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第38話の2『呼出』

 「……はっ!お兄ちゃん!」


 召喚演出の中から神々しく登場したのはピンクのワンピース水着に身を包み、セクシーポーズをとっているルルルの姿であった。不意をつかれたらしく、非常に恥ずかしそうである。


 「ルルル……遊んでた?」

 「遊んでないんよ!おにいちゃんと、じじいと、ゼロさんもいる……はッ!エビがいる!」

 「エビゾーだ。ゾーをつけろ小童」


 遊んでないとはいうものの、どう見ても楽しんでたのは違いない。早急に説明を求める。


 「水着なんて着て、何をしてたんだ?」


 「あたち、あのままカイガンの村まで飛ばされたんよ。あてもなく探しても、みんなも見つからないと思って、近くの探索から始めようと考えたのじゃ」


 「で、水着を着て遊んでたの?」


 「ちがうんよ!あたちの服では水に浮いてしまうから、ちゃんと海に入れる服を安くゆずってもらったのじゃよ」


 セクシーポーズをとっていた理由については言及しないが、ルルルも遊んでいたわけではないのだ。水着も露出の多いものではなく、ちゃんとお腹まで隠れる健全なものを着ている為、そこは俺の教育の賜物と思いたい。


 「……で、そちらの姫様的な人は誰なのじゃ?」


 「ああ……海の王国のお姫様であらせられるマリナさんと、こちらはマリエイア王国大王補佐官にして、海洋自衛軍一番隊の隊長 エビゾーさんだよ」


 「勇者……よく覚えていたな」


 「お兄ちゃん……たまに記憶力あり過ぎてキモイ」


 ゼロさんに褒められつつも、ルルルにキモイと言われた。俺は恋愛相手の女の子の性格ないし好き嫌い、過去の言動やイベントの数々を記憶するのが本来の仕事だから、言われたことは無駄に一つ一つ憶えていたりはする。ただ、その記憶力を女の子に使った試しが少ないのが残念でならない。


 それはそうと、ルルルがいれば酸素の問題は解決するかもしれない。相談してみよう。


 「ルルルと仙人がいれば、俺たちを泡に包んで水中へ進めると思うんだけど」

 「水中に何があるのじゃ?」

 「……お待たせしました。王国の様子なのですが」

 「おお……誰か海から出てきたんよ……」


 海底を偵察に行ってくれていたルッカさんが帰還。今さっき到着したルルルの疑問と、それを見つめるルッカさんの視線に応え、俺は彼女が敵じゃない旨をルッカさんに伝える。それはそうと、彼の浮かない表情を見るに、なにやら海底については不都合があったと察しがつく。


 「あ、仲間のルルルです。仙人が呼び出しました」


 「そうでございましたか。王国の様子なのですが……はい。単刀直入に申し上げますと、王城のみが持ち去られた有様でございます」


 「???」


 すんなりとルッカさんの報告が頭に入った来なかったからか、姫様やエビゾーさんを含めて全員がハテナを浮かべている。とりあえず、こういう時に話題に切り込むのは俺だろうと思い、冗談をまじえて真面目に聞いてみる。


 「……ええと……城を持ち去るほど、ジ・ブーンって大きくなかったですよね?」

「いえ、大きかったです」

 「確か……大きかったですよね……」

 「そうだ。それは、巨人の様相!あの姿、我は忘れん!」


 あら……王国民、満場一致で大きかったらしい。これは詳しく聞いてみる必要があるかもしれない……。


 第38話の3へ続く

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