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天使の金字塔  作者: 中須ゆうtive
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時計塔殺人事件 ヘアピン1

この物語は後に天使の金字塔と呼ばれる名探偵の物語である。

僕は扉木(とびらぎ)あやか。僕って言ってるけど肩までかかった髪を後ろに束ねた茶髪と黒髪が混ざった女の子。推理小説を読むのが大好き。小学校で友達と会話が合わない趣味だけど僕は満足している。小学校で友達と会話が合わない趣味だけど1人で楽しむのも悪くはない。僕はとても満足している。さて、僕は今、有名推理小説『死の時計塔』のモデルとなった関東時計塔に来ている。もちろん1人ではない。知り合いのおじさん警部も一緒だ。1泊2日の旅行である。

霧雨警部(きりさめけいぶ)今日は連れてきてくれてありがとうございます。』

『良いってことよ!扉木くんのお父さんには世話になってるからな!…じゅるり。』

なんか、じゅるりって聞こえたけど気にしないようにしよう。目の前には小説の舞台になった時計塔が大きくそびえ立っている。

『わー!本物だ!』

思わずその光景に心が奪われた。時計塔はお昼の12時を指している。

『そろそろ飯にするか?』

『はい!』

僕は元気よく返事をした。近くのレストラン、ヨツカダイニングに入る。

『いらっしゃい!本日のオススメはお子様ランチだよ!』

どうも僕はお子様らしい。釈然(しゃくぜん)としないでいると、そのことに気づいたのか自己紹介を語り出した。

『失礼。君はお子様ってほど小さくないね。僕は上山創一郎(かみやまそういちろう)。ここの料理長をしているんだ。』

霧雨警部は目を輝かせて言う。

『料理長!?ほほう!頑張って下さいな!』

『ふーん…』

料理長と言う割には厨房(ちゅうぼう)に入らず接客をするんだと思った。30分後、僕達は空腹を満たして、お腹が幸せになった。

『食った食った!ここのチャーハン美味かったぁ!』

『ご馳走様でした。僕もラーメン美味しかったです。』

『良いってことよ!幼女に(おご)るくらい朝飯前よ!』

『今は昼飯です。それから幼女扱いしないで下さい。』

呆れて反論する。お店を出ると、しゃがみ込んでいる綺麗な女性を見かけた。

『う〜ん。ないなぁ。』

『何かお探しですか?』

『ええ。ハサミを落としてしまったのよ。』

『なぬ!?この私、霧雨孝志(きりさめたかし)が一肌脱ぎましょう!』

このおじさん美人に弱いな。

『ところで、どの辺りにハサミを無くしたことに気づいたんですか?』

『この辺よ。』

しっかりと見定める。怪しいところが無いか探すのは得意な方だ。

『ありました。ベンチの下を見てください。』

『なに!?扉木くんに先を越された…がっくり。』

『ありがとう。よくわかったわね?』

『簡単ですよ。ここには時計塔や海など見惚れる施設が多いです。きっと、立ち上がった際に落としてしまったのでしょう。』

『お嬢ちゃんすごーい!』

なぜか女性に頭を撫でられる。隣では悔しそうにハンカチを噛み締めているおじさんの姿があった。僕はため息をついた。

その後、女性と別れ時計塔へ向かうことにした。その間の恨めしそうなおじさんの顔はこれからも忘れないだろう。時計塔の中に入ると、そこはとても広かった。天井は見上げるほど高く、何層もの階段が待ち構えていた。

『素敵!』

『こりゃあ小説を読んでなくても来た甲斐(かい)が有るってもんだぜ。』

内装に見惚れていると、前から歩いてきた男性が声をかけてきた。

『立派な時計塔だろう。』

『ですな。あの…あなたは?』

『申し遅れました。俺は関東時計塔のオーナー小田賢一(おだけんいち)です。』

『オーナー!?お会いできて光栄です!私は警部の霧雨です!』

小説も読んだことの無いおじさんが随分ガツガツと攻めていると感じた。このおじさんは美人やお金持ちに弱いタイプだ。すると、もう1人男性が走ってきた。

『おいおいお兄さん。俺っちを置いていくなよな。』

『そちらは? 』

『弟の星二です。』

『ほう!弟さんですか!』

『ったく。この塔はすげー長いんだから歩くスピードに気をつけてくれよな。』

『ごめんごめん。お見苦しいところをお見せしました。お口直しに塔の中を案内します。』

『やった!ありがとうございます!』

僕達は時計塔内部を案内してもらった。階段の昇り降りはキツかったけれど、それさえも楽しいと思えた。特に大きな時計の裏側は迫力満点だった。内部から街も一望できる。

『楽しめたかな?』

『案内してくれてありがとうございました。』

『いえいえ。また来てください』

『はい。』

『そうですか。それじゃあお言葉に甘えて!』

その日は予約していたホテルに泊まった。ホテルで翌朝を迎える。今日も時計塔を楽しもうと思っていたら、何やら外が騒がしい。気になって外に出る。

『大変だ!』

『だ、誰か!!』

『警察を呼んでくれ!』

周囲の人々は慌てふためきパニックになっている。ここぞとばかりにおじさんが割って入る。

『私は本庁の警部だ!どうしたのか?』

『ひ…人が死んでるんです!』

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