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第42話の2『クイズ』

 「ああ、いいやつだったんよ……」

 「仙人がいたから、ここまで来られたと言っていい。やつの腹に入ってでも助け出そう」


 あまりにも助けられる気がしないせいか、すでにルルルは別れの言葉を述べている。逆にゼロさんは助ける意思を固めているが、そんな俺たちの前を謎の発射音と共に仙人が飛んで行った……。


 「オ……オッッヒョオーーー!」

 「口に吸い込まれると、ああやって砲台から撃ち出されるタラコ!」

 「仙人……飛ばされていきましたけど、大丈夫なんすか?」

 「後で、どこかに刺さってるのを助ければ問題ないタラコ!」


 仙人は根っからのバトル漫画の人なので、きっと撃ち出されたくらいでは死なないだろう……などと希望的観測をうちだしている内にも、ドルフィン船はクジラ丸の目の横あたりに到着した。


 「クジラ丸!とりあえず、勇者を連れてきたタラコ!文句は直接、言うタラコ!」

 「お前、勇者?」

 「お……押忍」


 クジラ丸は目玉だけでも俺の体より大きく、それに睨まれたら流石に俺もビビってしまい、意図せずして気合の入った返事になってしまう。一体、何を言われるのだろう。そう考えながら身構えていると、クジラ丸は体をバタバタさせながら駄々をこねだした。


 「やだやだやだやだ!高貴な金色クジラのボクが、下賤な人間を乗せるなんてヤダヤダヤダアァァ!」


 「辛抱するタラコ!ちゃんと勇者は洗ってから乗せるタラコ!」


 「そうですよ!俺たち、ちゃんと風呂に入ってから……あれ?ヤチャ。体、洗った?」


 「洗って……ます」


 ここに至るまで半ば毒物のような扱いを受けてきたヤチャだったが、記憶喪失になったついで体を洗ったらしい。記憶も洗い流してしまったのは痛いが、これに関しては幸いと見て良いのではないかと思う。


 「ほら!人間は汚くないタラコ!わがままはやめるタラコ!」

 「ぬぬ……でも、ボクよりダメなやつは乗せないぞ!ボクと勝負しろ!」

 「勝負って……えええ」


 こんな巨大な相手と対等に戦えるやつなんて、俺たちの中まではヤチャだけである。つまり、現時点では無謀である。一応、クジラ丸の言葉を受けてゼロさんが俺の横に出てくれたが、その握った拳はクジラ丸が出した次の提案で解かれた。


 「一人に一つずつ、クイズを出すぞ!一人でも間違えたら、乗せてやんないぞ!」


 「クイズ……いやいや、こっちには記憶喪失の人がいるんですよ!」


 「知ったことか!ほら!そこのチビから答えろよ!はい、一問目!ハイターの街に祭られている神・タツマキグングーンは、何を司っている神様だ?」


 「……洗濯でしょ?」


 「……正解」


 めちゃめちゃノリノリで出題したクジラ丸だったが、あっさりとルルルに答えられてテンションだだ下がりであった。クジラ丸が可哀そうだから、もうちょっと乗ってあげてほしい……。


 「次!そこの女!空を飛んで移動してる街の名……」

 「レジスタ」

 「……うぇ。正解」


 その人、そこの出身だから……ゼロさんも、せめて最後まで聞いてから答えてあげてほしい。


 「もうやめようかな……クイズ、つまんないし」

 「いじけんなタラコ!じゃあ、やめてしまえタラコ!」


 あれ?このままいけば、俺たち答えなくてもいいんじゃないか?あわよくばを狙い、俺はモズクさんとクジラ丸の会話を傍観してみた。


 「そもそも、勝てない勝負をしかけた時点でアホなんダラコ」

 「そうだったか!じゃあ、ド突きあいで勝負したら良かった……」

 「待った!よう、クイズマスター!俺、たまらないぜ。早く次をくれよ」

 「そうかぁ?だったら、いいけどよう」


 危なかった……もうちょっとで、クジラとド突きあい相撲をやるはめになるところだった。なんとか九死に一生を得たところで、クジラ丸はクイズを出すモード。


 「で、次は誰が答えるんだ?俺か?俺だな?」

 「そこの筋肉男、次は、そいつだぞ」

 「……はい。がんばり……ます」


 記憶喪失の人だ……詰んだ……。


第42話の3に続く

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