爪先の遊戯
うん。今日もばっちり。
女は磨き上げた爪先を眺め、にっこりと笑った。
この爪先は、女の商売道具。
だから、手入れには余念がない。
さあ。今日も仕事の時間だ。
女は支度をし、家を出た。
夜。女は、男と会っていた。
話が弾んでくると、やがて男は、静かなところへと、女を誘った。
女は頷き、場所を移す。
着いたのは人気のない、公園だった。
「じゃあ、今夜も頼むよ」
茂みに女を連れ込んだ男は、上着を脱ぎながら女に言った。
女は妖艶な笑みを浮かべ、男に寄りそう。
──仕事の始まりだ。
「……ぁ、ああ……っ!」
夜の公園に、嬌声が響く。いくら今は無人とは言え、いつ人が来るか解らないのだ。
もう少し、声は押さえて欲しい。
女は男にそう伝えるが、男は乱れた呼吸を押さえながら首を振る。
「む、無理、だよ……気持ち、よく、てっ……!」
全く、困ったものだ。
けれど正直、こみ上げて来るものがある。
自分の爪先が、大の男をここまでよがらせているのだ、という思いが。
気を良くした女はサービスとして、男の胸板に、ぴかぴかに磨き上げた爪を立てた。
一際、大きな嬌声が上がる。
この男は性行為より、自分の肌を、女の爪で傷つけられることが好きなのだ。
男が満足するまで、あと少し。
爪先の遊戯は、まだ続きそうだった。




