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オンラインゲームで知り合った友達が同じ高校のTOP4美少女達だったけど、僕は本当に友達のままでいていいの?  作者: しょぼん(´・ω・`)
第一章:サービス終了が新たな始まり

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第8話:言葉の重さ

 あれからしばらくして。さっきの広場に改めてみんなが集まってくれた。

 相変わらず落ち着いた表情の長月さんと違い、他の三人はどこか気落ちしたような表情を見せている。


 でも、彼女達を改めて見ても、服装は違っても学校で見かける美少女四人にしか見えないよね。

 ゲーム内の世界も相成ったどこか夢のような光景に、気持ちがふわふわと落ち着かなくなる。


 し、深呼吸して、落ち着いて……って、そう言えば僕、今日どれだけ深呼吸をしてるんだろう?

 そんなくだらない事を思っちゃって、思わず笑ってしまう。


 ……うん。

 とにかく落ち着いていこう。確かに彼女達はTOP4。だけど、同時にみんなはナガツでありブレキオであり、ラルトでありビルフなんだから。


 僕は小さく頷くと、改めてみんなのいるイズコのチャットルームに入り直した。

 

『あの──』

『ありうっち! ごめーん!』


 僕が話し始めようとした瞬間。目の前に立っていた武氏(たけうし)さんが頭を下げるのと、勢いのある謝罪が耳に届いたのはほぼ同時だった。

 言葉を失った僕に、彼女は矢継ぎ早に言葉をかけてくる。


『ね? やっぱあーしウザかった? 嫌だった?  迷惑かけちゃった?』

「え? あ、えっと──」

『沙和! そんなんじゃ有内(ありうち)が困惑するだろ! 少しは落ち着けって!』

『そうですわ。有内(ありうち)君。私達(わたくしたち)といるのが嫌だなんて思いませんわよね? そうですわよね?』

『おい! 瑠音(ると)! お前も変な圧かけてんじゃねえ! 千麻(ちあさ)も何か言ってやれよ!』

『そうですね。まずは私達より、有内(ありうち)君のお話を聞きましょう。彼がみんなを呼んでほしいと仰ったのですから』


 どこか必死さを出しながら僕に迫り、声を掛けてくる武氏(たけうし)さんと麗杜(うららと)さん。

 荒井さんが間に入って必死に止めている光景を見て、長月さんは小さく微笑んでいる。


「……なんか、変わらないね」


 ファンタジー・フォレストで四人と一緒にいた時にも度々見た、懐かしさを覚える光景に自然とそう漏らすと、四人の視線がこっちに集まる。


 そんな四人を見ながら、僕は表情を引き締めキャラに頭を下げさせると、ゆっくりと語り始めた。


「あの。さっきは、突然抜けてごめん。みんながTOP4だって知って、色々混乱しちゃって」

『謝るのはこっちのほうじゃん! ほんっとごめん!』

「気にしないで。なんかビルフらしいなって思ったし」


 大した反応はできなくても、せめて空気は良くしたい。

 僕は笑顔のエモートを出し、少しでも場を和ませようと努力する。


『なあ。有内(ありうち)

「何?」

『やっぱお前、俺達相手だと緊張するのか?』

「う、うん。だってTOP4って言えば、学校の男子みんなの憧れだよ? そんな四人と友達だったなんて知ったら、僕じゃなくても緊張すると思うよ」

『一理ありますわね』


 僕の言葉に、麗杜(うららと)さんが腕を組んだままうんうんと頷く。


「それに、今までゲームだけの関係だと思ってたのに、現実の僕のことまで知りたいなんて、言われると思ってなかったし」

『ま、確かに急だったよな。全部沙和が悪いんだけどよ』

『きよっちー。それは反省してるから、もう言わないでって言ったじゃーん』


 荒井さんが呆れ顔を見せると、武氏(たけうし)さんが彼女にジト目を向け不満そうに口を尖らせた。


『二人共。今は有内(ありうち)君の話を聞きましょう』


 彼女達をなだめるべく、そう口にした長月さんは至って冷静。普段同様の落ち着きっぷりを感じる。


『悪い。続けていいぜ』

「うん。えっと、ちょっと真面目な話をしちゃうけど、呆れずに聞いてくれる?」

『もち!』

『ええ』

『いいぜ』

『わかりました』


 三者三様の返事を聞いて、僕も頷き返す。


「あの。僕は現実を知った今、こう思ってるんだ。僕なんかがこの先、TOP4のみんなと友達でいていいのかって」

『どうしてですか?』


 長月さんの問いかけに、緊張でちょっと喉が乾いて言葉が詰まりそうになるけど、喉に手を当てゴクリとつばを飲み込むと、何とか話を続けた。


「みんなの事が好きな人は沢山いるでしょ? そんな人達を差し置いて、僕に時間を割いてもらっていいのかって気後れしてるし。もし学校で急に僕がTOP4と一緒にいるようになったりしたら、どういう関係なのか勘ぐられたり、一緒にいるのを妬まれたりしないか。やっぱりそんな心配もあって」

『あー。それはわかるかもー』

『それは十分考えられますわね』


 武氏(たけうし)さんと麗杜(うららと)さんの言葉を聞きながら、自分の顔が不安で強張ったのに気づく。

 もっとしっかりしなきゃ。

 僕は自分を叱咤すべく、両手でぴしゃりと軽く顔を叩く。

 

「えっと。みんなも知っている通り、現実の僕って、ゲーム内での自分以上に面白みもないと思うし、うじうじした態度のせいで、みんなを嫌な気持ちにさせちゃうかも。そうも思ってる」

『そんなもの、やってみないとわかりませんわ』

『そうそう。そんなの、あーし達だって同じだし』

瑠音(ると)。沙和。今は有内(ありうち)君の時間です』


 こういう時、長月さんが冷静なのは本当に助かるな。

 麗杜(うららと)さん達が慌てて口をつぐんだのを見て、長月さんが僕に小さく頷いてくる。


「ありがとう。それで、僕は沢山の不安を抱えてるんだけど、同時にわかってることもあるんだ」

『何をですか?』


 長月さんの言葉に釣られ、みんなが真剣な顔を向けてくる。

 それが緊張を煽ってくるけど、それでもちゃんと伝えなきゃと、背筋を伸ばし言葉を続けた。


「その、お互い身近にいるってわかった以上、ゲームと現実を完全に切り離すことができないし。それでもみんなと友達でいたい。そんなわがままな気持ちもあるって」


 ふぅっと一度大きく息を吐くと、僕は画面越しの彼女達をしっかりと見つめた。

 

「みんなを嫌な気持ちにさせるかもしれない。でも、僕もみんなに友達でいてもらえるよう、少しずつ僕のことを知ってもらったり、僕自身が変われるよう頑張ってみようと思う。だから、その……この先も、できれば友達でいてくれないかな? 勿論、嫌な面が目について、一緒にいたくないって気持ちになったら、友達を止めてもいいから」


 ……何とか言えた。

 そう思って少しほっとしたけど、四人はじっとこっちを見たまま何も言ってくれない。

 だ、大丈夫かな……あっ。もしかして!?

 大真面目だった僕は、ここにきてやっと失態に気付いた。

 

 話したのは僕の偽りのない本音。

 だけどいきなりこんな話をされたら、四人だって困るに決まってる。


「ごごご、ごめん! 僕、なんか重すぎだよね!?」


 咄嗟に頭を下げるエモートを入力した僕を見て、彼女達が顔を見合わせる。

 そして、次に見せたのは──。


『ほんと。変わんねーなー』

『本当ですわね。アユの頃と全く同じ』

『やっぱ、ありうっちはこうじゃないとね!』

『はい』


 目を奪われそうになるくらいの、みんなの輝く笑顔だった。

 そんな中、武氏(たけうし)さんが急に顔を赤らめると、両手を胸の前で合わせおずおずと口を開く。


『ね? ありうっちー』

「な、何?」

『あのね。実はあーし達の気持ちも、ありうっちと同じくらい重いと思うんだけどー。それでもいい感じ?』

「え? 同じくらい重い?」

『うん。さっき話したじゃん。あーし、ありうっちの事を色々知りたいーって』

「う、うん」

『あれってもち本音だしー、リアルで会いたいのもそう。そう思っちゃうのは、あーし達にとって、ありうっちが特別な友達だからなんだよねー』

「特別な、友達……」


 人気者であるTOP4にとっての()()

 僕なんかがそう思ってもらえてる事に少し驚くと、武氏(たけうし)さんが小さく笑う。


『そ。だから、あーし達だってわがままにもなるしー、大胆にもなるの。勿論ありうっちの心配もわかるから、当面学校じゃ赤の他人を装うしかないよ? でもー、やっぱリアルで会って一緒にいたら、あーしってどんな気持ちになるのかなーってのも、やっぱ気になっちゃうわけ』


 そう言い切った彼女は、少し顔を赤らめもじもじとしだす。


『それくらい、あーし達の友達って言葉は重いんだけどー……それでも、いい感じ?』


 恥ずかしげ。だけど、どこか不安げにも見える複雑な表情。

 正直な所、彼女の言った内容が重いのか。それはわからなかった。

 友達なら相手を知りたくなるっていうのは、案外普通じゃないかなって思ったから。

 でも、同時に友達として僕に興味を持ってくれているんだってのは伝わってくる。


 もし、みんなが本当に僕を特別な友達って思ってもらえてるのなら……。


「うん。僕にとっても武氏(たけうし)さん達は特別だから。頑張ってみる」


 決意を込めてそう返すと、彼女は顔を赤らめたままはにかみ笑いを見せた後、ゆっくりと僕の前にやってくる。


『……そっか。ありがと。ありうっち』


 優しい声でそう呟くと、目の前で顔を合わせているくらいまで近づいた武氏(たけうし)さん。

 そして、彼女がそこで目を閉じ唇を尖らせ、もう少しだけ画面に近づくと──僅かな間を置き耳元に届いたのは、ちゅっという乾いた音だった。

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