管理人
図書館で黒い何かがコソコソと動く...そして、動きを止めナニカを探し出すように辺りの本棚や床など細かく観察する...しかし目当てのものがなかったのかまた動き出す...あっちにブラブラ、こっちにブラブラ、そっちにブラブラを続ける不審者...その正体は.........私だー!!
どうも、不審者でありボッチである黒野 真です。あれから一時間くらい探しているが手がかり一つ掴めずにいる。もう泣きそうです...分かったことと言えば本棚がたくさんあること、入り口には視線だけで殺せそうな管理人(経験者が語るby黒野)がいることだけだ...特に怪しいところはナシ。けど、声は聞こえてくる。その発声源はどこか分からない。どうすればいいんや!
僕はどうやったら見つけられるか腕を組んで考える。押して駄目なら引いてみろ的な感じで探しても見つからないなら相手(謎の声)が出てくるように仕向けるのはどうだろうか?よし、やってみよう。
まず、吸って吐いて吸って吐いてさらに大きく吸って...
「おい、姿を隠してないで出てこい!」
「.........」
自分でもビックリするくらい声をだしたけど返ってきたのはただの沈黙だった。よろしい...そっちがその気ならこっちにも考えがあるぞ。
もう一回大きく吸って、
「お前の母ちゃんでべそ!」
「.........」
わざと挑発して出てこさせようとするが、やはり返ってくるのは沈黙だけでそれ以外の変化はなかった。ならば、とことんやってやる!
「かかってきやがれ!ビビり野郎が!」
「.........」
「へいへーい、ピッチャーびびってる!」
「.........」
「お前はもう死んでいる」
「.........」
数分後......
自分の思いつく限りの言葉を出し尽くしたが変化なし、途中から変なこと言っていたけど...まぁ、いいや。結局、骨折り損で終わった。
「ハァ...ハァ...相手も中々やるな。フン今回は見逃してやる。決して僕の負けじゃないんだからな!覚えておけよ!」
なぜか小物臭いセリフを吐いている気がするが気にしないでおく。でも、本当にどうしようかな…
___ビクッ
「何か殺気に似た寒気が後ろからしたような...」
頭をブリキのようにギギギ...と動かすと、そこにいたのは
「ちょっと、お話しがあります」
鬼のような顔をしながら優しく話しかける管理人さんだった...
うん...ヤバいね、この状況は。この場でとれる行動パターンは4つだな。
・戦う
・説得
・命乞い
・逃げる
よし、ここは説得だ!
・戦う
・説得 ←
・逃げる
・???
黒野は管理人に説得をしかけた!しかし、管理人は無言でこっちを見ている。
何!説得が聞かないだと!ならば...
・戦う ←
・説得
・逃げる
・???
黒野は管理人に戦いを挑む。しかし、管理人の睨みにより黒野は萎縮してしまった。
この管理人できる!?ここは逃げの一手だ!
・戦う
・説得
・逃げる ←
・???
黒野は管理人から逃げた。しかし、すでに逃げ道に管理人は回り込んでいる。
クッ...逃げられないだと!?こうなったら仕方ない...日本人ならではの奥義を見せてやる!!
・戦う
・説得
・逃げる
・??? ←
黒野は奥義DO☆GE☆ZAを発動した!!しかし、先ほどより冷めた目でこちらをうかがっているだけで効果はなかったようだ。
日本の奥義が効かないだと...もはや、万事休すか。黒野は万策が尽きて膝をついたようだ...だが、管理人は慈悲もなく彼の襟の後ろをつかみ、ズルズルと引きずっていった...
その後のことはご想像にお任せします。ただ、一つだけ言えることは図書館で騒いではいけない!絶対に!
~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~
「ひどい目にあった...」
そう言いながら自室のベットに座る。謎の声はどうしたかって?無理無理!あんな管理人がいたら探そうにも探せない。一度部屋に戻ってから夜になって忍び込んだ方が絶対に効率がいい!その時間なら誰もいないから自由に探せるし、一々管理人に怒られずに動ける。
「うんうん、我ながらナイスアイデアだ」
腕を組み、首を上下に動かしながら一人で納得する。
「でも、その間どうしてようかな...」
今の時間は午後4時くらいだ。そして図書館にいる人は大体午後10時ごろにはいなくなる。ということは6時間も間があるから…
「暇だー!!」
叫びながらベットに寝っ転がってジタバタする。
「このまま、寝てもいいけど、そのまま寝過ごすのはイヤだよなー...うーん、まぁ気分転換に歩こうかな」
よっこらせっとと言って体を起こし、部屋から出る。
歩くと言っても城からは出れないから城の中でぶらぶらする。歩いている途中、修練場で剣の技を磨いている生徒や魔法を使っている生徒を見かけた。本当一ヵ月前の日本にいた頃では考えられない光景だよなー。改めてここが異世界だと認識させられる。
そんな調子でしばらく歩いていると、通路の奥で男子生徒二人に女子生徒一人がいるのが見える。何やら話しているけど、雰囲気が怪しい...ここはスキル≪気配遮断≫を使ってこっそり近づこうかな。うん、そうしよう。ではではスキル≪気配遮断≫発動!!
~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~
「ねぇねぇ、一緒に組もうよ」
「そうそう、明日はダンジョンに潜って魔物を倒すんだぜ!お前一人で行ってもすぐやられるのがオチだぞ!」
「...結構です」
「そう言わずにさあ」
「何なら夜を一緒にいてやってもいいぜ!」
「おっ、それはいいね!」
「......」
男子生徒は笑っているが、女子生徒は対照的にひどくうつむいている。これは女子生徒に対する優しさなのだろうか、それともただの嫌がらせなのだろうか?女子生徒の表情と場の雰囲気を見る限り、嫌がらせにしか見えないけど。ここは男らしく助けてあげよう!どうやって助けるかって?それは…
「グギャ!」
「おい、どうした!?」
一人の男子生徒が突然奇声をあげて倒れた。もう一人は何が起きたのか分からず困っている。もちろんこの状況を作り出したのは僕。やり方は簡単。男子生徒の後ろにゆっくり行って、股間めがけて思いっきり蹴るだけ。男の急所だから一発KOだ!卑怯?何それ、おいしいの?とにかく終わりよければそれでいいのだ!フハハハ...多分、あれは潰れてはいないと思う。
もう一人の男子生徒も同じように施して女子生徒に向かう。先ほどまでうつむいていたが今は激しく戸惑っている。それにしても男は股間に手を当て蹲っていて、女は戸惑っている。何というか...カオスだな。これを誰かに見られたらヤバい気がする。
急いで女子生徒の手を掴んでこの場から逃げ出す。
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フゥー、ここまで来ればいいだろう。あれから、数十分間走り続けていたらいつの間にか広場まで来ていた。女子生徒は混乱しているせいか、素直について来てくれたのでスムーズに動けた。さていい加減スキルを解除しよう。
僕はスキル≪気配遮断≫を解除する。
「!?」
女子生徒はいきなり僕が現れたことに驚いてすぐに手をほどいた。そういえばまだ手を繋いでいたんだった。
「驚かせてごめん、僕の名前は黒野 真。一応高2。君の名前は?」
「...久城 美里。高1です」
ビクビクしながら久城は答えた。そこまで怖がらなくても良くない?僕マジで泣くよ?
「さっきは困ってたみたいだから助けたけど、迷惑だったかな?」
そう聞くと頭を横に振った。良かったーそこで迷惑と言われたら泣きながら逃げるとこだった。
「じゃ、じゃあまたね」
それだけ言ってさっき来た道とは逆のほうへ行こうとする。正直、女子と話すのは苦手だから早く逃げたい。
「ま、待って!」
行こうとした時、後ろから声がかかったので振り向く。
「さっきはありがとう!」
久城はお礼の言葉を恥ずかしながら言った。僕は何も言わず手だけを上げてその場を去る。そのときの顔は赤くなっていたと思う…