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『後日談』の11

 「あたち、生徒会あるから行くね」

 「え……ルルル、生徒会役員なの?大丈夫?」

 「お兄。それ、どういう意味なん……」


 小学校の生徒会を抜けてまで来てもらったものの、特に仕事もなく学校へと帰ってもらう不本意な結果となった。別れ際、ゼロさんがルルルさんにチケットらしきものを渡している。それは……。


 『体育祭観戦チケット』


 うちの学校、体育祭に観戦チケット必要なの?期待値が高すぎだろ……大丈夫か?最終種目のアンカーは俺だぞ?


 「……もう5時だな。友世。あと1人だ」

 

 中学校の校門付近にある時計をながめつつ、照也にせっつかれた。んなこと言っても……あれ?でも、リレーって6人で出るんだよな?


 「体育祭のリレーって、6人だろ?俺と、カルマさん、ウライゴさん、夢子さん、生徒会長、満里奈ちゃん……そろってね?」


 人数としては、そろってるはず。そのチーム構成は……主人公、知らない人、友達の友達、ヒロイン、ヒロイン、ヒロインという変なメンツだが、どうだ?いいんじゃないか?

 

 「照也……あと、誰が必要なんだ?」

 「1人、一緒に走る監督がいないとダメなんだ」

 「……ん?」


 なんでリレーに監督が……そういう顔をした俺に対して、すぐに照也は理由を説明してくれる。


 「世紀末リレーは危険だから、なにかあった時の為に保護者がいないといけないだろ?」

 

 説明してくれたが、むしろ解らなくなってきた。『だろ?』とか言われても、知らん。どんな競技だ。そして、そんな競技に満里奈ちゃんや、夢子さんを引き込んだ俺……。


 「んじゃあ……シュッパ先生じゃダメか?」

 「シュッパさんはヴィラン襲撃の危険性をふまえて、当日は学校周辺の警戒にあたるんだ」

 「ヴィラン!?悪者くる可能性あるの?」

 「でも、やってくれそうな人のめどは立ってる。こっちだ」


 そう言い、照也は高校の方へと歩き出す。校内へ入り、1階の奥の方にある部屋へと向かう。ここは……保健室だ。何度かケガと仮病で来たことはあるけど、いつ来ても保険の先生はいなかった。その代わり、ヒロインの誰かが必ずベッドで寝ていて、ドキドキのイベントにはことかかない部屋である。照也が保健室のドアを開く。


 「この時間には、いると思うんだけど……」

 「ん?誰が?」

 「大賢者先生」


 今日はツッコミどころが多いな……疲れたから、もう突っ込まないけど、最後に言わせてもらうならば、大賢者と先生とで称号が多すぎる。なにかの欲張りセットか?


 「お……オジャマします」


 俺も中に入って室内を見回すが、やっぱり誰もいないみたいだな。俺が棚の消毒液なんかをながめていると、照也やゼロさんが保健室の物色を始めた。デスクのイスを引いて奥を見てみたり、ベッドの下をのぞいたり。そんなところにいないのではないか……などと思いながら俺も戸棚を開けてみたら、何かキツネみたいな生き物が転がり出てきた。


 「……うわあ!」

 「なんだなんだ?ケガ人か?わらわをお探しか?」


 しかも、しゃべった……キツネはデスクの上に飛び上がって、俺たちの様子を見ている。ケガや病気の人がいないのに気づくと、すぐに照也へと要件を尋ねた。


 「どうした?勇者」

 「世紀末リレーの監督を頼めないかと思いまして……」

 「おお!いいぞ!」


 キツネに監督を頼んでしまった……すみやかに事が決まった次第、誰かが保健室のドアを開いた。


 「大賢者先生!うちのカラード君が!」

 「姉さん……僕は別に」


 保健室に入ってきたのはメイド服を着た人で、この人は食堂のおば……お姉さんだ。腕に軽々と抱えられているのは、4組のシオン・カラードさん。


 「ん?どれどれ」

 

 カラードさんをイスに座らせ、キツネ先生がジッと容体を見る。その後、カラードさんに病状を告げた。おまけで、お姉さんにも言う。


 「おぬしは……色白だ。日焼け止めを塗っておくがいい」

 「はい……」

 「そして、おぬしはブラザーコンプレックスだ……」

 「……ええ。そうですわ」


 見た目はキツネだけど、ちゃんとしたキツネだ……頼りにしてもいいかもしれない。


『後日談』の12へ続く

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