表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
465/583

第113話の1『無の境界』

 《 前回までのあらすじ 》


 俺は時命照也ときめいてるや。バトルものの世界に来てしまった、恋愛アドベンチャーゲームの主人公だ。なんとかかんとかレジスタの街へと辿り着き、識者の集まる会議に参加しながら、今後の行動に目星をつけようとしているところ。

 「おい。ルルル。起きないか」

 「むにゃにゃ……もう食べられにゃい……」


 居眠りしている人の常套句が出た。実際、さっき満腹にしたばかりなので、リアリティのある夢を見ているのかもしれない。しかし、起きないな……いいや。俺の妹だし。勝手に取っちゃえ。


 「……ええと」


 これか?ルルルのスカートの浅いところに手を入れてみたら、なんだか珠とか砂利とか布とか紙とか、ちょっとぷよぷよしたものとか、べとべとしたものとか、さまざまな感触が手に当たった。これは四次元スカートなのか?俺は筒状になった紙を引き出す。


 「博士。これ、霊界神様からいただいたものらしくて、絵みたいなんですけど……」

 「ふーん。どれどれ」


 巻いてある絵を広げて、円卓の真ん中に貼り出してみた。どっちが上で、どっちが下なのか判別もつかない絵だからして、ぐるっと囲んでいる現状は好都合である。絵は抽象的な画風で、近くで見ても遠くで見ても印象が変わらない。絵の内容といえば、水色のものの中に、何かが浮いている……もしくは、沈んでいるような曖昧な感じ。


 「……ッ!」


 絵画鑑賞をしている内、ローブをまとった白ヒゲの老人が立ち上がった。何か思い当たるものでもあるのだろうか?


 「これは……お……」

 「……?」

 「オッポ!」

 

 オッポ?なんだそれ?俺と同じ疑問を抱いたらしく、博士が俺の代わりに聞いてくれる。


 「ガンコさん。それは?」

 「私の息子の名前だ」

 「……」


 これに似ている息子さんとは、ぜひともお顔を拝んでみたいものである。ただ、どう見てもガンコさんの姿は人間で、どのような女性と結婚して子供を授かったとしても、こんな島みたいな姿のお子さんは産まれてこないと思われる。ここは一つ、アフリカンさんに希望を託す。


 「アフリカンさん……これ、どうでしょうか」

 「……とてつもない。綿密な、繊細な、手に取るように世界の一部を切り取ったもの」


 やっぱり、これ……どこかの場所を伝えるべくして描かれたものらしい。それも、描かれたものの輪郭や、色彩の濃淡すら、実は緻密に計算されたものであるようだ。考え方によっては、これを地図と呼んだのも間違いではなかったかもしれない。それが解ったのであれば、この絵の正体も解明できる可能性はある。


 「……これ……どこなのか解りますか?」

 「魔力の在り方と、世界の在り方は密接である。不浄の魔力が満ち満ちれば世界は消える。魔力が消えてなくなれば、地盤が揺らぎ引き裂かれるであろう。現在、我々の立っている場所も然り。魔力が強まれば、空中にすら大地は生まれる。逆も然り。また逆も然り」

 

 スキップした方がいいかな……そう考えて俺がペンダントを握ったところ、アフリカンさんが唐突に俺へと問いを投げかけた。


 「無の境界。知っているか?」

 「あ……はい。そこだけ、大地や海がないんでしたっけ」

 「……無の境界の奥には、なにがあるか知ってるか?」

 「……?」


 何もないんだから、落ちていくんじゃないのか?俺、実際に落ちたことあるし。で、無の境界の底に頭を打ちつけて死んだ。あれ……言われてみれば、底があるのか?無なのに?


 「無の境界の中には入れない」

 「入れないんですか?」

 「奥へ向かうと、見えない壁になっているのだ。だから、入れない。あれは汚れた魔力によって消された世界。何もないのだ」


 となると、落ちた時は混乱してて解らなかったが、俺は無に頭を打ちつけて死んだのか。コンテニューしたから生きてるけど。でも、なんで急に無の境界の話になったんだろう。何か関係あるのかな。


 「世界中を回ってきたが……おらは、この絵に描かれている場所を、この世界で見たことがない」

 「……そうなんですか」

 「よって判明する。この絵に描かれている場所は、おらが見た事のない場所だ。そして、絵の水色部分の魔力の散らばりからするに……この場所は、空にある」


 アフリカンさんすら見た事がないなら、俺には探しようがない。そう落胆したと同時、アフリカンさんの言葉の続きをもって、言わんとすることが理解できた。


 「ああ……そういうことか」


第113話の2へ続く

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ