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第36話の1『好機』

《 前回までのおはなし 》

 俺の名前は時命照也。恋愛アドベンチャーゲームの主人公なのだが、気づけばバトル漫画風の世界に飛ばされていた。仲間とはぐれてしまいながらも、大海原の真ん中で奇跡的に人を見つけた。そのついで、四天王の一人とも遭遇してしまい混乱している……。


 突如として現れた魔王四天王のジ・ブーンは充血した目で俺たちを見回していたが、ルッカさんが抱えている人魚姫のマリナさんを見つけるや否や、床にヒビを入れる勢いで駆け出した。


 「そいつ、オレにワタせ!」

 「ならん!このエビゾーが相手をする!」


 ジ・ブーンの前に立ちはだかったエビゾーさんは鋭くヤリを突き出し、向かってきた敵の左胸を突き刺す。だが、その攻撃をジ・ブーンは歯を食いしばりながらも食い止める。


 「く……陸地では全力は出ないか!」

 「ジャマだぁー!」


 体格差としてエビゾーさんはジ・ブーンの4分の1ほどしかなく、それ故の小回りで敵の大振り攻撃を後ろっ跳びしながら回避。陸地での戦闘では力が出ないと言いつつも、敵が右手に血が出ているのを発見すると、そこを狙って攻撃を繰り出した。


 「エビゾー奥義!潮嵐だぁー!」


 エビゾーさんの目にもとまらぬ速さで連続突きを受け、ジ・ブーンは天井を破壊しながら上の階まで飛ばされていく。多勢に無勢で俺たちが優勢に見えはするが、四天王は勇者しか倒せないという裏設定的なものがある訳で……でも、勇者である俺がトドメをさせる材料も今はないし、オーブを奪い取ろうにもジ・ブーンの装備の中には見あたらない。


 「ルッカ殿!姫をドルフィン船へ!」

 「はい!」


 エビゾーさんの指示でルッカさんが部屋の奥へ走り出し、巨大な台座のようなものがエレベーターさながら下がっていく。ドルフィン船なる何かがあるらしいが、それを使えば外に逃げられるのだろうか?


 「うごぉー!シネェー!」

 「ぬおお!」


 天井を破壊して戻ってきたジ・ブーンが、お返しとばかりにエビゾーさんを叩き潰す。その威力といえば、エビゾーさんの体が肩まで床にめり込むほどであった。すぐさま、俺はジ・ブーンの足止めに走るのだが、俺が何かするより先にジ・ブーンは壁に打ち付けられていた。


 「私が奴を弱らせる。とどめは頼む」

 「わ……解りました!」


 未だ強さ未知数のゼロさんがワンパンでジ・ブーンの巨体をぶっとばしており、そうしつつも俺にトドメをたくしている。ただ、ワルダー城やレジスタの時のように都合よくは勝算が見えてこない。ひとまず、エビゾーさんを助けようと動く俺なのだが、きっちりと床にハマっていてエビゾーさんが抜けてくれない……。


 「エビゾーさん!今、助けます!うりゃー!」

 [お前、力なしか!もういい!我のヤリで加勢に行けい!]

 「お……お借りします!」


 この救助すら俺には無理だ。早々に諦めると、言われたとおりにエビゾーさんのヤリを持ち上げる。それは見た目の割に重さは大してなく、持ち手がついていて力なしの俺にも構えやすい逸品である。一方のジ・ブーンはというと、起き上がろうとするたびにゼロさんに殴りつけられていて、その衝撃は地下全体をゆるがすほどである。


 「ゼロさん!行きます!」

 「頼む!」


 今しかない!俺は倒れているジ・ブーンを目指し、慣れないヤリ1本で特攻を試みた!


第36話の2に続く

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