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第16話 オーク討伐クエスト

「それじゃあメラ、右からお願い」


「わかりました」


 そこは命令で良いですと思ったが、もうメラは口にしない。主人の信頼にきっちり答えることが何より大事だからだ。

 依頼主の村から目撃情報の多い森に入ってすぐ早速初めてのオークを発見した。

 ハンドサインでメラが飛び出す。ほんの少し遅れてアーシュがメラに気を取られたオークの背後から一撃……で仕留めた。


「凄いですね」


「……楽だな、一人じゃないって、いいな」


「変なところに感動しますね」


「いや、会話があるのもいい」


「私なんぞでよろしければ」


「頼むぜ」


 屈託のないアーシュの笑顔にメラの顔も笑顔になってしまう。

 それからも数体のオークと遭遇したが、二人であっさりと退治していく。

 そしてオークは食材として利用できる魔物、倒して解体し枝肉を得る。

 ある程度人の形をしているので少し気分は悪いが、その味を知っているのでアーシュのナイフは軽やかに動く。


「……これで肉が旨いんだから、驚きだよな」


「解体技術なら心得がありますから私がやりますのに」


 言葉とは裏腹に主人の解体技術は素晴らしく、その手つきから学ぼうとメラは一生懸命だ。


「二人でやったほうが早い、それに今日の夜飯はメラが準備するからな」


「……善処いたします」


 メラは料理の訓練中だった。


「しかし、確かに多いな。森で当たりっぽいな」


「そうですね、奴らの匂いは私でも追えると思うのである程度の方角はわかります」


「よし、では道案内は任せた。頼りにしてる」


「あ、ありがとうございます」


 最近はできる限り礼を言うように努めているメラであった。

 そして森の中に入ってからメラは主人の博識さに驚いていた。

 薬草や香草、毒草や食べられる物、利用できるものなど、メラの知らない知識だらけだった。


「ああ、だったらこれあげるよ。俺が昔勉強したお古だけど」


「ありがとうございます……これは、良いのですか!?」


 アーシュが幼き頃より学んだ多くの知識がびっしりと書き込まれたノート、すでにアーシュは大抵の知識はきちんと頭に入っているためになんとなく捨てられずに持っていた物だった。メラは建築ギルドの仕事も手伝う関係で読み書きも出来た。そして、アーシュの書く字がとても美しく整っていることに驚きを隠せなかった。


「アーシュ様はまるで貴族のようですね、これほどの貴重な知識、それに教養……」


「貴族、ねぇ……俺は以前話した京一が残した遺産を受け継いだ。貴族も過去の遺産を引き継いで学んでいる点では、確かに似ているんだろうな。

 だけど、俺は階級社会も大っきらいだ、なんだったら俺は一度その仕組のせいで殺されかけているからな」


 それからアーシュはメラに自身が森へと落とされた話をした。

 アーシュ自身も気が付かないうちにメラに心を許し、二人のときは気を張っている冒険者アーシュ・サカキから、一人の青年アーシュに戻っていた。


「そのような目にあってもなお、亜人、動物に対する気持ちが変わらないのですね……」


「いーや、むしろ強くなったね! こんなこと絶対に間違ってるって。

 よし、それくらいで大丈夫だ、基本的な調理はだいたい大丈夫だね。

 料理もあのメモのどっかにのってるから」


「ありがとうございます」


 京一がまとめた書はアーシュを通じてメラにも引き継がれていくのであった。

 アーシュが渡した内容は専門的な獣医師としての知識ではなく、この世界で生きていくのに役立つ生活書みたいなレベルだが、一部前世の知識なども入っていて、地味に貴重な内容になっている。アーシュはあまりその点は解っていない。

 例えば魚を3枚におろして塩を振って臭みを取ってから調理するなんてことは貴族に仕えるような調理を生業とする中でも一部の人間の間でのみ伝えられるような技術だったりするが、そういう事が普通にのっていた。


「これ、本当に私が……」


「ああ、凄く旨いよ!」


 結果としてメラもアーシュの指導のもとで調理をするとそういった凄腕の料理人の味に近い調理が可能になっていく。

 

「いえ、自分は外で警戒に当たります!」


「問題ない、中で休め」


「し、しかし、奴隷と同室なぞ……ど、同衾のご命令でしょうか?」


「どうきん? ……ち、違う! そういう意味ではない!」


「わ、私は別に構いませんが……あ、その、け、経験はありませんが……」


「だ、だから違うから! 普通に中で休んできっちり休んで明日に備えるって意味で、そ、そういうことじゃないから!」


「……大変失礼しました、獣人相手にそのようなこと、思われるようなアーシュ様ではありませんでした」


「べ、別に魅力がないとかそういうことではないが、そ、そういうことはその、好きな者同士で行うことだって……本に」


「奴隷にそのような気遣いは必要ないのですし、獣人相手にそ、そういうことをされるかたも、少なくないと聞いていますし、その、私としては全然いいというか、むしろしてほしいというかゴニョゴニョ」


「と、とにかく。きょ、今日は休む! 異常が有ればちゃんと気がつけるじゅんびもしてるから!」


「……わかりました」


 メラはがっかりしていたが、このやり取りのせいでアーシュはメラに対して女性としての意識を植え付けることに成功していた。アーシュは普通に性欲はあるし、獣人であろうが女性的な体型のメラに対してもしっかりと反応することをこの日を堺に自覚してしまった。

 

 翌日も探索が続いた。そして日が陰る手前ほどの時刻に二人は今回のクエストの目的を発見する。20匹程度のオークの村落を発見した。




 






 


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