第45話の2『会議とか』
(すまんすまん……お、ヤチャ。見つかったの?)
ヤチャを探しに行ってくれていたと思われる仙人が俺たちのいる場所へと戻り、外で輝いているヤチャを指さしながらテレパシーしている。でも、『すまんすまん』ってことは、ほんとは別の用事だったのかもしれない。
「あれ……仙人って、ヤチャを探しに行ってくれてたんじゃないんですか?」
(それもあるが……金に塗られた部分がかゆくて、ちょっとマッサージに……はぁ)
クジラ丸さんの気をひくために金を塗られたせいで、おもわぬ弊害の痒みの至りである。仙人がいれば、さっきの化け物との戦いにも対処しやすかったかもしれないが、なんとかなったから結果はオーライ。
さあ、クジラ丸さんの深度はグングンと下がり、そろそろ敵と戦った場所が近いのか、水の色に薄い赤色が滲んでくる。ただし、当の化け物は場所を離れたのか、かなり血の気は薄くなっている。ギザギザさんと船は、どこにあるだろうか……。
「あ……なんか土に突き刺さってるんよ」
ルルルが何か見つけ、向けた指先にあわせて皆の視線が動く。土に突き刺さってるというか、何かが土から露出している様子で、それは強い力で土の中に打ち込まれたと見られる。
土から出ている何かの一部を持ってヤチャが大きく腕を振り上げると、爆発でも起こったのかという程の大きな土ぼこりと共に、船が全容を露わとした。一緒にギザギザさんたち海賊団も土の中から救出される。なお、ヤチャが持った部分は船の帆を張る部分だったのだが、それはヤチャの怪力によってもぎ取られた……。
「……このギザギザ、不覚!後ろからやられるたぁ!」
「ギザギザ!」
「ああ?」
「少々、お話がございます!こちらへ!」
「……ああ!解ったよ!待ってな!」
普段の物腰からは想像もつかないほどの剣幕で、ルッカさんがギザギザさんを呼びつけている。これは……お説教に違いない。俺たちがいる場所へと上の穴から入り込むと、そこでギザギザさんは初めて姫様がいることに気づいたらしい。苛立っている態度から一転、都合が悪そうに顔を曇らせた。
「……勇者様方。お見苦しい場面をお見せする訳には参りません。どうか、休憩室にてお休みになって頂きたく存じます」
「……では、お言葉に甘えて」
「メダカが案内するでごわす」
「コンブもどん……」
ここにいては会話の邪魔になると思い、俺たちはメダカさんたちの案内でクジラ丸さんの体内へ入る。外にはヤチャもいるし、今は敵が襲ってくる気配もないし、この時間で俺たちは作戦会議をさせてもらおうと思う。
クジラ丸さんの体内は迷路のように入り組んでいて、ちょっと横の通路へ目を向けると胃らしきものがあったり、ドクドクと動いているものがあったり、はたまた血液が発光しながら隅々を流れていたりする。最初にクジラ丸さんの上層へ向かう際に見た、何もない部屋のような場所も多く存在し、その中の一つに俺たちは通された。
「ここが最も広い休憩室でごわす。他の部屋も、好きに使ってくれでごわす」
メダカさんが普通に喋った……のは置いといて、俺たちは部屋の中にある柔らかい謎の物体へと各々が腰掛け、全員が統制をとったように同じポーズで腕組みをしたまま唸っている。もちろん、考えていることは同じであろう。俺もためらわずに一言目を発した。
「全員が無事だったのはいいとして……まんまと敵には逃げられたわけだが、これからどうするべきか」
(……だが、敵が……はぁあぁ。あれを守りに来たと……はぁはぁ)
「はい。あの血を出していた化け物は、ジ・ブーンの仲間とみて間違いないと思います」
仙人のテレパシーで言わんとすることは解った為、すぐに俺も結論を述べる。では、やつらは一体、どこへ逃げたのか。それが肝心である。その『どこか』を特定するには海は広過ぎる。それが問題でもある。
「……ひとまずだが、この付近を探索してみてはどうだろうか」
「……そうですね」
そうゼロさんに言われて思い出したが、俺たちが血の海へ向かっていた理由って、そもぞも王城を探す目的が主だったはずである。血を出していた化け物がいなくなって水が鮮明になった為、盗まれた王城が元・血の海に隠してあるとは考えにくいが、もしもあったら儲けものなので考えに乗ってみる。
「俺、城を探してみてくれるよう、クジラ丸さんにお願いしてみます。これにて、会議は終了……でいいですか?」
満場一致で頷きが帰って来た。
「はい。では、解散」
第45話の3へ続く






