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第60話の5『主人公の能力とは』

「あんなに強い対戦相手では、このわたしもヒザをつくね……」

 誰と対戦したのか俺は見ていないが、どうもツクネさんは準々決勝で敗退したらしい。控室を去るツクネさんの持つハンマーは柄がポッキリと折れていて、むしろ使い易い長さになったように思われる。次は準々決勝の第三試合。俺の脳内で作られたトーナメント表では、この試合に勝った選手と俺が試合をすることになる計算である。

 「準々決勝、第三試合!オモチ選手!入場を願います!」

 「ほいほーい!」

 真っ白くてぽよぽよした肌の人が控室に入り、そのまま係員に呼ばれた流れで階段を上がっていく。その名前……その肌の感じ……もしや、腕が伸びる系の能力者か!?うわぁ。戦ってるところ……生で見たいなぁ。腕が伸びる能力の主人公って見栄えがしてカッコいいよなぁ。絶対に人気でるよ。憧れちゃうなぁ。

 ……そうだ。俺が好きなバトルものの主人公の能力・ベスト3をここで発表しよう。そうだな……まず、第3位は無効化能力者。主人公は物語冒頭で無能力者として役立たずに扱われるが、実は能力が使えない代わりに相手の能力も無効化できるという意外性がクール。この能力も最近じゃポピュラーになってはきたが、手持ちの武器次第で個性を出しつつ、能力者相手に物理攻撃メインで対抗し王道感を出せるのもいいところ。

 第2位は体が伸ばせる能力。古くより、遠近感を無視した構図で腕を大きく描いたり、敵に接触した面にそぐわない範囲で衝撃を与えたりといった演出の技法はあったが、それを設定上で違和感なく、かつ更に迫力を増して発現できる能力である。遠距離攻撃を駆使して格闘戦も行えるため、トリッキーながら主人公らしさを出せるのも粋。

 そして、俺的な第1位は……やっぱり、炎を出せる能力だ。少年向け漫画の主人公といえばアツい心を持っているのが魅力の一つ。アツいといえば炎。炎といえば赤。チームものでもリーダーは赤色というイメージは強い。近年では電気がほとばしる演出や、水を流すような表現で戦う主人公もいて、それぞれ良さはあるのだが、やっぱり俺は炎属性の主人公が個人的にはアツいなぁ。

 「うあー」

 「!?」

 と……俺が3分くらい主人公論について考えていたところ、さっき舞台へと上がっていったオモチ選手が、迫力のない叫び声をあげながら階段を転がり落ちてきた!う……嘘だろ?俺の思い描く能力ベスト2である腕が伸びる能力者……なのかは見ていないので定かでないが、あえなく3分で敗退!?一体、相手は何者なんだ……怖くて吐気がしてきた。

 オモチ選手は体が柔軟なおかげかケガはないようで、すぐに立ち上がって服のホコリをはらい始めた。その体は少し、黒ずんでいる……まさか!オモチ選手の相手は!

 「いやぁ。風に吹かれて転がったら、あちこち汚れちゃったよー」

 ……風属性かぁ。いや、悪くはないけど。風かぁ。


                                第60話の6へ続く


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