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24歩目 Says You!!

「料理のさしすせそって知ってる小山ちゃん!」


「え、いきなりなに!?桐木君!」


 私はいま桐木君の家にいる。


 今日は午前中から散歩していた私たち。昼時に近づきそろそろ帰るかという話になった。そして私は当たり前かのように桐木君の家に入り込み現在に至る。


「いやまぁ、それくらい知ってるけども」


 桐木君がキッチンから唐突にかけた問いに私はダイニングから声を返す。この部屋はリビング、ダイニング、キッチンが一体となっていてなかなかの広さを誇っている。何畳かとかは正直よくわからないが少なくとも4人家族で暮らしても全く狭いとは思わないだろう。ちなみにふたりで誕生日を過ごした場所もこの部屋で私はここ以外の部屋に入ったことはまだない。


「ほう。では『さ』から言ってみたまえ」


 なんか桐木君いつもとテンション違くないか?とにかく料理のさしすせそを言えばいいんでしょ?それくらいの一般常識、私でも流石に知ってるよ。


「『さ』が砂糖で~、『し』が塩でしょ?『す』はお酢で『せ』がせいゆ…」


「それ!!俺は『せ』がせいゆなのが許せない!!なんだよせいゆって!!醤油って言い方だと塩と被るからって無理矢理すぎるだろ!!」


 急になにを言い出すかと思えばそんなことか。それみんな薄っすら思ってることだけどわざわざ言うほどのことでもないなってなってるやつだよ。


「それでいうと『そ』で味噌もおかしいよね。頭文字は『み』なのにしれっと『そ』の位置についてるし」


「確かに真の極悪人はせいゆの陰に隠れている味噌のほうなのかもしれない。だけど今回はせいゆに文句を言わせてもらう」


 なんなんだその調味料に対する熱意は。正直そこまでの熱意は私にはないけどせっかくだし乗ってあげるか。

 私は桐木君の意見に反論するべくダイニングから顔を出し手を上げた。

 

「はいはい!でも醤油って昔はせいゆって呼ばれてたんですよね?だったら『せ』にせいゆ、つまりは醤油がつくのもおかしな話ではないのではないでしょうか」


「一理ある!」


 一理あるとは思ってんだ…


「昔は歴史的仮名遣いで『しょうゆ』を『せいゆ』と表記してたから確かにおかしな話ではない…。でも古いって!もう平成越えて令和だよ。いつまで歴史的仮名遣いに固執してるんだよ。頑固すぎやしないかね」


 未だに料理のさしすせそに文句を言ってる桐木君もなかなかに頑固だと思うよ。


「じゃあどうなれば桐木君は満足なの?」


「そりゃあもう、せいゆに代わる新しい『せ』の調味料の開拓だよね。せいゆはクビです」


 すごいこと言い出したな。醤油をクビって。代替わりの調味料も荷が重いだろ。


「桐木君はせいゆ以外で『せ』の調味料に心当たりあるの?」


「………………」


 なさそうだな!?ないならなんでそんなこと言い出したんだよ。


 一応私もなにかないかと頭を捻らせてはみたものの特に思うつくこともなく時間だけが過ぎていった。するとキッチンの方からガチャっと音が聞こえ、音の発生源に目を向けると冷蔵庫を開ける桐木君の姿が見えた。


 おいそれカンニングしようとしてるだろ!!


「それでなにかいいの思いついた?」


「セ、セロリソースとか………」


「セロリソースってなに…?」


「セロリで作ったソースです……」


 桐木君は自信なさげに答えた。

 もうそれ自分でも無理あるって思っちゃってるじゃん。


「『せ』に固執するあまり調味料としての汎用性失われちゃってるよ!!それじゃあ地獄で醤油も泣いてるよ!」


「いつ醤油は地獄に堕とされたの」


「さっき」


 そんなこんなで引き続き頭を悩ませる私たち。そんな状況から口火を切ったのは桐木君であった。


「そもそもさぁ。調味料を『さしすせそ』の枠に収めるというのが意味わからないよね。『せ』の代わりに『ま』とかにしてマヨネーズを入れよう。今日から料理の『さしすまそ』ということで」

 

 前提が完全に崩壊してますけど…。そこまでするんだったらもうせいゆを認めてやれよ。


「母音すら合ってないのはどうかと思うよ」


「じゃあ『け』にしてケチャップにしよう。そうすれば『さしすけそ』になってギリギリ通る」


 どこに?


「小山ちゃんちょっと早口で『さしすけそ』って言ってみてよ」


「サシスケソ!!」


「よしっ!!」


 なにが?


「というかなんでいきなり料理のさしすせその話なんてしだしたの桐木君」


「単純な話だよ。昼ごはん作ろうとしたら醤油切らしててこのやり場のない怒りをどこかにぶつけたかっただけ」


 つまりただの八つ当たりだったいうわけか……


「ついでに諸々の食材も切らしてたから買い出しにいきたいんだけど小山ちゃん留守番するか買い物についていくかどっちがいい?」


 身内外の人に留守番任せようとしてるけど防犯意識ガバガバすぎないか。まぁ私的には信頼されてる感があって悪い気はしないけどその2択だったら…


「当然ついてくよ。桐木君が余計なもの買わないかチェックしてあげないとね!」


「俺、そんな変なもの買うイメージあるかなぁ…」


 買い物についてきてほしいんだったら最初からそう言えばいいのに。まったく桐木君も素直じゃないねぇ。



    第24話 Says You!!



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