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第33話の1『浮上』

《 前回までのおはなし 》

 俺の名前は時命照也。恋愛アドベンチャーゲームの主人公なのだが、気づけばバトル漫画風の世界に飛ばされていた。ギザギザさんのアジトに潜んでいた何かを撃退し、海賊団の仲間たちとも合流も果たした。しかし、化け物は取り逃してしまった……。


 

 「リーダーが船からいなくなってすぐ、あの化け物が襲ってきたでしタコ!」

 「突然の襲撃を受け、逃げ遅れたメンバーの救出を試みましたが、我々では力及ばずサバ」

 「今回も危険だったイクラ。やはり、リーダーがいないと俺たち……イクラ」


 敵の手から逃れた穏やかな海中にて、海賊団のメンバーが口々に戦いの結果を報告しているのだが、語尾が気になって内容が頭に入ってこない。キメラのワンさんといい、なぜキャラ付けが妙に安直なのか。


 「ギザギザ、お前たちが無事でなにより!ギャババ!」

 「一時はどうなるかと思ったが、やはりリーダーだタコ!助けてくれると信じタコ!」


 ……おや?彼らの口ぶりからして、さっき俺たちが戦っていたのを知っている様子……この人たち、どこにいたんだろう。ふとした疑問から、俺は怖々ながらも質問の挙手をしてみる。


 「あの……俺、テルヤって言います。あなたたちは、どこから現れたのですか?」

 「なんだイクラ!お前イクラ!人間が、どうして海の中にいるイクラ!」

 「クラゲ、待て待て!テルヤはギザギザの依頼で、無償で化け物と戦った!感謝しろ!」


 イクラと語尾につけているイソギンチャクっぽい人は、実の名をクラゲというらしい。紛らわしいので、今後はイクラさんと呼ぶ事としたい。よく見るとイクラさんたちは5人とも溶けた鎧を着ており、体も黄色っぽく汚れている。すると、答えてもらうより先に答えの見当がついた。


 「もしかして……皆さん、あいつ……化け物の中に入ってました?」


 「そうですタコ!変な液体に溶かされないよう、あれの上の方にしがみついていタコ!」


 「したらば、悪臭を放つ布が落ちてきて、すると液体共々、5人全員、化け物から吐き出されたサバ!」


 「リーダーたちの後ろ姿を見つけ、すぐさま追いかけてきたのサーモン!」


 「え……海賊団なのに6人しかいないん?」


 「ガキめイクラ!黙れイクラ!愚弄すると殺すぞイクラ!」


 リーダー含めて6人しかいない海賊って少なくね?そう思っていた俺の心の声をルルルが軽はずみに口から出し、イクラさんのお怒りをお安く買っている。イクラさんの血の気が多すぎて怖い反面、ケンカになったらルルルのが強そうなので、どちら様をいさめるべきかは悩みどころである。


 「ギザギザさん……色々と事情は聞きたいんですが、俺たちは陸の生き物なので、ここでは……」

 「おぉ!ひとまず、出るか!表!」


 こっちはこっちで一つ聞き間違えばケンカに誘われているようなセリフだが……ギザギザさんは俺の言わんとすることを察してくれたらしい。ここからだと村まで出るより、近くの島へと向かった方が早いらしい。浮上していくイカダと、それを包み込む泡が水を押し上げ続け、カラッとした空の青さが日差しを交えて目の前に現れる。


 それと同時、俺は異様なものを発見し、思わず目を細めて呟いた。


 「……なんだ?あれ」


                                  

第33話の2に続く

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