26歩目 衝撃と追撃
「そちらの方は彼女さん?」
「いや違うけど」
そんな食い気味に否定しなくても!!
「あら違ったか。それはそれは失礼しました」
そう言って大崎と呼ばれる人物は私に頭を下げた。
しかしこの人見覚えあるような……
「それじゃあおふたりさんはどのような関係で?」
正直それは私も気になる。
「語るほどのものでもないよ。それよりふたりとも知り合いのはずだけどまだ気づいてないの?」
はぐらかされた…
しかしやっぱり知ってる顔ではあったか。桐木君と共通の知り合いで…かつ苗字が大崎……
「「あ!!中学の!?」」
私たちは同時に気づいたようで両目を見合わせた。
大崎君は中学が一緒だった同級生の男子だ。だけど中学では私は桐木君以外の男子とあまり関わりがなかったから気づくのが遅れてしまった。
「ほうほう、小山さんか。なるほどねぇ。そういえば中学のときはあまり話したことがなかったね。改めてよろしく」
「こ…こちらこそよろしくね」
そうあいさつをすると私たちは深々と頭を下げた。
なんか含みのある言い方に聞こえたけど気のせいかな。
「小山さん、俺たち高校一緒だったからこいつとはマブのダチなんだよ」
「全然ちげぇから。小山ちゃん こいつの言うことは当てにしちゃダメだよ」
そう言いながら桐木君は肩を組みにいった大崎君を引きはがした。
「久しぶりにあった親友に対してつれないねぇ。そう思わない?小山さん」
「確かに桐木君そういうとこあるからなぁ。私のときなんか初手敬語で…」
まったく懐かしいぜ。思えばあそこから再開したんだよな 私たちの関係は。
あの頃はまだ春で今はもう立派な夏になっている。
「ああもう…!俺の話はいいから!大崎は用がないならどっかいってろ」
桐木君はしっしっと右手で追い払うようなジェスチャーをした。
「おいおい失礼だな。俺はお前のこと心配してたんだぜ。ニャイン送っても毎回スタンプだけですませやがるし」
心配…?もしかしてと思い私は桐木君の肩を叩き、大崎君には聴こえないよう小声で耳打ちした。
「あの…桐木君…もしかして大崎君って桐木君の家庭のこと知ってるの?」
「ああ…なんだそんなことか…」
桐木君は私の声を聴くために傾けていた頭を元に戻し、大崎君にも聴こえる声量で話した。
「そうだよ。こいつは俺の家庭事情諸々を知っている数少ない人間。正確には知られてしまったって感じだけどね」
「あんまりな言いぐさだな。俺は偶然お前が先生と話してるところを聞いてしまったってだけだろ。でもその言い分だと小山さんもそのことは知っていてなんなら自分から打ち明けたって感じかなぁ?」
大崎君はニヤニヤとした顔で桐木君の顔を見つめている。
「そうだけどなんか文句あるか?」
「やっぱり付き合ってるんじゃ…」
「だから付き合ってないって…!」
そう否定すると桐木君は大崎君にデコピンを放った。
そんな強く否定しなくてもいいだろ。
「いてっ…!ったくわかった、わかった。おじゃま虫の俺はどっかいってますよ。でもその前に小山さんに話したいことあるから桐木は少し離れてろ」
「はぁ?なんで俺が」
「いいからいいから」
「おい小山ちゃんに変なこと吹きこむなよ」
そう言いながらも桐木君はしぶしぶといった様子で私たちから離れた。
「それで話ってなに?大崎君」
「いや中学のときから思ってたけど小山さんって桐木と付き合いたいんだよね」
ああ、もう私が桐木君のこと好きだというのは前提で話進めるんだ。
「ま…まぁそうだけど」
「あいつ高校時代結構モテてたから気を付けたほうがいいよ。まぁ俺が言いたいのはそれだけ!じゃあまた!」
「えっ…ちょっ…待っ…!」
なんか衝撃の事実だけを言い残して颯爽と去っていったんだが…
ていうかマジで!?中学ではそんなにモテてるイメージなかったんだけどな!?
◇ ◇ ◇ ◇
「それであいつと何話してたの?」
「別に大したことではなかったよ」
私は大崎君に話されたことはボカすことに決めた。
実は桐木君はモテてましたなんて話、本人に言うのも変だしね。
「ほんとにぃ?」
桐木君は私の顔を覗き込んできた。
なんだ?妙に疑り深いな…
「もしかして嫉妬してる……?」
「はっ?えっ?なんでそんな話に?」
「だいじょ〜ぶだって!ホントに大したこと話してないし!ういうい!」
私は肘で桐木のことを小突いた。
なんだよ桐木君もかわいいところあるじゃん!
「だから別にそういうのでは…」
「照れなくてもいいのに〜」
今度は肩をぶつけにいった。
「買い物中に肘打ちからのタックルとかいう華麗なコンボ決めないでよ」
うへへ…!なんだか私も照れてきたな…
私は照れを隠すため再度タックルすることにした。
「追撃も怠らないのね……」
第26話 衝撃と追撃
面白かったらいいジャン!してね
(星よろしくお願いします)




