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第45話の3『報告とか』

 他の人たちには先に休憩してもらうとして、俺は来た道を単独で戻り始めた。一応、ゼロさんがついてきてくれると言ってはくれたが、戦闘で役に立たない上にお姉ちゃんがいないとお使いもできないとあっては、非常に格好が悪いのでお断りした……。


 さて。これからクジラ丸さんの鼻……というか背中に向かう訳だが、クジラ丸さんは上昇も下降もしている様子ではない為、とにかく上へ上へと登っていけば潮吹き穴へ到着すると思われる。ゼロさんがいないので俺の体は水に流されそうになるが、ところどころにある謎の触手を掴みながら進む。すると、通路の向こうの方から何かがいる気配を感じた。


 「……」


 ……誰だろう。曲がり角から顔を出してみても誰もいない。その直後、今度は背後からギザギザさんに呼び止められた。


 「ギャババ!お前、生きてた!立派立派!」


 「そちらも、ご無事でなによりです。すると、もうルッカさんとのお話は終わったんですか?」


 「姫には謝ったから、逃げてきた!ルッカのやろう、俺とシエルが何かしようとしてたら、絶対についてきたがる!やっかいものだぜ!」


 シエルさんというと、確か王子様だったな。アクティブな王子様とギザギザさんのコンビが何かしようとしていたならば、ルッカさんが同行したくなるのも解る気はする。そういう場合、引き留め役がいないと絶対に事件が起こる予感がある……。


 「ギザギザ、海賊団の船をなおす!だから頼れ!それを言いに来たぜ!ギャババ!」

 「そういえば、なんで俺たちの居場所が分かったんですか?あの真っ赤な水の中で」

 「ああ?サバサーバがルッカとクジラ丸の信号を感知したから、それを追ってきたぜ!」


 サバサーバさんって滝も登れるし、超音波も感知できるのか。一体、なんの魚の魚人さんなのか微妙に謎だ……もしや、名前に反してサバじゃないんだろうか。


 「でよぉ。どうする?これから!」


 「しばらく、この辺りを探索してもらおうと思っています。何かあれば、また助けてください……」


 「ギャババ!おうっ!じゃ、ばいばーい!」


 それだけ言うと、ギザギザさんは俺とは逆に下の階へと進んでいった。上の階から逃げて来たので、クジラ丸さんの口から外へ出るのだろう。なお、ギザギザさんが逃亡した今、ルッカさんの機嫌が気になるところだったが……クジラ丸さんの背中で見つけたルッカさんは普段通り穏やかであった。


 「勇者様。皆さまは、どうなされましたか?」


 「これからの事についての相談も済みましたので、先に休んでもらいました。つきましてはご相談なのですが、この周辺に城が残っていないか探してみてはもらえないかと」


 「そうだな!よーしっ!こっから血の海の場所まで行ってみるぞ!前進だー!」


 俺の頼みを快諾すると、クジラ丸さんは尾びれをブンブンと振り回して全速全身を開始した。ところで、ここにいるのはルッカさんだけな訳だが、姫様はいないのだろうか。そう考えていると、ルッカさんが先んじて説明してくれた。


 「私はクジラ丸さんと共に探索を進めます。姫様も既に寝室へ参られましたので、勇者様もお休みください」


 「解りました。ありがとうございます」


 では、しばらくしたら見張りの交代に来よう。とりあえず今はお言葉に甘えるとして、俺は再びクジラ丸さんの体内へと戻った。潮吹きの通り道らしき場所を通り、謎の器官を通り、今度は大量にコンブが貼り付いている場所を通り、謎の器官を通って、ようやく胃らしき場所の近くまで到達した。その時、突如として俺の目の前にメッセージウィンドウが表示された。


 『勇者は能力・マップ選択画面に目覚めた!』


 ……?



第46話へ続く

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