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第119話の3『工作活動』

 「……」


 死んだ?え……どうしてだ?痛みとか、何かに攻撃された感じは全くなかった。前回、コンテニューを使ったのはグロウと戦った時で、それ以降は一度も使っていなかったが、きっと数回はチャレンジ回数が残っていると思っていた。でも、もう残りは0回らしい。


 コンテニューできないとなれば、二度と死ぬわけにはいかない。ここで終わったら、魔王にも真相は聞けないし、みんなともお別れだ。気持ちを切り替えよう。どこで間違った?なんで死んだ?4階の部屋に入ったところか?階段を上がったところ?そう考えながら、俺は目を開いた。


 「……」


 たくさんの石像があり、その向こうに魔王城が見える。ここは……昇竜の門を抜けた先だ。ここからやり直しとなると、しょっぱなから進むべき道を間違えていた可能性もある。呆然としている俺に、仙人が後ろから声をかけた。


 「どうした?何か見えるか?」

 「あ……いえ。逆になんですが……仙人。なにか、見えますか?」

 「……?」

 

 俺の目に映っているのは黒いオーラを放っている大きな城。それと、城が立っているゴツゴツとした地形。暗雲に包まれた空。大きな石像の群れだ。それらを一つずつ指さしながら、仙人も俺と同じくオブジェクトを確認していく。


 「ううむ……魔王城らしき城。怪しい石像。くもり空。しいていえば、残るは地面の岩場か?」

 「ですよね」


 他の人たちも異議はないらしい。すると、ここから見える景色については全員、見識に違いはないのだろう。次は石像か。コンテニュー前に近づいた時には、1つとして動きすらしなかった。今回は観察しながら、慎重に進もう。


 「オレサマが行く……ぞぉ!」


 前回と同様、ヤチャが俺たちの前を歩いていく。やっぱり石像は動く様子はないし、特に変わったところもない……だけど。


 「……ヤチャ。ちょっと待ってくれ」

 「ぬう?」


 石像に変化はない。振り返ってみても、昇竜の門も消え去っている。ただ、コンテニューして戻された場所は魔王城の前ではなく、石像地帯よりも前だった。それには意味があると考えて行動したい。


 「んなに不安なら、斬ってやろうか?これ」

 「……?」


 グロウが大きな刀を取り出す。石像は硬そうだが、斬れるのか?いや、本人がいうのならば、魔法を駆使すれば斬れない事もないのだろう。どちらにせよ、今から魔王城へ殴り込みをかけるのは間違いない訳で、これを壊したからといって謝罪に至ることはないだろう。


 「じゃあ、頼む」

  

 『斬り方は? 1・縦 2・横』


 グロウが刀を両手で持って構えた瞬間、メッセージウィンドウが表示された。また突然、死んだのではないかとドキッとしたが、今度は選択肢が現れた。縦……横……それに意味があるのか?一応、視界の中に何かないか探してみる。


 「……?」


 ……石像の足元に何かあるぞ。これは……穴かな?石像の足元を調べるには、石像を縦に斬らないといけないよな。横に斬ったら最悪の場合、落ちてきた石像に潰される恐れもある。


 『1・縦』


 「グロウ。縦にキレイに斬ってほしいんだけど……」

 「……まあ、いいぜ」


 よく解らなさそうな様子なりに承諾しつつ、ゆっくりとグロウは刀を振りかざす。目にも止まらぬ内に刀は降ろされていて、数秒の沈黙が訪れた末、近くにある石像が次々と真っ二つになった。


 「グロウ。ありがとう……?」


 グロウが仕事を終えた……それと同時に、地面がぐらつき始めた。なんだ……?


 「……おおっ!」


 俺たちの立っている地面が複雑に地割れを起こし、切断された足場が落ち始める。斬ってほしいとは頼んだが、地面まで斬ってほしいとは言っていない。地中には暗闇がひそんでいる!このままだと、地面の中に落下するッ!


 「うあああああぁぁぁぁぁぁぁ!」


第119話の4へ続く

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