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オンラインゲームで知り合った友達が同じ高校のTOP4美少女達だったけど、僕は本当に友達のままでいていいの?  作者: しょぼん(´・ω・`)
第二章:ゲームのち現実

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第7話:改めて見るTOP4

「う、うん。大丈夫」

「ほんとに? ほんとーに!? まだ時間かなり早いよ!?」


 僕がそう答えると、沙和さんがありえないと言わんばかりの顔で念を押してくる。


「う、うん。だって、ここで待ってるのは寒いでしょ?」


 実際四人とも制服姿だけど、沙和さんはジャケットを腰に巻いてるし、スカートの丈も膝上でかなり短い。さらにシャツの襟元のボタンも幾つか外してて露出度も高め。

 ちょっと目のやり場に困るその格好はやっぱり寒そうに見えるし、他のみんなだってスカートが多少長いからといって、温かそうって感じはしない。

 そんな格好のまま、あと一時間もここで待たせるなんて流石に可哀想過ぎる。


「そ、その。優汰(ゆうた)は、心の準備ができてますの?」

「こ、心の準備?」


 普段のどこか自信ありげな反応はどこへやら。瑠音(ると)さんがおずおずとそう聞いてくる。


 正直な事を言えば、心の準備どころか出迎える準備だってできてない。紅茶だって買いに行けなかったわけだし。


「で、できてないよ。で、でも、こんな寒い所に立たせたままじゃ、みんなが風邪を引いちゃうかもしれないでしょ?」

「で、ですが。それで優汰(ゆうた)君が嫌な思いをしてしまったら……」


 不安げな顔をする千麻(ちあさ)さん。

 みんな、昨日家に来たいって提案してきた時のような、押しの強さは皆無。

 きっとそれは、早く来ちゃったのを申し訳ないって思ってくれてる証拠だと思う。


 友達として、こういう気遣いをしてもらえるのは嬉しくもある。

 だけど、今更僕の準備がどうこうなんてのを理由に、このままでいさせたくない。


「僕はこんな所にみんなを放っておく方が嫌だよ。だから、気にしないで」


 僕が緊張しながら、できる限りの笑顔を向ける。

 これで納得してくれたらいいんだけど……そう思って様子を窺っていると。


「優くん……」

優汰(ゆうた)……」

優汰(ゆうた)君……」

優汰(ゆうた)様……」


 四人は目をキラキラさせ、感動したかのような顔を──あれ? 今、瑠音(ると)さんに様付けされた?


「えっと、瑠音(ると)さん。今なんて──」

「かかか、勘違いなさらないでくださいまし! 今のは感謝! 感謝の気持ちがそうさせただけですわ!」


 気になって思わずそう尋ねると、瑠音(ると)さんが慌てふためきながら、そう理由を話してくれる。


 感謝って言われても、そこまでのことをしたつもりもないんだけど。こういうのって、友達でも普通じゃないのかな?

 まあいいや。こんなことばかり考えてたら、それだけ寒い思いさせちゃうし。


「あまり綺麗じゃないけど、入って」

「あ、ああ。わかった。邪魔するぜ」

「お、お邪魔しまーっす」

「邪魔するわね」

「失礼いたします」


 ドアを限界まで開け固定した僕が率先して家の中に戻ると、みんなが緊張しながら玄関に入り、靴を脱いで廊下に上がる。


「こ、ここが優汰(ゆうた)君のお宅……」

「なんか、思ったより広くなーい?」

「だな。俺んちのアパートといい勝負してるぜ」

「ここの間取りは2LDK。一人暮らしにしては贅沢ですわよね」

「あ、うん。両親がたまに東京に来たいからって、他の人が来ても泊まれるだけの部屋を選んでくれたんだ」


 廊下に上がった瞬間からきょろきょろと辺りを見回す四人を横目に、僕は廊下を進んで少しの所にある左手のドアを開ける。

 

「えっと、手荷物とかはこの部屋に置いていいから」


 あ。そういえばケトルにお湯を沸かさないと。

 僕はそのまま一人廊下の突き当りにあるドアを開け、キッチンに入っていく。


「もしかしてー、ここが優くんの寝室?」

「ううん。さっき話した来客用の部屋」


 少し興奮気味な沙和さんの声に、僕はお湯を準備する手を止めず返事をする。

 よし。お湯はこれでいいかな。次は……。


「廊下の反対側は何のお部屋ですか?」

「玄関寄りがトイレで、少し奥は洗面所とかお風呂」

「ね? ね? 覗いてもいい?」

 

 既に洗濯物は外に干しているし、時間を持て余して夜中にお風呂掃除もしてる。

 見られちゃいけない物もないし、別にいいかな。


「うん。いいよ」

「やったっ!」


 キッチンとダイニングを挟むカウンターに、紅茶用のカップやソーサーを用意しながら返事を返すと、沙和さんの嬉しそうな声がした。


 洗面所とか見ても楽しい事なんてないと思うけど。

 あ。でも、ゲームで他の人の家とか見るのってわくわくするし、そういう感覚なのかも。


 紅茶のパックをカップに入れながら聞き耳を立てていると、みんなが小声でする会話が耳に届く。


「歯ブラシとコップは一組だけのようですね」

優汰(ゆうた)が一人暮らしというのも、あながち嘘じゃなさそうね」

「だけど、シャンプーとリンスはナックスだぜ」

「優くんって髪の毛サラサラだし艶もあるじゃん。普通に使ってるだけじゃないかなー?」


 ……何かお風呂場まで見られてるみたいだけど、僕の使ってるシャンプーなんて気になる物なのかな?

 あの辺の物は実家で親と共用で使ってて、流れで同じのにしてるだけだけど……。

 色々詮索されてるのはちょっと気になるけど、わざわざ触れる話でもないかな。


  ピピピッ


 あ、お湯が沸いた。ケトルを手に取った僕は、そのままカップにお湯を注ぎ始める。

 そういえば、結局ちゃんとした紅茶、買いに行けなかったな。

 瑠音(ると)さんが機嫌を悪くしないといいいけど……。

 カップに注がれたお湯が綺麗な赤橙色に染まっていくのを見ながら、僕は改めてそんな不安を覚える。


「うっわー。リビングもちょー広いじゃん!」

「キッチンも別にありますし、ダイニングを合わせても私の家より広いですよ」

「このくらいの広さは見慣れているけれど。まあまあね」

瑠音(ると)。お前の家と比べるのは論外だろ。ったく……」


 ちょっとぼんやりとしていると、ドアから沙和さん達四人がぞろぞろと入ってきた。


 うわぁ……。

 みんなの姿を見た瞬間、思わず感嘆の声が出そうになるのを必死に堪えた。


 制服姿のTOP4は、学校でもそこそこ目にしてきた。

 だけど、同じクラスの千麻(ちあさ)さんはまだしも、みんなをこんな距離で見る機会なんてほとんどなかったんだよね。

 さっきは突然だったし、落ち着いて見てる暇なんてなかったけど。改めて見ると、やっぱりみんなオーラが違う。

 そして、ヘッドホン越しじゃない生の声が、よりリアルさを際立たせ、より現実味のなさを感じさせる。


 シャインズ・ゲートの時にも髪型や服装で個性は伝わってきたけど、制服の着こなしもまた個性が出ていた。

 瑠音(ると)さんと千麻(ちあさ)さんは、学校指定のままブレザーやシャツ、膝下まで丈のあるスカートを、普段通りに着こなしている。

 そのせいもあって、瑠音(ると)さんのどこか高貴な雰囲気とか、千麻(ちあさ)さんの物静かで真面目な印象がより際立って見える。

 喜世(きよ)さんはブレザーやシャツを腕まくりしたり、スカートもちょっと膝丈くらいまで短くしてて、運動神経のよい彼女らしさが見え隠れしてる。

 でも、一番個性的なのはやっぱり沙和さん。玄関で見た時から変わらないラフな着こなしは、目のやり場に困るくらい刺激的。


 ……や、やっぱり、この状況は変だよね。

 確かにずっとネトゲで一緒に遊んでたけど、みんながTOP4って知ったのはたったの二日前。

 それなのに、みんなが友達として僕の家に上がってるなんて。

 夢だったりしない? 幻を見ていない? やっぱり僕がいるのは場違いじゃない?

 みんなを見ながら呆然と立ち竦んでいると、彼女達がこっちを見た。


「あれ? 優くんどうしたの?」

「え? あ、えっと、その。ご、ごめん!」


 沙和さんと目があった瞬間、一気に気恥ずかしさが襲ってきた僕は、思わず目を逸らすとごまかすようにカップからティーパックを取り出していく。

 でも心臓がばくばく言い出してるし、顔まで赤くなってきてる。


 な、なんとか落ち着かないと……。

 必死にそう考えながら、心を落ち着けようと思ったけれど、世の中そう甘くはなかった。

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