第3話:生徒会で選ばれる。
「お兄ちゃん。いったいどういう事なの」
由紀は、勇樹が女の子になったという意味がわからなかった。
「そうよ勇樹くん。あなたは男の子よ」
「部長の言うようにぼくは男の子ですけど、生徒会で女の子になったんですよ」
勇樹は生徒会で起こった出来事について話し出した。
上級生に来るよう言われた勇樹達三人は生徒会室の中に入った。
部屋の中には、朝三人を呼んだ人がいた。
「遅い。きみ達は四年生だな。名前を言いなさい」
「オレは河合幸一」
「僕は名前は矢崎治です。よろしくお願いします」
「ぼくは中原勇樹です」
三人が名前を言うと、早く席に着くよう言われた。
席に着くと幸一はグチを言った。
「マッタク頭にくるぜ。今日はダチと遊ぶつもりだったのによう」
幸一に同調するように治も答えた。
「僕もですよ。学校が終わると塾に行くはずだったのに」
二人が文句を言っていると生徒会室のドアが開いた。入って来たのは上級生の女性だった。
「はじめまして私は生徒会長の渡辺葵です。今日集まってもらったのは来月行われる学校の創立五十周年についてで、今日選ばれた人が劇を催すことになりました。
「劇のストーリーは昔から伝わる話を元に作り替えます。今までの話に質問のある人は」
葵に意見に反対する人はいなかった。葵は話を続けた。
「話の内容は旅の人が村にきた。でもこの村では今晩魔物にいけにえにされる女性がいた。旅の人が女性を助けるために魔物を退治をする。退治した魔物の正体は大きな狒々だった。旅の人は実は高貴な人で女性を花嫁にした。
「この話をアレンジして私達が劇を演じるの。この話に質問のあるかしら。
葵の話に全員が賛成した。「それでは配役を決めるから、このくじ引きを引いて下さい」
勇樹達は言われたようにくじをひいた。
くじには番号が書いてあった。
「オレは八番か。お前らは何番だった」
「僕は九番ですね。勇樹君の番号は何番ですか」
「ぼくは五十九番」
「では番号順に呼ばれた人達から配役を演じてもらいます」
番号を呼ばれた順に配役が決められた。
「僕は村人その五ですね。幸一君の役は」
「オレは魔物の家来その六。まあセリフが少なくて楽でいいや」
「そうですね。僕も少ないから塾の勉強にモンダイないですね」
「つぎが五十八番。五十八番の役は旅の人」
旅の人に選ばれたのは六年生の女子だった。
「五十九番。五十九番の役はいけにえの女性。
これで劇の配役を終了します」
勇樹は女の子の役だった。