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第61話の2『刀魔法』

 『改めて両者、位置について』

 審判の後ろに隠れるという卑怯行為が発生したせいか、今度は審判もステージから降りてアナウンスをしている。対戦相手に疲労の色は見えないし、また同じ攻撃を仕掛けられたら逃げ惑った末に俺が負けるだろう。だったら、ここで流れを変えておくしかない。審判の声をさえぎって、すかさず俺は声を荒げた。

 「おい!」

 「なんだよ」

 「また遠くから攻撃か?」

 「あぁん?」

 「また遠くから攻撃するんだな!?」

 『トキメイ選手……まだ試合再開してないから、静かに』

 「すみません……うえっ」

 まぁ、俺が強気に出られるタイミングなんて、この試合再開までの一時しかないわけで、吐気をおさえてでも言っておかねばならない。あとは、相手が俺の挑発にのって別の攻撃を仕掛け、それが凄く避けやすくて弱い攻撃でいて、おまけになんとか相手が自爆してくれれば俺の勝ちである。そんな微々たる期待を膨らませながらも、審判は試合再開の合図を出した。

 『ゴー……ファイ!』

 「勇者てめぇ……さっきの!俺の事、バカにしたよなぁ!」

 俺が事前に飛ばした挑発は効いているようで、グロウはイライラした様子で大声をだしている。ただ、俺は『また遠くから攻撃か!?』と言っただけで、別にバカにはしていないから、そこは正直に答えておいた。

 「してないけど」

 「そうか……ならいいぜ」

 いいのかよ……そんな謎の会話が締めくくられると、グロウはふと左腕を服の袖に入れた。グロウが袖を振ると、その中から1本……2本……3本と、一振りごとに刀が出てくる。取り出された刀は風魔法で宙へと飛び、元から手に持っているものを含めて全部で10本も登場した。

 「お前を倒すため、ここまで来た!場外にして勝っても面白くねぇよなぁ!」

 「……?」

 刀は地面から吹き上がる風の上で、ヒュルヒュルと回転しながら浮かび始めた。相手は手持ちの一本を俺に向け、その切っ先を見せつけながら言う。

 「見せてやる!刀魔法・十刀流虹色朱雀の力を!」

 刀魔法。10本なのに七色レインボー。お前、カラスなのに朱雀とはこれいかに。と、色々と突っ込みどころ満載ながらも、グロウは刀の一本を手に駆け出した。

 「壱番刀・群青おろしッ!」

 グロウが刀の名前を示した。まだ広く間合いはある。何か解らないが、来るッ!


                                第61話の3へ続く


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