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第64話の6『お手紙』

なんとかアマラさんにお引き取りいただき、俺は一人で手紙にペンをつきつけ始めた。何を書くか……とりあえず、気休め程度に『僕は元気です』と書いておく。それとあわせて、しばらく安静が必要である事、あまり城へは近づかない方がいいという事、街へ出られない理由などを書き連ねていく。

 「……あ」

 そういや、あの大会って賞金とかあったんだろうか?賞金があったなら、みんなには街で何日か観光しててもらうのもいいな。情報収集しないと次の四天王も見つからないだろうし、それも兼ねて街を散策してもらえると助かる。

 「……ああ。そうだ」

 仲間の人たちを城に呼ぶ事には懸念があったが、城へ呼んでも問題なさそうな人が一人だけいた。セガールさんなら、面会に来てくれても上手くやってくれそうである。ただ、まだ街にいるのかが解らないから、そこは手紙に書き添えておこう。

 「……」

 仲間に女の子がいるにも関わらず、女装したお兄さんを指名するのって……なんかアレだな。ま……まぁ、いいだろう。それらの内容をあますことなく手紙に記し、曲がらない指で頑張って手紙を封筒に入れた。

 ベッドわきのデスクにはロウソクとハンコが置いてある。これって映画とかで見かける、ロウにスタンプして封筒をとじるアレか?ちょっとカッコイイと憧れていた次第、やってみたいが……どうやるんだろう。まず、ロウソクの火に棒状のロウをかざして、溶けてきたら封筒の口の部分にたらすんだよな?

 たらしたロウが固まるだけでも封はされるのだろうが、これにハンコを上から押し付ければキレイな模様ができるのだろう。

 「……あっ」

 強く押し過ぎたか……刻印が歪んでしまった。一体、なんの絵だったのだろうか。ハンコの裏をのぞきこんでみる。見たところ、クマちゃんの顔のようである……誰の趣味なのか解らないが、アマラさんなのかなぁ。姫様だったら、それはそれでギャップがあっていいかもしれない。

 封筒を開けて内容を訂正するならば今な訳で、文章に不備がなかったかを思い返してみる。多分……問題はないと思われる。何度も墓穴を掘る訳にも行かないので、ここは慎重に何度も思考を巡らせる。うん……きっと問題ない。そう納得がいくと、俺はケガで火照っている体をベッドに戻した。

 四天王の部下や四天王、未知の化け物と対峙こそしてきたけど、こんな大けがをしたのは旅を始めてから初である。病気とは違うのだろうが、なるべく眠っていた方が早くなおすのだろうか。俺の本業は恋愛であって、戦いや冒険は好みじゃない。でも、早くゼロさん達のところに戻りたいなぁ。

 「……」

 『……緊急事態発生!緊急事態発生!セントリアル前方に敵軍を発見!』

 「な……なんだぁ?」

 突然、部屋の天井についている鉄の管からブレイドさんらしき人の声が響き、部屋の照明が赤く点滅を始めた。魔王軍が攻めてきたのか?大変だ!

 「勇者様!魔王軍の敵襲である!」

 「そうみたいですね!」

 数秒後、姫様が俺のいる部屋に飛び込んできたのだが、当の俺はベッドから転がり落ちており、恥ずかしかったから返事だけはカッコよく返しておいた……。


                              第65話へ続く


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