡の位置を直し、


「やれやれ、まったくあの人は……」


 思わず愚痴をこぼしてしまう。


 現在、御影は異端者の最果てで唯一賞金首ではない一般プレイヤーであり、なおかつ賞金首の所属するギルドのマスターでもある。

 一般プレイヤーが異端者の最果てに出入りするためには、ギルド管理者メイドから購入出来るチケットを消費しなければならない。そしてその対価は撃退マーク五個分という、微妙に安くはないものだ。

 一度入ってしまえばその場でのログアウトも可能なため、ログインの都度チケットが必要という事はないが、転送で外に出てしまうと再入場には当然チケットが必要になる。


 フェルドたちはギルドの機能拡張に必要な分にちょっと足した程度までしかマークを集めていないため、現状チケットに回せる分はそう多くはない。そのため、鳳牙とアルタイルにはホームの整備に優先して少量でもストック分を確保しようという事で撃退マーク稼ぎに出てもらっていた。

 回復はポットを大量に持たせてあるので無茶をしなければ何とかなるだろうという判断だ。

 そして下手に囲まれた時などは移動速度に勝る忍者や獣化の使える獣人だけで動くほうが自由が利くという理由もある。


「どうしたものかな。……ハルナさん。御影さんチケット買って行った?」

「いいえ。お勧めはしたのですが、後で連絡すると仰られました」

「だよね」


 今度は盛大に溜息を吐き出し、フェルドはチャットを【ささやき】に変更し、同じくエリア外で活動している鳳牙とアルタイルにその設定を合わせた。


 ――何も起こらないといいんだけど……


 なんとなく嫌な予感が沸き起こり、フェルドの気分はより一層憂鬱なものになってしまう。


 その隣で、フェルドの様子が理解できなかったのか、ハルナが無表情のままちょこんと首を傾げていた。



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