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第63話の3『衝撃』

 現在、俺の脇ばかりを殴ったり蹴ったりしているヤチャと、防御していそうでできていないクネクネした動きの俺で決勝戦をお送りしている。傍目に見ると遊んでいるように見えるだろうが、一つ間違えば大けがは免れられない危機一髪の連続である。もう、俺は視界が霞んできている。

 『1・右足で受ける 2・左足で受ける』

 『2・左足で受ける!』

 ヤチャは右足でキックを繰り出してくる。ここは左ひざで受ける!そうすればヤチャの攻撃は当らない……はずだった。しかし、ヤチャの攻撃は俺の足があった場所のステージ盤面をえぐり、壊れた部分の破片が爆砕して俺のふとももを直撃した。

 「いっっってえええぇぇぇぇ!」

 その威力たるや銃弾レベルであり、俺は小石が当たったとは到底は思えないような悲鳴を上げて転がりだした!痛みで意識がもうろうとしている!次の攻撃、かわせない!

 「テルヤアアァァァ!」

 「……!」

 倒れている俺へ目掛けて、ヤチャが素早くパンチを落とす。だが……それは目標である俺から微妙に外れ、なおしたばかりであろうステージへと大きな穴をあけた。その爆風を間近に受けて、俺は数メートル先へと虫の如く吹き飛ばされた。

 「……いってぇ!」

 なんとか俺は痛みをこらえて、爆風によって立ち上っている塵の中へと目を向ける。ヤチャは俺の姿を探しているのか、キョロキョロと周りを見回している。あの近さで、なんで外した?目が見えていないのか?俺が状況を整理していると、ヤチャは再び俺に狙いを定めて高速で駆け出した。

 俺は足の痛みのせいで立ち上がることができず、なんとか片足で地面を蹴って現在地を離れるのがやっとだ。すると、またしてもヤチャは俺への攻撃を外し、地面へと大穴を開ける。その衝撃で、再び俺はステージ上を転がされた。

 なんだ?どうした?ヤチャは何か、首をゴキゴキと鳴らしながら撫でているが……あれは……あっ。あぁ!そうか!わかった!あいつ、ジ・ブーンとの戦いで首をケガして曲げられないから、真下を確認できないのか!つまり、俺が匍匐前進の体勢である以上、狙いを定めて攻撃するのが難しいということだ!

 これはチャンスだ!ヤチャが次に攻撃をミスしてくれたら、その拍子に見せかけて場外へ飛び出せばいい!もう、俺は立ち上がるのも厳しい状況だ。次の攻撃で、絶対に負けてみせる!そんな覚悟を俺が決めた矢先、ヤチャの叫びによって空気は一変した。

 「……おおおおおおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉxぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」

 「……?」

 ヤチャは俺の方を見るでもなく、ただただ気迫を放ちながら体中の筋肉に力を送っている。なにをしているんだろう……俺がまばたきをする。その一瞬だけ、サブリミナル的に選択肢が表示された。

 『1・ペンダントをはずす 2・立ち上がろうとする 3・うつぶせに……』

 俺が行動を選ぶより早く、メッセージウィンドウは消失する。ペンダントは既に光を失っている!しまった!能力が……。

 「おおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ……はああああああああああああああああああぁぁぁぁぁ!」

 一際の大声と共にヤチャが地面へと放った一撃はステージの大半へ衝撃を響かせ、それによってステージは半壊状態となり、同時に反動で俺は宙へと打ち上げられた!そうか!下を見られないから、俺の方を打ち上げてきたのか!そう気づいた時には、すでにヤチャは空中で俺の足を捕まえていた。

 「テルヤあああああぁぁぁぁぁ!くらええええええええええええええぇぇぇぇ……惑……星……落としいいいいいいいいいいいぃぃぃぃぃぃ!」

 「うあああああああああぁぁぁぁあああああああああああぁぁぁあぁぁぁぁぁぁッ!」

 ヤチャが空中で俺の足を握りしめ、ぶん回しながら技名を放つ!地上4メートルの高さ、地面へと叩きつけられる!これは……死ぬ!


                                第63話の4へ続く



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