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第44話の2『探知』

 「あぎゃああああぁぁぁぁ!」


 クジラ丸さんが悲鳴をあげ、バタバタと体をゆすっている!これは、攻撃を受けている!?


 「いっってええぇぇぇ!目、いってえぇぇぇ!」

 「クジラ丸さん!目!?目に何か入ってらっしゃる!?」

 「血!血いぃぃぃぃ!」

 「血でございましたか!?」


 クジラ丸さんとルッカさんの会話を聞く限り、クジラ丸さんは目に血が入って痛いらしい。もはや周囲の海水は赤く染まっており、クジラ丸さんの鼻を覆っている殻に守られている俺たちとて、近くに何が泳いでいるのかすら定かにならない。


 「……いてえええぇ!なんか、噛みついてきたああぁぁぁ!」

 「どちらを噛みつかれているのですか!?」

 「しっぱ……腹!解らないけど……ああああ!くらえええぇぇぇ!」


 何者かに喰らわれているのはクジラ丸さんの方みたいだが、お返しに喰らえとばかり発射音を連発している。マシンガンの弾でも炸裂したかのような音が海水を通して聞こえ、しかしクジラ丸さんの悲鳴は続いている。


 「今度は右手を噛まれた!このおおおぉぉぉ!ばかああぁぁぁ!」

 「う~ん……どこに敵がいるのか。俺たちには見えませんね」

 「敵の居場所……ですか。では、私が参ります。皆様、こちらでお待ちを」


 俺の言葉からすかさず何かを読み取ると、ルッカさんは上側にある膜らしきものを通って、クジラ丸さんの鼻を覆っている殻から外へと出ていった。


 物凄い勢いで泳ぎ続けているクジラ丸さんから振り落とされないよう掴まりつつも、ルッカさんは右腕を突き出した姿勢で何かを探っている様子だ。しかし、クジラ丸さんの鼻を覆っている殻越しに見て、俺にはルッカさんが何をしているのか解らない。


 「……14度!マイナス45度!23度!発射!」

 「そこか!くらえええぇぇぇ!」


 ルッカさんが言い放った指示に従い、今度こそはと再び破裂音がする。すると、どこかでドクンと脈を打つ音がした。その後、真っ赤だった海水は更に泥臭さを増して、さすがに耐えられないとばかりルッカさんが殻の中へと避難する。


 「敵に命中はしました。仕留めるには至りませんでした……」

 「どうやって居場所を探ったんですか?魔法ですか?」

 「魔法……でしょうか。障害物が存在しない限り、敵の居場所は測ることが可能です」

 「ボクだって敵に攻撃されてなきゃできるんだぞ!」


 ルッカさんって、イルカっぽい人だよな……あと、クジラ丸さん。ああ、きっとあれだ。超音波で居場所を探ったと見た。ルッカさんの機転で一時的に敵は退いたようだが、残念ながら状況は良くなってはいない。


 「ていうかボク、息できないんだけど!このままじゃヤバい!」


 と息できないクジラ丸さんが言っている……じゃあ、どこから声を出しているというのか。


 「あの……この声は、どちらから出しているんですかぁ?」

 「ええ?鼻だよ!お前、鼻から声、出せないのおぉ?」

 「頑張れば出せるかもしれませんが、やったことはないです……」

 「ほんとにぃ?とかバカなこと言ってる場合じゃないぞ!敵が来るぞ!ヤバい!」


 と、今度はクジラ丸さんが敵の攻撃を報せてくれる。ここまで海水が汚染されていては、ルッカさんが外に出てくれるのも無理だ。このままでは、クジラ丸さんが本当に敵の餌食になりかねない。どうしたものか……。


第44話の3へ続く

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