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第71話の5『突然の乱入者』

 『勇者チーム、少し準備が必要なようです!それでは、勇者争奪戦!セントリアル武闘派衆より、一人目のメンバーをお呼びしましょう!麗し……尊し……愛おし美男子!セントリアル1のアイドルにして、傷を知らない高速の騎士、シオン・カラード!』

 司会者さんの丁寧な解説いわく、セントリアルからはシオンさんが一番手として出るらしい。俺の仲間がいる控室の状況から見る限り、階段の前に立っているヤチャが先陣を切るつもりのようだ。普段のヤチャならば勝負になりそうなものだが、大会で弱点が公になっている以上、今は圧倒的に不利でいて間違いない。

 「ヤチャ。私が行こうか」

 「……オレサマで……十分だぁ!」

 微妙に落ち着きのないゼロさんをひかえさせつつ、ヤチャが先頭となって皆はステージへと続く階段へ足をかけた。そんな勇者チームの行動に反して、ステージには俺の仲間でもセントリアルの人でもない、誰も呼んですらいなそうな人影が舞い降りた。

 「勇者争奪ぅ?んなら、俺も混ぜてくれよ」

 人影……といったが、鳥影の間違いだったかもしれない。上空からカラスの姿で飛び降りてきたのはグロウであり、ステージへ立つと同時に姿を羽で包み隠すと、一瞬で人の姿へと変身した。ここで第三者が乱入してくるとは思いもよらず、俺も控室から移動してきた人たちも一斉に無言になってしまう。その代わり、俺たち以上に司会の人がテンションを上げてくれる。

 『おややぁー!ここで、ニューチャレンジャーの登場だぁ!武闘会では初登場ながら途中まで破竹の勢いを見せた多剣流の使い手、グロウ選手ぅー!といいますか、あなた……勇者様のお仲間なんですかぁ?』

 「なわけねぇだろ!でもよ!こんな要塞に閉じ込めちゃあ、勇者の腕がにぶっちまうぜ!あいつは、もっと強くならぁ!で、俺に倒される運命よぉ!」

 『はあぁー!ちょっと、何を言っているのか解りませんが、面白いのでいいでしょう!シオンさん。よろしいですかぁ!』

 シオンさんが何も言わずに頷く。まあ、俺たちとしては現状において止める要素もないわけで、勇者チームの登場口ではルルルが大きく手を振ってOKのサインを出している。それを確認し、司会の人もマイクらしきものの持ち方を試合実況スタイルへと変えた。

 正直、どう転がるか全く解らない勝負において、仲間じゃない人が特攻してくれるという非常にラッキーな展開ではあるのだが……この感じ、マンガで言ったら噛ませ犬の出方にしか見えないという。勝って自信をつけたいのかもしれないが、あいつ……大丈夫か?

 『それでは、これより第一試合!セントリアル武闘派衆のシオン・カラード対、謎の剣士グロウの試合を行います!両者、位置について!』

 「勇者ぁ!俺が強くなったとこ、しっかり目に焼きつけとけよなぁ!そんで、次はお前だ!覚悟しておけよ!」

 試合開始前、グロウが俺へのメッセージらしきものを観客席へ指さしながら飛ばした。言われてみれば、やつが人の姿でまともに戦ってるところを客観的に見た試しがない。ここは、お手並みを拝見させてもらう気持ちではあるのだが……俺は観客席にはいないぞ。グロウ。


                                 第71話の6へ続く


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