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第74話の4『仲』

 「ところで、カルマさんの家って、どのあたりなんですか?」

 「僕の家はセントリアル最下層にある、平凡な果物屋さ。ガッカリしたかい?」

 「ガッカリはしませんよ……なんで自虐的なんですか」


 カルマさんの家は果物屋さんを営んでいるらしく、場所はセントリアルの一番下とのこと。なぜか苦々しく言うので実家にコンプレックスでもあるのかと思ったが、詳しく話を聞いてみた感じ別に思うところはないらしい……。


 「あ……ちょっといいっすかー?」


 魔力式エレベーターを目指してセントリアル城の中を歩いていると、不意に背後から聞き覚えのある声が聞こえてきた。あわただしく走ってきたのは防衛隊員のミオさんであり、この人とはレジスタでの一件で会った覚えがある。その手には黒いローブのようなものや、あれこれ色々なアイテムが握られている。


 「勇者様たちが街に行くから、護衛を頼むって伝言で頼まれたっす。これ、ローブ着てください」

 「あ、すみません」


 そうだった。勇者決定戦が終わってからというもの、まともに街も歩けない身になってしまったんだった。ましてや、セントリアル武闘派衆の何人かを勇者チームが討ち取ったあとである。目立って得もない訳で、簡単にでも変装はした方がいいと思われる。


 「わざわざ、すみません……ミオさん。バンさんに頼まれたんですか?」

 「バンさんからの依頼がレジスタ本部に届いて、なんやかんやで私が来たっす……」

 

 また面倒ごとを投げられてしまった様子である。来てくれたこと自体はありがたい限りであるが、忙しい中であったなら申し訳ない。しかし、こうして隊に仕事を回せる辺り、やっぱりバンさんって割と位の高い人なんだなと思う。


 「ミオさんは、よくバンさんに仕事を頼まれるんですか?」

 「いえ……仕事を頼まれるのが珍しすぎて、今回が私が来たっす……何か大変なことでも起きたのかと」

 「そういう立ち位置の人なんですか……」

 「あ、僕も仕事を頼まれたことはないです」


 あの人、なんでも自分でやっちゃいそうな雰囲気だからなぁ。でも、カルマ隊員に仕事をふらないのは、また別の理由な気がしないでもない。ひとしきり俺に用を伝えると、ミオさんはルルルとハイタッチしながらはしゃぎだした。


 「ルルちゃんヘイヘーイ!」

 「ミオちゃん!」


 そういや、この2人って仲良かったんだっけ。むしろ、俺はミオさんとカルマさんとバンさんくらいしかレジスタ防衛隊に交流のある人がいないんだが、この3人の関係性はあるのだろうか。


 「ミオさんとバンさんとカルマさんって、違う部署なんですよね?」

 「そうっすね。バンさんはレジスタが魔物に乗っ取られてた時には、レジスタにいなかったっす。なにかと忙しいみたいで」


 あの時、バンさんはいなかったのか。すると、特にレジスタ専属の人って訳でもないんだな。さっき、バンさんはカルマさんの名前は知ってたみたいだけど……。

 

 「カルマさんは親睦が深いんですか?」

 「僕はミオ隊員ともバン隊長とも、あまり親しくはありません」

 「あ、私も、カルマ隊員とは、ちゃんと会話できたことないっす」

 

 そうなんだ……と納得しかけたが、ミオさんの方のニュアンスが微妙におかしいことに数秒かけて気がついた。確かに、会話の難易度が高い人ではある……。


                             第74話の5へ続く

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