17歩目 追跡日和
皆さんお元気ですか?私の名前は清水かほです。私は今、友達を追跡しています──
いやしかし遠かったね。電車乗り継いでバス乗って、思ってたより時間がかかった。だけどめぐめぐ電車でもバスでも全く私に気づかなかったな。一応変装してきたけど私、本当に探偵の才能あるかも。
そんなことより調べはついてるよ。今日は桐木君と散歩する日だってね。大学が午前中だけの日は帰り際になるとやたらとそわそわしてるし、その日の夜SNSに田舎の風景アップされてるしでわかりやすい上に不用心だっての。
まったく、めぐめぐはつれないねぇ。あのとき電話するの手伝ってあげたっていうのにその後どうなったかちゃんと説明してくれないではぐらかしやがって。しかもまだ桐木君とやらとの散歩生活は続いてるみたいだし、ほんと私は気になってしゃあないよ。こうなったらやることは一つ。そう追跡だね。
そんなこんなで私は今、和菓子屋近くの物陰で隠れている。めぐめぐはそのすぐ隣の家に入っていった。私の予想ではそろそろ…ほら来た。
めぐめぐが動きやすそうな服に着替えて家から出てきた。なにやら辺りをきょろきょろと見ているな。…まさか私の存在に感づいたか?いや、それはないか。このタイミングで気づくやつはとっくの前に気づいてるはずだ。だってバスのときなんか降りるとき真後ろにいたけど気づかれなかったんだぜ。そんなやつがこの距離の私に感づけるはずがない。
む…今度はスマホを鏡代わりにして前髪を整えだした。なるほど、さっきの行動は桐木君とやらが来ていないか確認していたというわけか。そんなに前髪気にするなんてめぐめぐも乙女だねぇ…私そういうの好きだよ。もっとちょうだい。
そんなこんなで観察していると同年代くらいに見える男の子が歩いてきた。
あーあー、めぐめぐそんな嬉しそうな顔しちゃって。どうやらあれが桐木君で間違いなさそうだ。ここじゃ声は聴こえないけどなにやら楽し気に話している。桐木君の顔もよく見えないけど少なくとも派手なタイプではないっぽい。でも人は見かけにはよらないからね。注意して観察しないと。
お、そろそろ歩き始めるみたいだ。それじゃあ追跡開始といこうか。
◇ ◇ ◇ ◇
いやめっちゃ歩くなあの二人……しかも本当になんてことない田舎道歩いてるだけで色気もなにもあったもんじゃない。でもなんか…めぐめぐすごく楽しそうなんだよなぁ…
あ、また猫見つけてる。今日何匹目の猫だ?この町にはいったい何匹の猫がいるんだか。それにしてもこの場所隠れるところ少なくて困るね。もっと近くにいってあわよくば会話も聞きたいのに。お、なんかめぐめぐすごい喜んでる。そういえばあの子めっちゃ猫好きだったな。わかってるね桐木君も。
◇ ◇ ◇ ◇
いや…本当に…いつまで歩いてんだよ…。私が大学入ってからあんまり運動してないってのもあるけど流石に疲れた…何時間歩いてると思ってんだ…
でも一つわかったことがある。桐木君めぐめぐのことめっちゃエスコートしてるな!?しれっと毎回車道側歩いてるし遠目からだから正確にはわからないけど多分逐一疲れてないかの確認とってる。さっきなんか急にめぐめぐの前に腕出してなにかと思ったら横道から車が来てたから止めたのね。あー、あのときのめぐめぐすっごい乙女の顔してたなー。最高。もっと見てたい。でも疲れた。
ん……?なんかなにもないところで急に立ち止まって話し始めた?なんの話してんだろ。あれ?なんか今めぐめぐめっちゃ驚いてなかったか?え、こっち向いた…?こっち歩いてきた!?大丈夫大丈夫、焦ることはない。私の変装は完璧だ……
「ちょっとかほちゃん!!?こんなところでなにやってるの!!?」
「ひ、ひとちがいですよ……」
私は精一杯声色を変えて誤魔化した──
第17話 追跡日和




