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壊れた僕と親友で相棒なラジオ(ホラー)

撮影【前日談2】

作者: 柴犬

 其の話が僕に来たのは高校最後の年だった。

 卒業も間近な僕は未だに就職が決まらず時間を持て余していた。

 いや違うな。

 まだ働きたく無かった。

 いや……其れも違う。

 実はというと僕はとあるアニメに嵌ってしまった。

 アウトドアをメインにしたゆるいアニメ。

 其のせいで僕はアウトドアに興味を持ってしまった。

 そこで就職するのではなく複数の短期のバイトに僕は集中した。

 大学に行くわけではではなく。

 就職するわけではなく。

 アウトドアをしたいがため。

 

 そうすると普通の親は怒る。

 当たり前だ公立とはいえソコソコの高校に行かせたのにバイト三昧の生活。

 其の目的がアウトドア。

 普通に怒る。

 就職してアウトドアをしたいなら文句は無かった。

 だけど親は将来性の無いバイトをしていることにキレたみたいだ。

 親子の縁を切られました。

 


 いやガチで。



 ゑ?




 等と言いたい。

 何でだよ。

 迷惑かけて無いんだが……。

 何が悪かったんだろうか?


 最後の情けとしてアパートの保証人になってくれたのは有り難いが。

 そうすると生活費やその他雑費でお金を貯めるのに時間が掛かる。

 其の上で免許のお金を工面するのはキツイ。

 しかも車を買おうとしたら可也キツイ。

 仕方ないので普通免許だけは何とか取ることにした。

 普通免許さえ取れば後は時間を掛ければ車を買えるだろうし。

 後々の事を考えれば色々選択肢も出来る。


 そうして免許を取り車は無理だがバイクは買える所まで貯金出来た。

 出来たんだが……。

 アウトドア用品の値段を見て心が折れかけた。

 馬鹿みたいに高いのだ。

 どう安く見繕っても十万前後。

 アニメの様な感じの道具を買おうとしたら結構掛かる。

 親のスネを齧りながらなら貯められるだろう。

 だけど生活に追われながらではキツイ。

 そう思っていた時だ。

 バイト先の後輩が話しかけてきたのは。


「先輩アウトドアをしたくてバイトしてるって本当ですか」

「まあな~~其のせいで親から勘当されたけど」

「あ~~」


 やめろよ。

 其の目。

 というか唯でさえ隈の有る眼なのに。

 怖いんだけど……。

 この後輩が此のバイト。

 アツアツ亭という弁当屋に入ったのは先月だ。

 どんよりとした暗い雰囲気を持った此奴は何となく不気味に思えた。

 口数が少なく今にも倒れそうな感じの此奴は話しにくい奴だった。

 漸くして慣れてきたら話せるようになったが……。

 どうも此奴昼間は派遣の仕事をして夜はバイトしていた。

 睡眠時間以外殆どの時間を。

 というか其の睡眠時間も三日に一度三時間しか寝てないらしい。

 おいおい。

 

 一度何でそんな事を知てるのかと聞いたことが有る。

 大金でも必要なのかと思って。

 そしたら違うと言われた。

 お金は株で儲けてるから有ると。

 其れでなんで其処まで働くんだ?

 等と聞いてみた。

 そうしたら疲れて何も考えられないぐらい仕事したいらしい。

 意味が分からなかった。


「バイトしません?」

「なんのバイトだよもう此れ以上増やせないんだが……」

「先輩此のバイトだけしかしてませんよね?」

「此のバイトだけで手一杯だ」

「其れで良くアウトドアしたいと言えますね……」

「……」


 自覚は有るんだ。

 やめろ。

 其の目はやめろ。


「週に一日指定した場所を出来るだけ撮影して……」

「他を当たれ」

「近隣の山の上からキャンプして撮影するだけで報酬は準備金に十万そして一日二万だ……」

「まかせろ親友大船に乗った気でいろ」


 変わり身はやっ!

 そう思われてるみたいいだ。

 目で分かる。

 というかやめろ。

 本気でやめろ。

 癖になったらどうする。

























 











 週末一日目。

 


 ソロキャンスタートセッ○?


 ソロキャンに必要な11点セットという触れ込みのセット。


 キャンプ初心者の僕は其れを買うとバイクに載せ指定された山に登る。

 うん。

 荷物は最小限と言えどバイクでは少々キツイ。

 そこで後ろ付ける荷台を大きいものに交換。

 其処に入れた。

 残りの荷物はバックに詰めこんだ。

 水とか食い物ですね

 他は本とか。

 後は撮影用のビデオカメラ。

 三脚も当然持って行く。

 失敗した。

 荷物が多い。

 苦労した。



 山頂に着いた僕。

 山頂は指定された所に広場らしき場所がある。

 というか此れ。

 人の手が入ってる。

 というか封鎖というか閉鎖というか……。

 管理人が居ないけどキャンプ場だよ。

 勝手に使って良いと聞いたけど良いんだろうか?

 まあ~~良いか。

 山頂から見下ろすと村が見える。

 指定された村。

 指定された村を望遠にしたビデオカメラで撮影。

 撮影した物を見ないように。

 等と言われたけど別に気にしない。

 後はキャンプを楽しんだ。

 いや~~後輩様々だな~~。


 長年の夢を叶えホクホクの僕。

 充実した一日だ。



 後日撮影したものを後輩に渡す。

 代わりに二万円貰いました。




 週末二日目。

 


 指定された山に登る。

 うん。

 荷物は最小限と言えどバイクでは少々キツイ。

 水とか食い物ですね。

 以外に荷物に成る。

 他は本とか。

 失敗した。

 荷物が多い。

 苦労した。

 なれんな~~。


 山頂に着いた僕。

 は指定された村を望遠にしたビデオカメラで撮影。

 

 充実した一日だ。


 鉱石ラジオを聞き優雅に遊んだ。



 後日撮影したものを後輩に渡す。

 代わりに二万円貰いました。




  週末三日目。

 

 指定された山に登る。

 うん。

 荷物は最小限と言えどバイクでは少々キツイ。

 水とか食い物ですね。

 手斧を使いたいので買ったけど……。

 使いにくい。

 以外に荷物に成る。

 他は生米を持っていく。

 失敗した。

 荷物が多い。

 苦労した。

 駄目やん。


 山頂に着いた僕は指定された村を望遠にしたビデオカメラで撮影。

 

 充実した一日だ。


 鉱石ラジオを聞き優雅に遊んだ。



 後日撮影したものを後輩に渡す。

 代わりに二万円貰いました。


 週末四日目。

 


 指定された山に登る。

 うん。

 荷物は最小限と言えどバイクでは少々キツイ。

 水とか食い物ですね。

 キャンプめしにクッカーを買う。

 使いにくい。

 以外に荷物に成る。

 他は本とか。

 タブレットだね。

 後は撮影用のビデオカメラ。

 三脚も当然持って行く。

 失敗した。

 濡れて機材が駄目になる。

 散々だ。



 山頂に着いた僕は指定された村を望遠にしたビデオカメラで撮影。

 

 充実した一日だ。

 赤字だが……。


 鉱石ラジオを聞き優雅に遊んだ。



 後日撮影したものを後輩に渡す。

 代わりに二万円貰いました。





 週末五日目。

 


 指定された山に登る。

 うん。

 荷物は最小限と言えどバイクでは少々キツイ。

 水とか食い物ですね。

 タープを買う。

 使いにくい。

 以外に荷物に成る。

 他は缶詰とか。




 山頂に着いた僕は指定された村を望遠にしたビデオカメラで撮影。

 

 充実した一日だ。


 鉱石ラジオを聞き優雅に遊んだ。



 後日撮影したものを後輩に渡す。

 代わりに二万円貰いました。





























 

 

  週末十七日目。

 


 指定された山に登る。

 うん。

 荷物は最小限と言えどバイクでは少々キツイ。

 水とか食い物ですね。

 星座表を買う。

 使いにくい。

 荷物に成らんが金の無駄だ。

 DVDプレイヤーを持っていく。

 


 山頂に着いた僕は指定された村を望遠にしたビデオカメラで撮影。

 


 鉱石ラジオを聞き優雅に遊んだ。




 飽きた。


 というか何を撮影してるんだろう?

 気になる。

 





 撮影が終わり見てみる。





 つまらん。




 

 村の子が畑仕事してるだけ。

 家畜の世話もしてるな。

 他の畑は……荒れてるな。

 ぼうぼうだな。


 後日撮影したものを後輩に渡す。

 代わりに二万円貰いました。


























 

  週末二十七日目。

 


 指定された山に登る。

 うん。

 荷物は最小限と言えどバイクでは少々キツイ。

 水とか食い物ですね。

 ハンモック買う。

 良いね。

 焚き火でテントに穴が空いた。

 泣ける。



 山頂に着いた僕は指定された村を望遠にしたビデオカメラで撮影。

 


 鉱石ラジオを聞き優雅に遊んだ。




 飽きた。


 



 撮影が終わり見てみる。





 つまらん。




 

 村の子が畑仕事してるだけ。

 家畜の世話もしてるな。

 他の畑は……荒れてるな。

 人居ないな~~。



 うん?


 何か違和感が……気の所為か?



 後日撮影したものを後輩に渡す。

 代わりに二万円貰いました。






  週末三十日目。

 


 指定された山に登る。

 うん。

 荷物は最小限と言えどバイクでは少々キツイ。

 大型二輪の免許取ろうかな?

 水とか食い物ですね。

 良いね。


 山頂に着いた僕は指定された村を望遠にしたビデオカメラで撮影。

 


 鉱石ラジオを聞き優雅に遊んだ。




 飽きた。


 



 撮影が終わり見てみる。





 つまらん。

 本気でつまらん。



 

 村の子が畑仕事してるだけ。

 家畜の世話もしてるな。

 他の畑は……荒れてるな。

 村人他に見ないな~~。

 本当に。



 うん?


 何か違和感が……気の所為か?

 いや……まさか。



 ねえ……。



 後日撮影したものを後輩に渡す。

 代わりに二万円貰いました。





  三年目の週末。

 


 指定された山に登る。

 うん。

 山頂に着いた僕は指定された村を望遠にしたビデオカメラで撮影。

 三年間暮らしていた子供は見かけない。

 どうも此の村をでたみたいだ。

 多分。

 結構見ないし。

 


 鉱石ラジオを聞き優雅に遊んだ。

 携帯から呼び出し。

 相手は後輩。

 何だ?


『先輩』

「何だ?」

『何なんですか此の村は』

「え?」

『だから此の村おかしくないですか?』

「何言ってるんだ?」

『昨日弟が其の村から上京して来たんですよ』

「ああ」


 村?

 え?

 まさかあの子供は此奴の弟?

 弟を盗撮していた?

 何の為に?


『其れでふと何気なく去年撮影したのを見たんですよ』

「おう」

『弟が住んでいた家以外全て朽ち果てているんです』

「はっ?」


 見てないぞ僕は。

 つまらない田舎の風景しか。

 そう。

 僕は見てない。


『荒れ果てた野原を耕してるんです弟が』

「……」


 見てない。



『しかも飼っていた家畜は牛一匹……昔は沢山いたはずなのに』


 

 見てない。

 見てない。


『その代わりに彼方此方に……』


 見てない。

 見てない。 

 見てない。

 見てない。 

 見てない。

 見てない。 

 見てない。

 見てない。

 見てない。

 見てない。 

 見てない。

 見てない。

 見てない。

 見てない。 

 見てない。

 見てない。 

 見てない。

 見てない。 

 見てない。

 見てない。

 見てない。

 見てない。 

 見てない。

 見てない。



 本当に?


 そういえば……。

 撮影が終わる時間だ。

 僕はふらふらと歩き其れを見てみる。




 其処に有ったのは変わり果てた村。

 崩れ落ち瓦礫の山に成った家々。

 野原としか言いようの無い元畑。

 人の手が入って無い薄汚れた貯水池。

 

 其れに。

 其れに。

 アレは何だ?

 アレは。

 アレを見続けて僕は何も思わなかったのか?

 アレを見て。




『先輩……思い出しました(・・・・・・)

「……」


 何を?

 

『此の村は鉱石ラジオに支配された村です』

「……」


 何を言っている?


『アイツラは人を喰う化け物です』

「……」


 だから……。


『アイツラは人の精と記憶を喰い廃人にします』


 だから。

 だから。

 だから。


『其れだけではなく人に幻覚を見せ……』


 だから。

 だから。

 だから。


『村に行って確かめて……』



 それどころではなかった。 

 それどころでは。



 僕の周囲に無数の鉱石ラジオがある。

 僕も思い出した。

 僕は鉱石ラジオを買った覚えが無いことを。

 なのにいつの間にか有る。

 空に不自然に浮かぶ鉱石ラジオ。



 其処までだった。

 記憶が有るのは。


























 気がついたら僕は病院の中にいた。

 後輩が此処に僕を入れたらしい。


 面会に来た後輩の話を聞いたらどうやら僕は村の真ん中で嗤ってたらしい。

 村中の鉱石ラジオを手斧で破壊して。

 そうして狂った様に嗤いながら後輩に電話したらしい。



 村人は全員死んでミイラ化していると。





 全然記憶に無いんだが……。

 








 ……。

 ………。

 …………。

補足。


感想返しを元にしてます。




他の村人は此処に兄達や他の住人が住んでいる時徐々に死んでいます。


但し生きている住人は気がついてません。


此れはラジオが原因です。



とはいえ理由を言うと何か話が陳腐に成るので・・・。(理由を書いてたらつまらくなったのでボツ)


重要なのは此の村はラジオが支配していた。




ラジオが死者を生きている様に偽装していたということ。




此の2つ。










此のため殆どの村の住人は発狂状態。


運良く村の外に出た住人は出た途端殆ど病院送りで記憶がない。



バットエンド。(だいたい此れ)






例外が主人公の兄みたいに比較的軽症者。


但し記憶の一部が消えてる。




村への恐怖は残っているが何故か分からない。


家族や村の住人を純粋に心配。


だけど何故心配なのか分からない。(欠けた記憶)


連絡手段が手紙しか無い。


だから何か村で異常が起これば知らせてくれと手紙を出していた。


{弟は其の記憶が欠落)




村の外に出てきた弟に一安心。


念の為にと人を雇い村を見てもらう。


村の住人がミイラとして発見される。


此れで警察が動きだす。


弟に文句を言い攻める。


だけど弟の異常性に気が付き病院に打ち込む。




(ノーマルエンド)




という感じが流れですね。
















主人公は自分から上京後兄達とコンタクトを取っていません。






此れは当然です。






長年ラジオに支配された村に居たので色々記憶を失ってますし発狂状態。


人格を形成される幼少からこうなってます。




幽霊が居るのが日常。


兄の記憶が知識として知っている。




だからどうした?




等と言う感じ。


この後生涯病院生活です。


自分の事を健常者と思い。




(一番最悪なバットエンド)




因みに兄がどうやって村の現状を知ったかと言うと人を雇い村を撮影していたから。




『撮影』は雇った人間の視点です。










此の主人公は『同居人』の主人公の兄が雇った人間。


異常な此の村を撮影して貰っていました。

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― 新着の感想 ―
[良い点] これは単品でもいけるホラーでしたね。 [気になる点] <指定された山に登る。> このフレーズが良かったですね。 多分同じ場所を登っている違和感を読者に気づかせない技だと思います。初読で観測…
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