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30歩目 「あっさりだ」

「桐木君、今日は商店街のほう歩こう!」


「珍しいね。小山ちゃんから散歩場所提案するなんて」


 先日私たちはファミレスにて作戦を立てた。これはその作戦の一つ目だ。


「まぁね。商店街で売ってるクレープ食べたくて」


「ああ、あれね。俺もしばらく食べてないから久しぶりに食べてみたいかも」


「じゃあ行こう!」


「いいよ。特に断る理由ないし」


 桐木君が甘いもの好きなのは知っている。私がたまに桐木君ちに和菓子持ってくと喜んでたしね。だからクレープの名前を出せばこの話に乗ってくるというのはわかっていた。しかし問題は商店街についてからだ。


◇ ◇ ◇ ◇


 そんなこんなで商店街。


「桐木君は普段 商店街ここに散歩しにきたりする?」


「あんまりかなぁ。俺は基本的に歩きやすくて人の気配が少ない場所を好んで歩いているから。ここはちょくちょく人が歩いてる」


「あはは…商店街なのに歩いてる人少ししかいないってのも変な話だけどね」


「ま、商店街にも車で来ている人が多いだろうからね」


 この商店街の中央には車道が通っている。店はその道路を挟んだ両脇に点々と存在している。昔と比べると少し寂れた気もするがこの町にしてはまだ活気があるほうだろう。


 さて本題だが今日私は桐木君を夏祭りに誘おうと思っている。毎年この時期になるとここは歩行者天国となり夏祭りが開催される。大崎君が言うにはこの機会を逃す手はないらしい。私としても桐木君と一緒にお祭りをまわりたい。だけど桐木君は人混みが苦手みたいだしこの誘いに乗ってきてくれるかは正直微妙なところだ。

 どう話を切り出そうか迷いつつ私は辺りの店をきょろきょろと観察しながら歩いた。


「あっ!あのからあげ屋金賞受賞してるって書いてある!すごいね!」


「小山ちゃん。あの金賞ってこの世にあるすべてのからあげ屋が獲ってんだよ」


 え?どゆこと?それは賞としての体裁を保てていないのでは。


「もしかしてからあげ食べたい?」


「大丈夫。今日の目的はクレープだから」


 クレープにからあげまで食べたらカロリーが爆発するからね。危ない危ない。誘惑に負けないようにしないと。


「そっか。俺もクレープは楽しみだよ。あそこのクレープはクリームがあっさりしてて美味しいんだよね」


「わかる!桐木君は何味食べたいとか決まってるの?」


「いや~、まだ迷ってるから店着いてから決めようかなって」


「じゃあ私もそうしよっと」


 私たちはクレープ談義に花を咲かせながら引き続き歩いた。いつ夏祭りの話を切り出そうか迷っているいるうちに今度は墓石屋が見えた。墓石屋の前には某ネコ型ロボットの石像が立っている。ちなみにここらで育った子供は大体あれの頭を触ったことがある。


「俺あれ見るたび思うんだけどさ。あれって版け…」


「それ以上はいけない!!」


 いや大丈夫だろうけど!ちゃんと許可取ってるだろうけど!万が一があったら怖いから!


「でもドラ…」


「それ以上はいけない!!」


◇ ◇ ◇ ◇


 き…切り出せない……夏祭りの話……。本当はもっとすっと誘うつもりだったのにどういう切り出し方しても不自然になる気がする……


 ファミレスで作戦会議したときはもし断られても大崎君が俺も行くからと言えばあいつは来るだろうって言ってたけどあの謎の自信はなんだったんだろう。でも二人きりで行こうというよりはハードル下がるから正直助かりはする。ちなみに流れでかほちゃんも参加することになった。

 散々悩んだ挙句、結局話を切り出すことが出来ず商店街の奥にあるクレープ屋に到着してしまった。


「俺ブルーベリーにしようかな。小山ちゃんは?」


「わ、私はストロベリーにするよ…」


 それを聞くと桐木君は店員さんに注文をした。店員さんの手際はとても良く、注文してからほとんど待つことなく2つのクレープが提供された。


「あそこにベンチあるからそこで食べようか」


「わかった」


 桐木君が差したベンチまで近づくと商店街の掲示板があり、そこには夏祭り開催の告知をするポスターが張り出されていた。これ以上ないチャンスがやってきた。これを逃したらもう終わりな気がする。


「あ、あの桐木君……」


「どうしたの?」


 ベンチに座った桐木君はクレープを食べようとしていたがそれを中断し私に返事をした。


「さっき掲示板で見たんだけどここで夏祭りあるみたいだね」


「もうそんな時期かぁ」


 桐木君は懐かしむかのように少し顔をあげて答えた。


「桐木君は夏祭り行く予定ある?」


「俺が一人で行くと思う?」


 桐木君はわざわざ聞かなくてもわかるだろとでも言いたげだ。


「じゃ…じゃあさ…私が誘ったら行く…?」


 し…しまった…!この誘い方だと二人っきりで行くみたいになってしまう!早く大崎君たちも来るということを知らせないと…


「いいよ」


 そう言うと桐木君はクレープを一口かじった。


 ん…?あれ?今いいって言ったよね?なんというか思ってたより──


「ああ、やっぱりここのクリームは──」



    第30話「あっさりだ」


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