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第39話の3『ヤチャ?』

 王様たちがいる部屋の中央には半透明な丸いテーブルのようなものがあって、でもテーブルの表面にはポケットのような穴が幾つも開いている。なんだろうと思い女王様の方を見てみると、そこに小さな食べ物や謎のアイテムが入れられていた。ああ、物によって浮いたり沈んだりするから、天井まで浮いていかないようテーブルに歪んだ穴が作られているんだな。


 「お座りなさいぞえ。エビゾー殿、ルッカ殿ととも姫を護りぬいてくれたこと、まこと感謝感謝ぞえ。では、国へ戻るまでの経緯、エビゾー殿からも報告を頼むぞえ」


 「ははっ。王の秘密砦にジ・ブーンが出現し、ドルフィン船を用いて脱出。この者たちは脱出の間際、砦へ迷い込んだ旅人でございます。こちらの女性はジ・ブーン撃退に協力いただきましたが、こちらの男は砦の上で大声を発したり、姫へ野蛮な態度で接しておりました。死刑にいたしましょうか?」


 「陛下。この世には不可抗力という現象がございます。どうか、慈悲深きご判断を」


 思いがけず死刑にされそうになり、俺は口をついて命乞いをした。とはいえ、王様は死刑宣告を出すほどの緊迫した様子を見せず、テーブルの一番奥にある席へと乗っかって俺たちが座るのを待っている。


 「おぬしたちが邪悪であれば、とっくに姫は逃げ出しておるぞえ。なにより、ルッカ殿の報告によれば、そちらは勇者とな。どうか、ジ・ブーン問題を解決すべく、協力を頼みたいぞえ」


 「……おっひょ?」


 そう言って指さされたのは仙人の方で、やはり俺は従者の一人としか認識されていない。確かに大きな岩を持っているせいで荷物持ちジョブっぽさがアップしているが、そこは正しく主張していかねばいけん……。


 「あの……申し遅れました。勇者は俺です……俺が勇者です。エビゾーさんに赤いオーブも見せましたし」


 「忘れとったわ。ほら」


 渡したことすら忘れていた赤いオーブをゼロさんが受け取り、なんとか俺のポケットへ入れてもらう。俺自身、赤いオーブを誰が持っているか忘れている場合も多いが、それにしても雑に扱いすぎていて不安である。この調子でオーブが3つくらい集まったら、1つくらい紛失する自信がある……。


 「王として、国を代表して願うぞえ。勇者よ。頼むからジ・ブーンをなんとかしてほしいぞい」

 「可能な限り、尽力させていただきます……」

 「王様。お話し中のところ、失礼いたします」


 全員が入室して閉まっていたドアがノックされ、ルッカさんが颯爽と入室。王様がピョンピョンしながら、何か待っていたとばかりに反応している。そういや、さっきからルッカさんいなかったな……忍者のような動きで気づかなかった。


 「連れてきてくれたかぞえ!いやはや、先日の事。海底にてヤチャと名乗る人間を保護したのだぞえ。もしや、知り合いではと思い、ルッカ殿に連れてきてもらったぞえ」


 「え……ヤチャですか?」


 どこに行ったのかと思ったら、海底まで沈み込んでいたとは。とにかく、ヤチャの所在が知れたようで何よりである。ルッカさんが手招きすると、それに応じてヤチャ……黒い髪をした細マッチョが現れた!


 「俺様……いえ、私は……ヤチャ……です」


 誰だ……。 

第40話へ続く

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