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『後日談』の45

 ひとまず、すぐに政府が飛空艇が撃ち落としにかかる心配はないらしい。でも、俺に残された時間がないことにも違いはない。どうすれば説得できるのかは全く考えついていないが、エリザベス先輩とお父さんが向かった先へ行ってみようと思い、俺は2人が出て行った扉の前に立った。


 「……」


 あれ……開かない。自動ドアだったはずだけど、前に立っただけでは開かないのか。でも、さっき大賢者先生は、扉を開けてくれてるって言ってたはずなんだが。聞こえるかは解らないけど、独り言のように先生へと呼び掛けてみた。


 「……あの。ここ開いてませんよ?」

 (カギは開いとるぞ。操作は自分でやってくれたもれ)


 テレパシーのようなものが、俺の頭の中へと直に聞こえてきた。大賢者先生の声だ。どうやらロックだけは解除されているらしいので、どこかにあるスイッチを押せばドアは開くと見た。


 「とはいっても、どれだ……」


 スイッチ……ボタン……レバー……アナログスティック……部屋の奥には操作に関するものが一通りそろっているのだけど、操作するところが多すぎて逆に何がなんだか解らない。一応、スイッチなどには文字が書かれているから、それを頼りに探すしかない。


 『OPEN』


 そう書かれたボタンがある。これじゃないか?押してみた。


 「……」


 なんだろ……何も起こらないな。しいていえば、どこか遠くから、ギギギという音がしたくらいか。ドアの前に立ってみても、押しても引いても開きはしない。ハズレか。


 『おさないで』


 ……手書きの汚いひらがなで、『おさないで』と書いてあるレバーがあった。自爆スイッチだったら大変だけど……押すなと言われたら押すよ。俺、そういう人間なんだぜ。


 「……?」


 レバーを引く。壁の方から、ヴゥーンとうなり声みたいな音が発生し始めた。なんだこれ?でも、どこかで聞いたことのある音だ。そのまま1分ほど警戒していたところ、チンという短い音が鳴った。そして、壁の一部が開き、からあげが出てきた。


 「……」


 いいにおいだ。船の秘密を無駄に1つ発見したが、これは本望ではない。あつあつからあげをつまみぐいしつつ、あぶらのついた指で次のボタンを探す。


 『新たなる光』


 ……わぁ。すげぇ怪しいボタンがあった。『新たなる光』て。でも、他のボタンも『お気に入り』とか、『設定』とか、『履歴』とか書かれていて、ドアには関係がなさそうだ。それっぽいボタンは、『新たなる光』しかないんだよなぁ……。


 「押すか……押すね……うん。押すよ?」


 眠っている兵隊さんたちに無断で断って、俺は怪しいボタンを押した。数秒の沈黙をはさんだ後、正面にある大きなモニターに、真っ赤な文字と数字が映し出された。


 『自爆まで 残り10分』


 ……やべぇ。どうしよう。自爆のボタンだった。なんなんだよ……『新たなる光』って。なにしゃれた言い回しにしてんだよ。なんとかして止めないと。おろおろしながら自爆停止ボタンを探していたところ、後ろでドアの開く音がした。


 「なにしてんだ!自爆スイッチには、ちゃんと『おさないで』って書いたであろうが!」

 「……」


 片手がフックになっているオジサンが、背後のドアから現れた。あれは……エリザベス先輩のお父さん!


 「……日本人め。死ね」

 「ひえ……」


 お父さん、俺の姿を見るや否や、片手でピストルを構えた。やべぇ!

  

『後日談』の46へ続く

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