夜にとけて
とある春の夜、帰路へと足を急がせていた“私”は突然、猿面の男に腕を取られ夜の暗がりの世界「幽(イウ)」へと連れてこられた。そこでは桜の大樹の下で人ならざる者共の宴が行われていた。「せっかくの宴だ」と酒をすすめる猿面を止めたのは狐面の男である。彼曰く、幽で飲み食いすることは“夜に溶けること”だとのこと。“夜に溶ける”とは、生まれてきてからこれまでの全ての記録も記憶も失って消えて無くなることだと言う。心のどこかでそれを望んできた“私”ではあるが、狐によって元の世界「日(ハレ)」へと戻されてしまう。
それから一ヶ月後、今度は猫面によって再び幽へと迷い込み“私”がなぜ夜に惹かれるのかを、狐面たちに話して聞かせた。
それでも狐面の心は変わらずまた日へと戻され、さらに一ヶ月。“夜に溶ける”思いは日に日に強くなり、ついに狐が迎えにやって来る。連れて行かれた先は月見草が咲き蛍が漂う湖畔の畔。そこで狐と酒を飲み交わし“私”は夜へ溶けて消える。
死にたいと願った心の昇華の物語。
それから一ヶ月後、今度は猫面によって再び幽へと迷い込み“私”がなぜ夜に惹かれるのかを、狐面たちに話して聞かせた。
それでも狐面の心は変わらずまた日へと戻され、さらに一ヶ月。“夜に溶ける”思いは日に日に強くなり、ついに狐が迎えにやって来る。連れて行かれた先は月見草が咲き蛍が漂う湖畔の畔。そこで狐と酒を飲み交わし“私”は夜へ溶けて消える。
死にたいと願った心の昇華の物語。