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第38話の3『泡』

 王国へ攻めてきた時のジ・ブーンをエビゾーさん達は見たらしいが、俺が想像していた以上にジ・ブーンの体は大きかったらしい。すると、想像を絶してしまった為、これは質問攻めにする他ない。


 「エビゾーさん。どのくらい、大きかったんでしたっけ?」

 「とてつもない!とってつもないぞ!」


 ヤバい。


 「ルッカさん。それは城を持ち上げるほどの大きさなのですか?」


 「ええ。その際は頭を海面より出していた為、体のみが確認できました。城と同等とは言えませんが、あの大きさであれば持ち上げるのも無理ではないはずです」


 「……そういえば、なんで昨日は一目見て、ジ・ブーンが来たって解ったんですか?あの時は、そんなに大きくなかったですよね?」


 「前に見た時、海上から叫んどったしな。己の名前やら、よこせよこせやらと」


 「ええ。肌の色も灰色であったため、間違いないかと」


 エビゾーさんいわく、名前は自分で言っていたらしい。そして、城を転がすほどの大きさだったらしい。すると、やつは体の大きさを変えられる……いや、違うな。これは……むしろ。


 「予想ですけど……ジ・ブーンは恐らく、体を分裂させることができるのでは?」

 「お前、そんな生き物を見た事があるのか?」

 「ないです……」


 エビゾーさんの一言で俺の考えは信用を失ったが、ここまで俺が出会ったのは胃の化け物、手の化け物で、手の化け物がゼロさんに攻撃された場所と同じ場所にジ・ブーンは傷を負っていた。絶対ではないが、可能性は高いと思う。ただ、それだけの巨体がパーツパーツに分裂すると考えたら、軍隊の其れである。おそろしい……。


 それはともかく、お姫様は家族や国民の安否を案じている。確かに、それが最も肝心だ。


 「ルッカさん。お父様、お母様、国の皆様は……」


 「皆様、ご無事な様子でございました。ジ・ブーンの目的は王城、および姫様であったと考えられます」


 ジ・ブーンについては情報が増えてきたけど、もう少し調べてみる必要がある。あと、ヤチャの消息が懸念であるため、そこも含めて海の人々に話をうかがいたい。入り口から優雅にとはいかなかったが、このまま国を訪問する失礼をエビゾーさんに差し出す。


 「ルルルの魔法を使えば水中に行けそうだけど……入国、よろしいですか?」

 「ここにおいては行けんしな。やむをえん」

 「ありがとうございます。ルルル、頼んだ」

 「また、船ごと泡で包めばいいんじゃろう?」

 「いや、船は自分で潜れるらしいから、俺たちだけ空気で包んでくれればいいはずだ」

 「ふぅ~ん」


 気の抜けるような返事であるが、概ねの要領は伝わったらしい。ルルルは海水に腕を入れてジャバジャバさせ、体を覆えるくらいの泡を作ってくれる。泡が小さいからか、今回は仙人の力を借りずに完成する。それを手渡されたのだが……どうすればいいの?


 「……どうやって入ればいいんだろうか」

 「割れないように作ってあるし、適当に中に入ってくれていいんよ」


 適当に……と言われたから適当に腕から押し込んでみたら、至って問題なく足先以外がキレイにシャボンへ収まった。俺たちの準備が完了したのを見てルッカさんが運転席に座り、それにともなって船は先端からググッと水中へ潜り込む。


 「……おぁーッ!浮いていくー!」


 船が完全に海水に入ると、泡の浮力で俺の体が持ち上げられた。このまま海面に置いていかれるのではないかと思いドキッとしたが、俺の足をゼロさんが掴んでくれた為、なんとか置いてけぼりは避けることができた……。


第39話へ続く

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