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第31話の3『潜水』

 「なんじゃ。お兄ちゃん、水の中に行くのん?」


 問題の解決に全く目途が立たない中、ゼロさんとルルルと仙人が合流した。何喰わないルルルの発言からして、なにか水中にあるアジトへ行く策があるのかもしれない。


 「ルルル。水の中に行く方法ってある?」

 「いくつかあるんじゃが……そうだ!じじい!あれやるんよ!」

 「ホッヒョヒョ!」


 そういうと、仙人は丸太の前にしゃがみこんで、両手をツツのような形にして繫げつつ、それに口をつけて構えた。まさに、火を竹筒で吹くような体勢である。その後ろに立ったルルルが仙人の後頭部へ手を添え、魔法らしき光を手から放つ。


 「ホッヒョ!ヒューーー!」


 仙人が思いっきり息を吹くと、仙人の手の中から泡のようなものが膨らみ出た。それは次第に巨大化していき、イカダの全てを覆い包むレベルまで達する。これは……おお!空気で作られた潜水艦だ!と、姿は気泡に包まれた程度のイカダなのだが、そこはかとなくテンションが上がってしまう。


 「なるほど!あとは、これをヤチャが!」

 「イカダは押せば沈むぞおおぉぉ!」

 「やったあぁぁ!いええぇぇぇい!」


 こうして、めでたく俺たちは水中へと足を進めたのである。海へと深く入っていく景色の美しさにハイテンションとなっていた俺だが、その最中で『この空気って仙人の息だよな……』と気づいて微妙にテンションが下がった。あと、水中へ入るに際しての人間たちの奇行を目の当たりとして、近くを泳いでいるギザギザが目も泳がせていたのは致し方ない。


 そういや、ルルルって体を軽くしたり、こういうことができたりするけど……一体、なんの精霊なんだろう。ほんの興味本位から、隣にいる本人へと聞いてみる。


 「ルルルって、なんの精霊なの?」

 「ひぇ?な……なんのって、なんなんよ?」

 「いや、精霊っていうと……炎の精霊とか、水の精霊とか、いるんじゃないかなって」

 「しょ……しょんなの、お兄ちゃんには関係ないんよ!」

 「まあ……うん。そうだけど」

 『なんかなんか近いよねぇ!魔獣?違う?もっと真っ黒な何かしらしら!』


 突然、ルルルの腕についているツーさんが叫びだした。これから行く場所はギザギザ海賊団のアジトのはずだが、なぜツーさんが反応したのか。いやな予感に俺は背筋を曲げながらも、水流で歪んだ海中の光景へと視線を刺す。ギザギザが船の進行方向を指さし、シャボンの中にいる俺たちへと到着を伝える。


 「あの沈没船、ギザギザたちのアジトだ!」

 「あれが……んん?」


 その沈没船が、飛び跳ねるが如くグラグラと揺れている。なんだろう……そう思いつつ見つめていると、沈没船の戸や窓、穴という穴の中で、ぶよぶよとした何かが動いているのを確認した!


 「ギザギザさん!あれ、なんですか?」

 「なにあれ!?ギザギザ、知らない!?教えてくれ!」

 「こっちこそ教えてくれ……」


第32話に続く

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