第59話の3『微力』
「これにて、ワタクシは御用を終えさせていただきます。ご質問がございましたら、この場でお受けいたします」
ブレイドさんが親切にも質問の有無を確認してくれた為、お言葉に甘えて幾つか質問を差し出してみた。
「オーブって今、どこに保管してあるんですか?」
「特別指定保管物の所在は機密でございます……」
「武闘会の参加者は、どんな人たちが集まってますか?」
「主催権利者秘匿義務につき機密でございます……」
「今日、アマラさんって、どこにいます?」
「プライバシー事項につき、お答えいたしかねます……」
くっ……自分から質問を受け付けてくれた割に、なんにも情報が出てこないな。そうして俺が手こずっていると、横からセガールさんが会話に参加した。
「なんか美味しいもの食べたいんだけど、オススメとかあるかしら?」
「辛味がご所望でしたら街の東門近く辛九亭のスパイシーメロンパイ、甘味の絶品は街の西高台に位置します甘井乃堂のメルヘンドライゲッティに限ります故」
ブレイドさん、ヤチャについての話といい、好きなものの話になると早口になるな……という訳で、俺もセガールさんの話題に便乗してみた。
「それ、おいくらくらいする料理なんですか?」
「材料費の都合もございますので、時価となります……」
くっ……。
「このように、ワタクシに返答が可能な問いは限られますが、なんなりとお申し付けください」
返答してくれる気持ちはあるようでなによりである。とすれば……あと聞いておくべきは。
「……あっ、そうだ。武闘会の参加資格および、ルールに関わる規定を確認したいのですが」
「はい。街の第二階層にございます受付室にて、詳しい解説を掲示しておりますが、大まかに箇条書きしました印刷物を差し上げます。詳細をご一読の事、ご参加をお待ちしております」
「おぉ、ありがとうございます!」
やっとこ、まともな返事をいただけた。他にも色々と聞いてみたのだが、あまり有益な情報は得られず……ブレイドさんには感謝の言葉を差し上げつつ、30分くらいした後にお引き取りいただいた。早速、いただいた大会ルールのプリントへ目を通してみた。なになに……。
『この度、真・勇者様捜索異種格闘技能大会の開催に際し、ここに正しき参加資格を記述する。以下、全ての要素を内包する者に資格が与えられる。1・男性かつ人型の姿を持つ者』
この時点で、ゼロさんは参加できないことになる。やっぱり、ニセ勇者ことセガールさんの発言が反映されている事、男性車両からオーブが奪われた事、これらを参加条件に含めているであろう事実が見受けられた。
『2・現在の年齢を13歳以上、30歳以下とする者』
(うん……わし、入れ歯ないから戦うのはちょっとだったんだよね……)
「いえ、仙人に出てほしいとは、そもそも思ってないので……」
(……むう。それはそれで悲しい……ふぅ)
仙人心も複雑である。それはそうと、ここまでは俺も該当しているので問題ないが、あとは……。
『3・微力ながらも魔力を保有する者』
……。
『3・《微力》ながらも魔力を保有する者』
……ここでいう微力とは一体。なお、スカートの女の子をパンチラさせる技なら使えるが、胸をはっては人に見せられないのが一つネックである。
第59話の4へ続く






