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第101話の3『はかいこうせん』

 光の巨人へ平和的対話を求めたはずが、なぜか俺は先制攻撃を放ったらしい。すぐさま、飛行船の外ではヴオオオオオという声か音かも解らない音が近づいてくる。


 「くるぞ!防御の拳!バンパー……グー!」


 仙人が飛行船の甲板へと飛び出していき、直後にズンと飛行船へ衝撃が走る。飛行船の壁へ一気にヒビが入り、足元の床もボロボロと割れ始めた。すぐさまゼロさんは俺とララさんを抱きかかえて、崩壊しつつある操舵室から駆けだす。


 「すまない!先に行け!」

 「……ッ!」


 通路の天井が落ちてくる。その寸前、ゼロさんはロボへと入るすき間を見つけて、俺とララさんを投げ込んだ。俺たちはロボの内部に転がり込んだが、崩れたガレキにはばまれてゼロさんは飛行船の方に取り残された。すぐ助けに行こうとするが、はさまっている破片は大きく取り除けない。


 「ゼロさん!大丈夫ですか!?」


 木片でふさがれた道へ、持ちうる全力をもって蹴りをぶつける。何度か足でガレキを押しやると、ガラガラと音がしてロボのすき間から木片が抜けた。

 

 「……!」


 見えたのは外の景色だ。魔王軍の飛行船はバラバラになって眼下へと散らばり、もはや跡形もなくなっている。すると、ゼロさんは……。


 「……おわっ!」

 「うおっ!そこにいたか!勇者よ!」


 ロボのすき間から顔を出したところ、下から現れた仙人に頭突きをかまされた。ふさふさしていれば少しは助かったのだが、そこだけは毛が生えてないからすこぶる痛い。同時にゼロさんの声も聞こえ、すぐに俺は痛みを忘れて顔を上げた。


 「仙人。すまない」

 「わしは飛べるからな。今回は頼ってくれ」


 飛行船に道連れにされそうになったゼロさんを、寸前のところで仙人がひろってきてくれたらしい。ララさんもルルルと同様に飛べるだろうし、グロウは無論だ。この仲間内で飛べないのは俺とゼロさんだけのようだな。外の様子について、すぐに仙人が報告をくれる。


 「勇者よ!先は飛行船が盾となり助かったが、次は同じようにはいかんぞ!」

 「と……とにかく、グロウのところに戻りましょう!」


 ちらりと見た外の景色に魔王軍の飛行船はなく、すでに空と森しか確認できない。さっきの巨人からの攻撃を受けて、ロボの外側についていた飛行船がパージされたと考えられる。身軽になったとも言えるが、だからといってアレと戦えるかといったら微妙だ。操縦席のある部屋へと走り出した矢先、ロボは体勢を立てるようにしてグルリと回転した。


 「おおっ!」


 90度の回転によって、俺は思いっきり壁へと肩をぶつけた。ロボのすぐ横を光る物体が通り過ぎる。直後、ものすごい音と共にロボに振動が起こり、外で何かが爆発したのを感じ取った。すぐに操縦席へと入り、何が起こったのかとグロウに呼び掛ける。


 「グロウ!何があった!」

 「やろう!攻撃してきやがった!」


 どうやら巨人が攻撃してきやがったらしいのだけど、のけぞっているのは光の巨人の方である。とすると……。


 「で、やり返したぜ」

 「すごいな……お前」


 巨人のパンチをかわして、すかさず破壊光線を撃ち返したのか。魔導力車の時は運転センスが怪しかったグロウも、飛行する乗り物では意外と腕利きである。


 『……勇者。勇者』

 「……?」


 声が聞こえる。船内の人たちを見回すが、誰の声でもないようだ。そこで、のけぞっている光の巨人へと目を向けた。あれ……しゃべるのか?


 『勇者よ……お前、潰す』

 「俺の獲物に手を出すんじゃねぇ」

 

 語り掛けてきた光の巨人へ、グロウが破壊光線で追い打ちをかけていく。気づけば形勢逆転した事についてはいいのだが、俺の命をめぐって争わないでくれ……反応に困る。


                               第101話の4へ続く

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