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第46話の1『地図』

 《 前回までのおはなし 》

 俺の名前は時命照也。恋愛アドベンチャーゲームの主人公なのだが、気づけばバトル漫画風の世界に飛ばされていた。血の海の化け物を撃退し、これから血の海の周辺を捜索していこう……というところで、なぜか俺は新しい能力に目覚めた。


 

 『勇者は能力・マップ選択画面に目覚めた!』


 そういった文言が、俺の目の前のメッセージウィンドウに表示されている。なんだろう……マップ選択画面って。胸のペンダントは光り輝いているし、なにかしらの新たな力に覚醒したのだろうが、どういった能力なのかは見当がつかない。


 俺に謎を残したままメッセージウィンドウは消え、ひとまず俺は周囲を見回してみた。『マップ選択画面』とはいうが、特にカーソルだとか選択肢だとかは見当たらない。その最中でマバタキをした瞬間、ぼやっとマブタの裏に何かが映り込んだのに気づいた。


 「ん?」


 再び、じっくりと目をつむってみる。すると、絵のようなものが脳裏に浮かび上がり、それは数秒で明確な地図となって見えた。これは……多分、クジラ丸さんの体内の通路図だ。俺のいる場所が矢印で指し示されていて、その他に2つだけ名前入りでアイコンがついている。


 アイコンの一つにはゼロさんの名前が載っていて、さっき俺が行ったクジラ丸さんの背中に位置している。そこにいるってことかな?きっと、俺を心配して様子を見に行ってくれたのだろう。


 もう一つは……マリナ姫様だ。そこまで順序良く確認して、俺は能力の正体を突き止めた。そうか。これは恋愛アドベンチャーゲームで時たまある、女の子の居場所を示した移動パートの再現である。これを頼りにして、プレイヤーは目当ての女の子のイベントを探す……という旨のものである。


 なお、居場所が記されているのは女の子だけで、男の人たちの居場所は解らない。あと、ルルルの居場所が表示されていないのは考えるに、俺がルルルをヒロイン的だと思っていないからだろう。非常に便利なのだが、マップを長く見ていたら頭が痛くなってきた為、俺は自分がいる周辺の道筋だけを記憶して目を開いた。


 しかし、どうして急に……あっ、俺がクジラ丸さんの体内で迷いそうになっていたから、手助けしてくれようと覚醒した能力さんなのだろうか。なんて親切なんだ。などと感謝の気持ちを胸に曲がり角を行き、改めてマップを確認しようと瞳を閉じる。そうしたら、非常に不可解な事に気づいてしまった。


 ゼロさんの居場所は変わっていないが、姫様の居場所が大きく変化している。マップの寸法が解らないので具体的な移動距離は説明できないが、普通に泳いでいるという勢いではない。一度、目を開き、再び閉じる。やはり、アイコンが大きく移動している。その理由を推理してみたが、どうも良い状況とは考えにくい。


 俺にとっても姫様にとっても幸か不幸か、姫様の居場所に最も近いであろう人物は俺だ。助けを呼びに行く余裕はなさそうだ。とにかく、行ってみる他ない……。


第46話の2へ続く

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