表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
426/583

第106話の4『かわいい子が、かわいい事をしてるだけ』

 「では、俺は修行に集中するので、あとは大賢者様にお任せします」

 「うむ……うむ。何を?」

 「その辺りで独り言を言いながら、だらだらしていていただければ……」


 舞台は用意した。小道具もそろえた。美女もいる。これでしばらく、俺はお役御免である。大きな岩の上にペタンと座っている大賢者様は、俺の学生服とYシャツだけを身につけている状態だ。大きな胸のせいでボタンは全てとまっておらず、なのに胸のお肉はグッと服によせられて、深い谷間がエリの内にのぞいている。


 「……んー。天気がよいよい日であるなぁ」


 彼女の赤い髪は長くて毛量があり、束ねた髪の先はキツネのシッポのように膨らんでいる。大賢者が乱れた髪に手ぐしをかけて、からまった髪をサッと伸ばす。髪の赤色から炎から散るが如く、金色の輝きが太陽の光に照る。白い肌は太陽光を怖がる様子もなく、その証として肌には黒ずみ1つも浮かんでいない。岩の上に乗せられた太ももは太くて柔らかそうであり、岩の硬さにも負けてぷよぷよと軽く潰れている。


 「眠い……」


 そう小さくつぶやいて、大賢者様が岩の上に寝転ぶ。岩にほほを押しつけて、太陽の温かさと岩の熱さを楽しんでいる。ふとももの付け根は足先に隠れ、絶妙に裾の奥が見えない。寝返りをうって仰向けになれば、張りのある豊満な2つの胸が重量に引かれて、やや楕円に形を変える。そのまま逆向きに寝転んで、岩のふちから足をブラブラさせている。


 「……ううんん」


 20分ほど日向ぼっこを楽しむと、髪をぼさぼさにしながら大賢者様が体を起こした。近くに置かれている果物の1つ、ブドウのようなものを手に取る。


 「ふふふ……」


 嬉しそうに1房から1粒をつまみとり、皮をとらずに口の中へと押し込んだ。味は酸っぱいのか、口をむにむにさせてクチビルをすぼめている。


 「んふふ……」


 房についた身を半分ほど食べ終え、それを元あった場所へと戻す。今度はリンゴに似た果物に手をのばし、果物の真っ赤な皮に天の光を映している。そして、ちっちゃな口で果物に噛りつく。カポッと音がして、果物の一部が歯で噛み取られた。


 「んっ……ん~……甘い」


 そうして少しずつ、口いっぱいに果物をほおばっていく。食べるよりかじる方が早いので、次第にほほの中にリンゴがたまっていく。ほんのり赤く色づいたほほに、果汁のついた手をそえておさえる。ごくんと全て飲み込むと、口の周りをなめるようにして赤い舌をチロつかせた。


 「んっん。食べたー。わらわも水で遊ぶぞ」


 素足を岩から下ろし、ゆっくりと草原に足をつけて歩く。湖面に足の先をつけて、そこから広がる波紋をじっと観察している。足を深く水に入れ、波を立てながらジャブジャブと進んでいく。

 

 「あー、冷たい。いいぞいいぞ」


 服をぬらさないよう、ふとももが水に浸る程度まで見て進む。楽しそうに水を蹴って移動し、大賢者様は川へと入っていく。ゆるく流れる水に足を立てて、川の流れに逆らいながら歩いていく。


 「あはは」


 大賢者様は水と大いに戯れ、満足すると川から足を上げた。ふとももから下に水が滴っており、足を岩に乗せて足あとをつけている。思いつく限りのダラダラのんびりを行使したのち、大賢者様は大きな岩の上に戻って座り込む。そして、呆れたような声で俺に尋ねた。


 「んん……満足したか?」

 「あ……ありがとうございます。できました」


 この作品の読者か視聴者、ユーザーかもしれない方々に大賢者様を満喫していただいている間にも、なんとか俺は湖の上に立つことに成功した。


                                第106話の5へ続く

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ