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第35話の3『予感』

 扉の奥に待っていたのは装飾が施された豪華絢爛な大部屋で、随所に置かれている金のシャチホコらしきものには白い光が灯り、部屋はスポットライトを万遍なく当てたように異様な明るさを保っている。その眩さに目を細めつつ室内をうかがうと、部屋の中央には背の高い青肌の男の人が待機していて、彼は波のような独特の形状のヤリを構えて立っていた。その槍を腰脇に下げつつ、彼は髪のような形のヒレを動かしながら、落ち着いた口調でエビゾーさんに問いかけた。


 「……エビゾー殿。こちらの方々が勇者様ご一行なのですか?」


 「そうだ。さっきのオーブも、間違いなく魔力を秘めていた!そうだったよなぁ!」


 「……ええ、確かに。姫様の魔を見通す力でも、それは確かと証明された。ようこそ。勇者様。私は姫様専属執事のルッカ。そして、こちらが我らの宝。マリナ様であらせられます」


 そう言ってルッカさんが立ち退くと、その背後には人が入れそうなほどの大きなカップがあり、カップの中から僅かに女の子の顔が見えた。ここから見た限りでは、どうも姫の姿は人間と同じように錯覚してしまうが、まだ油断はできない。ルッカさんに刺されないよう両手を上げて降伏しつつ、俺は恐る恐るカップへと近づいてみる。


 「あの……勇者様。ワタクシ、恥ずかしいです。見つめないでいただけますか?」

 「あっ……すみません」


 上半身は人間、下半身は魚。そして、胸元を隠しているのは二枚の貝殻。この姿は……おお!映像でしか見た事がなかった、典型的な姿をした人魚だ!おまけに顔も可愛らしいが、そんな事より何より完璧な人魚に出会えたという感動が勝った。


 「あ……握手してもいいですか!?」

 「ひえ……っ!」

 「お前、姫様を怯えさせるな!しょっぴくぞ!」

 「すみません!人魚姫に会えた感動のあまり、つい!」


 エビゾーさんの槍が俺の背中にチクリと当たり、俺は殺されない内に手を引っ込めた。そんな俺に代わって、ゼロさんが今に至る経緯を単刀直入に伝えてくれる。


 「私たちは魔王四天王が海にいると睨み、ここまでやってきた。ギザギザ海賊団の助力を得て謎の水流へ挑んだが、巻き込まれ仲間たちとはぐれてしまった」


 「ギザギザだと?やつめ!海賊などに落ちぶれたか!王国軍の面汚しだ!」


 そのエビゾーさんの口ぶりからするに、ギザギザさんは元王国軍人だったようだ。こんな場所に隠れている姫様と家臣の人たち。国を飛び出したギザギザさん。王国で何かがあったであろう事は、聞くまでもなく予想できる。


 「勇者様。我々も打倒、魔王四天王に手を焼いている状態。どうか、お力添えを願いたい一身でございます」


 「もちろんです。でも、まずは敵の情報、それと仲間を探さないと……ん?」


 ルッカさんの誘いを二つ返事で受け、これからの行動について考え始めた。そんな俺のセリフを割って、上の方から何か大きな物音が聞こえてくる。イヤな予感がする……。


 「我が上を偵察してくる!ルッカ!姫様を頼む!」

 「そのヒツヨウはない!」


 低い声が聞こえると同時に天井が突き破られ、瓦礫と共に何かが落ちてくる。それを事前に察知したルッカさんが、すぐに姫様を抱えて避難。俺もゼロさんに引っ張られて運ばれた次第、不甲斐ないながらも姫と同じ扱いとなった……。


 「おおぉ!お前は……四天王の一人!ジ・ブーン!」

 「ええ?あれが?」


 その巻きたつ瓦礫とホコリの中に映る影を見て、エビゾーさんが驚愕の声と共に敵の正体を指す。次第に灰色の肌をした巨漢が光を裂いて現れ、ギラギラとした目で俺たちを見回し始めた。あまりの急に登場に心構えができておらず、なるべく俺は奴と目を合わせないよう努める他なかった……。


第36話の1へ続く 

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