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帝国変換  作者: ありあけ
序章
1/42

プロローグ

今回は初めという事もあり、短いです。

1895年 8月15日 皇居


 大日本帝国。


 1889年の大日本帝国憲法制定より始まり、1945年の太平洋戦争をもって滅び去った国家。


 その首都、すなわち帝都に皇居は存在する。


 その一室。


 そこに1人の青年と時の天皇、明治天皇が居た。



「・・・では、このままでは帝国は後50年後に滅びるというのかね」



「その通りです」



 青年はきっぱりと断言する。


 それを聞いて、明治天皇は眉をしかめる。


 自分の国が滅び去ると予言されて不機嫌になったからだ。



「だが、何故、そうなったのかね?君のいう話では後10年後にはロシアとの戦争が起き、それに勝つと言ったではないか」



「・・・あえて申し上げるならば、その勝利が原因かと」



「なに?どういう事だ?」



 青年は明治天皇に説明する。


 元々、日露戦争に勝つ前までの日本は色々と問題は有ったが、比較的まともに機能していた。


 それが可笑しくなったのは、大日本帝国憲法という憲法上の欠点という問題も有ったが、それ以上に日露戦争の勝利によって軍部が自信をつけてしまったというのが大きかっただろう。


 ありたいに言えば、調子に乗りすぎたのだ。


 それに追い討ちを掛けたのは、1920年代後半の日本経済の混乱。


 元々日本経済は1927年の昭和恐慌より不安定になっていたが、その2年後の1929年の世界恐慌によりその混乱は決定的となった。


 これが満州事変を経て日中戦争に繋がった。


 とは言え、日中戦争だけでは太平洋戦争への原因とはならなかっただろう。


 太平洋戦争への主な相手となったアメリカは日本に日中戦争の為の戦略物資を輸出する事で儲けていたのだから。


 だが、日中戦争が反日感情を高めたというのは一面で事実でもある。


 特にパナイ号事件は。


 しかし、決定的だったのは日独伊3国同盟だろう。


 これが原因でアメリカはオランダやイギリスなどと共同して輸出規制を行い、日本はそれによって太平洋戦争への道を選ばざるを得なくなった。



「・・・なるほど」



 明治天皇は腕を組む。


 そして、改めて青年にこう尋ねる。



「それで、我が国が生き延びるにはどうすれば良いと思うかね?」



「・・・日露戦争まではそれまでの水増しで十分でしょう。しかし、問題は日露戦争後です」



 そう、日露戦争後から日本にとっての真の戦いは始まる。


 激闘の第一次世界大戦、そして、日本が敗戦した第二次世界大戦へと。


 その中で日本が変わるには、同じ日本人の血も流さなければならないだろう。



「ふむ、分かった。・・・では、有栖川であったな。この日本を救う為に協力してくれるか?」



 そして、明治天皇から有栖川と呼ばれた男はそれに頷いた。



「承知しました。全ては帝国、いえ、日本の平和と繁栄の為に」



 青年──有栖川夕季は誓いの言葉を述べた。

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