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第63話の1『テルヤ vs ヤチャ』

 《 前回までのおはなし 》

 俺の名前は時命照也。オーブを取り返すべく武闘会にシード枠で出場し、運よく準決勝で生きながらえホッとしていたのだが、なぜか決勝戦でヤチャと戦う雰囲気が満々でヤバい……。

 

                  ***


 「おい!ヤチャ!俺とやろうってのかぜ!」

 「おおおおおおぉぉぉぉぉ!」

 「……俺、お前の事、よく知ってるからなぜ!不利だと思うぜ!」

 「やるぞおおおおおぉぉぉぉぉ!」

 ……ダメだ。決意のほどを確かめてみたり、おどしをかけてみたりしたものの、ヤチャのやる気は変わらない。あと、俺の語尾がウザい。語尾がウザいと言われるキャラクターは星の数ほどいるものの、そのウザさをこの身をもって知った。キャラづくりで自ら語尾をつけているならさておき、勝手についてしまう語尾のウザさは一際である。

 「テルヤああぁぁぁぁぁ!行くぞおおおおおおおぉぉぉぉ!」

 ヤチャが両手を合わせると、手のひらと手のひらの間に光の粒子が集い始める。それはヤチャの大きな声を受けて、徐々に力を増幅させていく。

 「こおおおおおおおおぉぉぉぉぉんんんんんんんんんにいいいいいいいぃぃぃぃぃぃぃ……」

 ……この技。前に見たぞ。確か、レジスタを出る辺りで見た技に似ている。手から光線のようなものを放つ技で間違いないが……こんなのに当たったら、俺は間違いなく死ぬ。すかさず周囲を確認し、俺はペンダントを握りしめてヤチャの姿を見据えた。

 「ちいいいいいいいいいいいいぃぃぃぃぃぃぃぃ!」

 俺はグロウとの戦いで能力を酷使したし、ここは選択肢が出ないか。いや、薬も飲んだし、まだいけるはずだ。冷や汗を袖でぬぐう。ヤチャが攻撃を放つ直前で、ふと世界は時間を止めた。

 『1・正面へ跳ぶ 2・右方向へ跳ぶ 3・左方向へ跳ぶ』

 ……きた!能力は発動した!とはいえ、以前に見たヤチャの光線は飛空艇を撃ち落す規模のの波動砲だったし、どちらへ跳んだにせよ巻き込まれる可能性は高い。どうするか……俺は選択肢が出る前に見回した周囲の状況と、ここまでに耳にしたセリフなどを思い返す。

 右には何もなかった。正面は絶望的。左……左側には……そうか!これだ!なるべく能力を温存すべく、俺は素早い判断で選択肢を決めた。

 『3・左方向へ跳ぶ』

 「はあああああああああああぁぁぁぁぁぁぁ!」

 時間が動き出すと同時、ヤチャの掛け声が響き渡った。ヤチャが勢いよく両手を押し出す!神々しい光が両手の平から放たれる!反射神経の追いつく限り、俺は左へと跳躍する。

 間一髪、ビームは俺の背後をすり抜けて観客席の下あたりへと突っ込んだ。観客に被害はないようだが、戦いが長引くにつれて破壊の帝王の異名が膨れ上がることは必至だ。俺はジャンプした拍子にヒザをつきつつも、すぐにヤチャへと牽制を飛ばした。

 「あぁ!対戦相手が全員無傷の優しい筋肉男は、審判のいる方には攻撃できないよなぁぜ!直接、かかってこいよぜ!」

 「ぬう!」

 左には審判の人がいたから、そちらは攻撃を放たないだろうとタカをくくっての回避である。内心ヒヤヒヤだったが、なんとか目論見は当った。ただ、挑発目的とはいえ俺の発言が悪役のソレ過ぎて、主人公としては非常にアレである……。

 俺の煽り文句を受け、ヤチャは波動弾を撃つポーズを解除した。そして、呼吸も静かに直立姿勢をとる。なんだ?緊張しながらヤチャの動向を観察していると、やつの体は光を発しながら宙に浮かび上がった。

 「おおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉ!」

 あの光をまとった状態で触られたら、それだけで火傷は避けられない!会場の損壊や俺の飛び道具のなさを懸念して接近戦に持ち込んだのが仇となったか。いや……待てよ。俺は咄嗟に記憶を整理し、その中から有益な情報を取り出した。

 「ああぁ!審判さん!この大会って、飛行するの禁止じゃないですかぜ!」

 『んん?』

 そうだ。大会のルールを読んだ時、ジャンプは可だけど飛行は不可と確かに書かれてあった!それを思い出し、すぐに俺は審判さんへと判断を投げた。

 『……えーっと』

 「……」

 『……確認します!その間、試合続行!』

 なにいいいぃぃぃぃ!あんたは把握してないとダメだろう!

 「行くぞおおおおおぉぉぉぉぉぉ!テルヤああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 宙へ浮かび上がったヤチャが、ものすごい勢いで接近してくる!審判さんの不手際に怯みながらも、仕方なし俺はヤチャの方へと向き合った……。


                                第63話の1へ続く



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