23歩目 『大切な思い出』
「第2回『勘で花言葉当て大会』開催~!!!」
「第1回はいつやったの…?」
私たちは今日も散歩している。
「忘れたの桐木君?雨の日に勘でアジサイの花言葉考えたの」
「あぁ~そんなこともあったね。あれ大会だったんだ」
「そうだよ。そして勝者は私だった!」
「そうだっけ?なんか二人ともそれらしい言葉をモニョモニョって言って調べたら全然違かった気がするんだけど…」
そんな気もするけど一旦私が勝ったということにしておこう。理由はそっちのほうが気分がいいから。ちなみにアジサイの花言葉は………なんだっけ?まぁいいか私は前向きだからね。過去のことは振り返らないんだよ。
「それでなんで急に第2回を開催しようと思ったの」
私はやれやれといった具合に肩をすくめて答えた。
「愚問だね桐木君。そこに花があるからだよ!」
ビシっと私が指をさした先には花壇があり、そこには様々な色鮮やかな花が咲き誇っている。
「花好きの登山家みたいなこと言い出したね小山ちゃん」
「ジョージ・マロニーね」
「マロリーだよ」
「…表記ゆれってやつだよ。細かいこと気にするね桐木君」
「さいですか…」
桐木君は諦めたような様子で言葉を返した。私はそんな桐木君を無視して早速といった具合に花を指さして…
「第1問!!あの花の花言葉はなんでしょうか!」
「それ花言葉どころか花の名前すら知らないやつなんだけど…」
私が指定した花は花弁が小さく青紫色をしている花である。それは稲穂のような形状をしており一つの茎に多くの花が咲いている。
自分で選んでおいてなんだけど私もこれの名前知らないな…
「私もわからないから一旦調べるね」
そう言うと私はスマホを取り出し写真を撮って画像検索をした。
「へぇ~。キャットミントっていう花だって。猫の名を冠するとはこの花もなかなかやるね。なんか猫が反応する成分が含まれてるらし……あっ…!!」
「急にどうしたの小山ちゃん」
「花言葉見ちゃった…てへっ!」
なんでキャットという単語が入っているのだろうと気になり画面をスクロールしてたらいつのまにか花言葉が出てくるページまで開いてしまった。なので私は渾身のテヘペロをすることにより誤魔化すことにした。
まぁやってしまったことは仕方がない。ちなみにキャットミントの花言葉は…
「まぁ別にいいんじゃない1問目の出題者が小山ちゃんで回答者が俺。2問目からは逆にして交互に出題していくって感じにすれば」
「おお…そうしようか」
なるほど、前は同時に考えて答える形式だったけど今回はそれぞれが出題者という形にするわけか。やる気なさそうにしてたけどなんだかんだいって桐木君も乗り気じゃないか。
「では気を取り直してキャットミントの花言葉はなんでしょう!お答えください桐木君!」
「そうだね。とりあえずひとつひとつの花が小さいから『可憐』とか」
「結構雑に考えたね」
「いや花言葉ってひとつの花に対して複数あったりするからこれくらい単純なものがあってもおかしくないかなって」
「なるほどね。でも残念!違います!どうする?答え発表しちゃう?」
「いやいやご冗談を。これからが本番じゃないですか」
桐木君は何を言ってんだかとでも言いたげな様子だ。
やっぱり桐木君も結構負けず嫌いだよね。
「じゃああと2回回答権あげるよ」
「そうだなぁ…」
そう呟いて桐木君は小考した。
「やっぱりこういうのって色に着目するべきだと思うんだよね。この花は紫だから高級とか神秘的みたいなイメージで花言葉がつけられたんじゃないかな。紫は冠位十二階でも位が高いしね」
冠位十二階とか久しぶりに聞いたな。
「それを踏まえて2つ目の回答は『高貴』で」
「ぜっんぜん違います。まだひとつ目の回答のほうが近いよ」
「そう。じゃあ3つ目の回答は『烏合の衆』で」
「急に投げやり!?」
しかも烏合の衆て。すごい悪口吐いたな。
「理由は小さい花が密集してるから。花言葉って意外とネガティブワードつけられてるイメージあるから案外あるんじゃないかなって」
それにしたって花言葉で烏合の衆つける人は性格悪すぎると思うよ。
「それで当たった?」
「残念、はずれです!」
「クソォ…!!」
よく最後の回答で悔しがれたな。
「正解は『自由な愛』と『無邪気』でした~」
「んん…ああ…なるほど…?」
なんかあんまり納得いってない様子だな。でもわかるよ。正直花のことあんまり知らないから花言葉聞いてもなかなかなるほど~とはならないよね。
「まぁいいか。じゃあ次は俺が出題者ね」
「ばっちこい!」
「問題。サクラの花言葉は?」
ん…?てっきりこの花壇にある花から選ぶかと思ったがそうじゃないのか?しかしこれは舐められたもんだね…
「サクラなんてメジャーな花、流石に私を侮りすぎなんじゃないのかな?」
「ほう、ではサクラの花言葉を知ってると?」
「いや知りはしないけど」
知りはしないけどなんとなくでわかるだろ。サクラのイメージなんて大抵の人が同じだろうからよほど逆張りした回答をしなければ一つくらい当たるはず。
「サクラといえば春。春といえば出会いと別れ。ここから考えれば自ずと答えは導き出されるよ」
「なるほど」
桐木君は簡潔に相槌を打った。彼の表情からは私の今の推理が正しいのかどうか判断することはできない。しかしだからといってわざわざ考えを改める必要はないだろう。
「私の答えは『出会い』『別れ』『儚い』の3つだよ桐木君」
「随分安直な答えだけどいいの?」
「ふふっ、わかってないね桐木君。捻った回答で花言葉を当てるのは至難の業。だったら3つともすべて安直な答えにベットするというのがこのゲームの攻略法だよ」
「なるほどね。確かに賢い考え方かもしれない。まぁ全部外れてはいるんだけど」
桐木君はあっさりと私の回答が外れていることを告げた。
おいおい、あんなに自信満々に答えたんだからせめてもう少し溜めてくれてもいいだろ。
「くっ……ちなみに答えは?」
「『精神の美』『優雅な女性』『純潔』の3つでした」
……確かにわからなくもない花言葉だな…
「サービス問題のつもりだったんだけど小山ちゃんはストレートに行き過ぎたね」
ちょっと煽ってるだろそれ。
「じゃあ次は私もサービス問題にしてあげるよ!問題!カエデの花言葉はなに!?」
「カエデに花のイメージないんですけど…」
「自分の名前なんだからそのくらいわかるでしょ?かえで君」
やばっ…自分から名前呼びしといてなんだけどこれすごい恥ずかしいかも…!
「…いちいち調べたことないよ。でもそうだなぁ…カエデの花言葉か」
名前呼びしたことに対する反応はゼロかぁ。結構勇気入れたんだけどな……
「カエデといえば秋。秋といえばアメリカでの入学シーズン。つまり出会いと別れの季節」
「え、なんでさっきの私の考えパクったの?しかもかなり無理矢理」
「よって答えは『出会い』『別れ』『儚い』の3つだ」
「無視した!?もしかして飽きたの!?」
「そういうわけではないけど自分の名前の花言葉考えるのって結構恥ずかしいんだよ めぐみちゃん」
そうか。そういうものなのか。でも確かに花言葉って大抵きれいな言葉だからそれを自分と結びつけるのって少し恥ずかしいのかもしれない……
ん……?いやそれよりも今、私のこと……
「それで答えはどうなの?」
「え……ああ、ごめん。そういえばまだ調べてなかった」
私は急いでスマホで検索し、カエデの花言葉を読み上げた。
「えーと、カエデの花言葉は…『調和』『美しい変化』…あとは……」
ふっ…なんだちょうどいい花言葉があるじゃないか。
第23話 『大切な思い出』




