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28歩目 無自覚男と無自覚女

「へいへい!それで聞きたいことって何かな小山さん!」


「当然高校時代の桐木君のことだよ大崎君」


 私たちはいま大学近くのファミレスにいる。


「ふふん!そういうことだと思ってたよ!なんだって話しちゃうよ俺」


 大崎君は両手を組んでそれを顎に乗せにやりと笑った。

 ごめん桐木君。君にプライバシーはないみたいだ。


「話が早くて助かるよ」


 大崎君は現在通っている大学近くのアパートで一人暮らしをしているらしい。私と通っている大学こそ違うものの比較的近い位置にあり今回は私たちの大学近くのファミレスで密会することとなった。ちなみに大崎君は親に呼ばれてちょくちょく地元に戻ってきているらしい。この前会ったときも親にパシられていたそうだ。


「早速だけど桐木君がモテていたという件につい…」


 私が話している途中がガシャンと金属製のお盆でも落としたかのような大きな音が鳴った。

 なんだ?このファミレスにはドジっ子メイドさんでもいるのか?

 そう思い音の鳴った方向に目を向けると……


「め…めぐめぐ………」


 超見知った顔がそこにはいた。


「う…浮気だぁ~~~!!!」


 意味のわからないことを叫んでかほちゃんは裏へと駆け込んでいった。


 いや仕事しろよ。


「だれぇ…怖い……」


 変なタイミングに居合わせてしまった大崎君は怯えてしまっている。私だって怖いよ。


◇ ◇ ◇ ◇


「それで話の続きなんだけど」


「桐木がモテてたって話ね」


「うんうん」


 ………なんかひとり増えてるんですけど……


「なんでかほちゃんここにいるの!!?」


「それは私がここで働いてるからよ」


 しれっと彼女は私の隣に座っていた。


「いやそれは見ればわかるけど仕事中だったんじゃ……」


「なんか店長に言ったら今日はもうあがっていいって」


 自由か。よく潰れないなこの店。


「いやーそれにしても浮気ではみたいで良かったよ。そんな子に育てた覚えはなかったからね」


 そもそも私はかほちゃんに育てられた覚えがないのだが。


「あの~そろそろ紹介してもらえると助かるんだけど…」


 大崎君がおずおずと手を上げて話に割り込んできた。

 そうだよねごめんね。なんか急に変な女が乱入してきて。


「私は清水かほ!めぐめぐの~大親友っ!」


 かほちゃんは自分の目元に横に傾けたピースをして元気よく自己紹介した。

 なんかいつもより3割増しでうざったいな。多分恋バナの香り嗅ぎつけたからだろうけど。


「なるほど完全に理解した。俺は桐木の大親友の大崎かずと!」


 そう言うと大崎君もかほちゃんのマネをして横ピースをした。

 このふたり変なところで波長合ってる……。これはめんどくさいことになりそうだ。

 挨拶もほどほどに私たちは会話を戻した。


「あ、私も桐木君の事情は知ってるからそのまま話を続けてどうぞ」


「へぇ、あいつから話したの?」


「あ、いや私の友達だから話していいって桐木君が言ってくれて私から話したの」


「なるほど。あいつは余程小山さんを信頼してると見える」


 えへへ。やっぱりそう見える?まあ私たちも伊達に長い付き合いしてないっていうか?それに見合った信頼は勝ち取れてるよね。


「めぐめぐにやけすぎ」


「に、にやけてない!それよりも大崎君、話を戻していいよ」


 私は自身のほっぺたをムニムニと触り表情を元に戻した。


「わかった話を戻すよ。まぁあいつがモテてたっていっても特別なにかがあったってわけではないよ。ただただ順当にモテてただけで」


「というと?」


 大崎君は指を1本あげた。


「まずあいつは頭が良い。毎回学年で5位以内には入ってた。」


 2本目の指をあげた。


「更に気遣いができる。周りをよく見てるから困ってるやつがいたらさりげなくフォローしてた」


 3本目の指をあげた。


「そして話してみたら案外おもしろい。あいつが自分から誰かに話しかけることは少なかったけど話してみたら意外とおもしろい人だねってなるのに時間はかからなかった」


 4本目の指をあげたところで大崎君は顔を伏せた。


「最後に……あいつはシンプルに顔がいい……」


 大崎君は悔しそうに歯を食いしばっていた。


「なんだよ…少しタレ目の泣きぼくろって……!」


「そりゃモテますわな」


 かほちゃんは両腕を組み納得したと言わんばかりに頷いた。


「そんなぁ…桐木君の良さがわかってたのは私だけじゃなかったなんて……」


「めぐめぐ厄介オタクみたくなってるよ」


 だって確かに桐木君は昔からそんな感じだったけどモテてるようには見えなかったし。


「まあ一旦めぐめぐは置いといて当の本人である桐木君はモテてる自覚はあったの?というかもしかして誰かと付き合ってたりしてた?」


 ショックを受けている私の傍らでかほちゃんは質問をした。


「少なくとも誰かと付き合ってたってのはないな。モテてる自覚に関してはどうかな。あいつ人の感情には敏感だけど自分に向けられる好意と自分の感情に対しては鈍感なところあるから微妙なとこ」


 そう言うと大崎君はドリンクバーから持ってきたコーラを一口飲んだ。


「なるほどね。でもヤバいよめぐめぐ、桐木君そんなにモテるんだったら急がないとぽっと出の女に取られちゃうかも!」


 と…盗られる?私の桐木君が……?


「あば…あばばばばばば」


 混乱している私を見てかほちゃんはケタケタと笑っている。

 コイツ……!からかいやがって…!


「はぁー…おもしろっ…!ところで桐木君は中学ではどうだったの?モテてた?」


「どうだろ。もしかしたらあいつのこと好きだってやつはいたかもしれないけど表立ってモテてるって感じではなかったな」


「なんで?」


 かほちゃんが続けて疑問を投げかける。


「小山さんいたから」


 わ…私!?なんで急に私の話に…?私なんかやっちゃってましたか!?



    第28話 無自覚男と無自覚女


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