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悲歌[えれぢい]

「ギリシアの映画観た夜、乗り込んだ電車はどこかセンチメンタル」



「七色のソーダを飲んでファミレスの片隅の我の中に虹あり」



「あの冬の道であなたがくれたのは小春日和の優しさだった」



「茜さす紫色の春物のセーターの袖ふる春よ来い」



「真冬、君にもう一度逢いたいと願う夜、せめて今だけ心を抱いて」



「憧れは恋にもなれず冬空で弾けて消えたシャボン玉だね」


「真夜中の一人ぼっちの帰り道琳派のような月が出ている」



「ストロベリイシヨオトケエキを好きなとき食べられるのはさみしい自由」


「冬薔薇一輪咲きてその下に悩みなげなる仔犬の遊び」



「雪月花、雪より淡く消えたのは幼い日々に交わしたちぎり」



「雪月花、月に心を映しては明日を夢見て夜道を歩く」



「雪月花、花吹雪舞う中を往く私の心の中に咲く花」「玄関を出る時いつも励ましてくれる元気な冬のガーベラ」


「氷雨やみ光まぶしき冬空の虹は神様と交わす約束」



「冬の夜の三日月は星したがえて静かな街を見下ろしている」



「冬の陽は淡く世界を包みこみおもちゃのようなビルヂングたち」



「海よりも哀しき陸に住み果てて空に向かって歌う悲歌[えれぢい]」

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